4/16よりシネマスクエアとうきゅうほか全国順次公開 配給会社:ギャガ (C)2009 Cinema Popular Ltd. All Rights Reserved. |
1906年。辛亥革命前夜の香港。
腐敗した清朝打倒計画を話し合うため香港にやって来た革命家・孫文。
暗殺を企む清朝の刺客たちから孫文を守るため、
彼の革命を支持する義士たちが立ち上がる。
上映時間2時間18分に及ぶアクション超大作だが、
最初の1時間は、多くの登場人物たちの関係や人柄を丹念に描いており、
アクションは控え目。
アクションを期待する側からすると、
「いつまでお預けなのよ!」ってな感じで、隔靴掻痒な気分に陥るも、
そんな思いは「孫文を1時間守る」という物語の設定通り、
1時間近くに及ぶ後半のアクションが、全て吹き飛ばしてくれる。
じらされた分、その反動は更に大きい。
思えば、ここ最近、ジャッキー・チェンの『ラスト・ソルジャー』以外で、
香港アクションを見ていなかった。
久しぶりに、華麗なる香港ワイヤーアクションを堪能させてもらった。
物語の時代設定的にも、
大傑作「ワンス・アポン・ア・タイム・イン・チャイナ」シリーズを彷彿とさせ、
あの興奮が再び甦った。
その「ワンチャイ」シリーズ第二弾で、孫文も登場する『天地大乱』に出演し、
リー・リンチェイ(ジェット・リー)と香港アクション史上屈指の名勝負を披露した
ドニー・イェンが、今回も輝いている。
ドニー・イェンのアクションは、柔術を取り入れることが多いが、
本作でもらしさ炸裂。
また、商店街でのチェイスシーンも単に走るだけでなく、
一挙一動がアクロバティックで美しい。
やはり、ドニー・イェンのアクションは凄い。
そして、もうひとり、本作で重要なアクションシーンを担うのはレオン・ライ。
流石にドニーほどの華麗さはないが、安定感のあるアクションを披露している。
で、孫文を守るボディガードたちの中で、
伝統的な香港アクションを披露するのは、
この2人と紅一点のクリス・リーのみ。
あとはスリムクラブのデカイ方にしか見えない豆腐売りの巨人が、
デカイなりのアクションを見せるぐらい。
ニコラス・ツェーなんて、
香港アクションやろうと思えば出来るはずなのに、
そういう見せ場はない。
そのニコラス・ツェーが演じた車夫のアスーもそうだが、
役柄的にもツワモノと呼べるような人物は、先述の4人以外登場しない。
あとは普通のオッサンや若者だ。
にもか関わらず、約1時間の大アクションが成立する。
何故なら前半の人間関係が、それぞれの戦いに因縁を生み出しているからだ。
常套手段なのかもしれないが、
そのドラマチックな集約のさせかたが美しい。
ボディガードと主要な暗殺者全員にドラマがあるんだよ。
凄いことだ。
で、単純だからさ、そのカタルシス満ちた戦いに感動して、
2、3回泣きそうになっちまったよ。
あと、役者も豪華。
先に挙げた人たちの他にも、エリック・ツァン、サイモン・ヤム、
ワン・シュエチー、レオン・カーフェイといった渋い演技派が出演。
ファン・ビンビン、チョウ・ユンといった女優陣もかわいい。
豪華スターが集結し、
人間ドラマとアクションが完璧にマッチングした近年稀にみる傑作。