4/16より全国にて 配給会社:東宝 (C) 臼井儀人/双葉社・シンエイ・テレビ朝日・ADK 2011 |
スーパー5才児・野原しんのすけが大暴れする「クレヨンしんちゃん」の劇場版第19作目。
今回は、スパイ一家として育った7才の女の子レモンの指導の下、
しんのすけがスパイとなり、
悪の博士からアクション仮面の正義のカプセルを奪回するというお話。
主にしんのすけとレモンが活躍するため、
野原一家やかすかべ防衛隊との絡みがいつもよりも少ない。
特にかすかべ防衛隊の面々は、ちょっとしか登場しない。
いつもの日常を飛び出して、非日常的な世界を描くのは劇場版ならではだし、
毎回メインとなるキャラクターが異なる方が、
マンネリ化を防ぐので、全然良いんだけど、
今回はあまりにレギュラー陣の活躍が少なく、ちょっと食い足りなかった感は否めない。
「クレしん」の基本はギャグである。
そのギャグの中心は、しんのすけのおバカな行動なんだが、
みさえとひろしの夫婦漫才、
ひまわりの危機を危機としない度胸、
実は一番まっとうな考えを持っている(?)シロ、
しんのすけに対していつもキレっているが、結局あしらわれる風間くん、
強引、凶暴でうさぎの人形を振り回すネネちゃん、
ひたすら泣き虫のマサオくん、
冷静沈着で、時たま素晴らしい名言を残すボーちゃん、
といった個性豊かなレギュラーメンバーが生み出す笑いも多い。
しかも劇場版は、
劇場版ならではの有り得ないような思いっきりの良いギャグだったりするので、
結構楽しみにしているのだ。
で、「あまり登場しない=レギュラー陣によるギャグもない」となるわけですが、
何度も言うように「クレしん」のベースはギャグだ。
ギャグを外してしまうと「クレしん」は成立しない。
そこで、今回は何でギャグを補ったかと言うと、
「ケツだけ星人ブリブリ」と「オナラ」である。
毎度のことだが、今回も配給元の東宝さんのご好意に甘えて完成披露試写会で、
ちびっ子たちにまみれて見たんだが、
冒頭から飛び出した「ブリブリ」と「オナラ」ギャグで、
ドッカン!ドッカン!と会場に笑いが起きた。
子供って好きだよねぇ、こういうネタ。
知能指数の低い伊藤Pも面白いと思ったので、
最初は笑っていたんだが、その後も「ブリブリ」と「オナラ」が頻発。
ちょっとこの二つのギャグで引っ張りすぎ。
流石にそれ程笑えなくなったんだが、
子供たちは構わず笑っていた。
まぁ、劇場版「クレしん」は、本来子供のものだから、
子供がウケればそれで良いのかもしれない。
因みにオイラが一番笑ったのは、
有名ホラー映画のパロディ。
しんのすけがミッションを遂行している最中に、
突然登場し、大いに笑った。
でも笑っているのはオイラだけだった・・・。
てな感じでギャグは少なめなんですけども、
ストーリーは、大人だったらある程度先が読めてしまうが、
子供のレベルからすれば、捻りがそこそこ効いているように思う。
(逆に子供にとってはちょっと難しいか?)
また、家族愛、親と子の関係性、友情といったシリーズを通してのテーマも、
きちんと盛り込まれている。
特に今回は親と子のウェイトが大きい。
野原一家とは対照的なレモンの家族が登場し、
その対比から親と子の健全な関係性を浮き彫りにする。
レモンは、しんのすけとひろし、みさえのやり取りを見て、
自分が親の言いなりになっていることに気が付く。
スパイになるために感情を殺すように教育されてきたレモンが、
しんのすけとの交流を通して、年齢相応の感情を抱くようになる。
その過程が本作の肝かな。
なんか「エヴァンゲリヲン」の綾波レイみたいなレモンですが、
スパイとしての活躍ぶりもなかなかなもので、強い印象を残している。
監督は前2作を手がけたしぎのあきらから、
『伝説を呼ぶブリブリ3分ポッキリ大進撃』などの絵コンテを手がけてきた増井壮一にバトンタッチ。
増井壮一にとって初の「クレしん」監督作となるが、
劇場版「クレしん」が培ってきた世界観を踏襲しつつ、
手堅くまとめ上げている。
歴代の監督は概ね2本ぐらいは撮るので、
次回作ではギャグをもう少し盛り込んで下さい。
頑張って原恵一監督に続いて欲しい。