5/7よりシアターN渋谷にて 配給会社:キングレコード (C)2010 Prima Films Pty Ltd. |
オーストラリアの岩山に描かれた古代壁画の調査のために、
人里離れた山奥へとやって来たアーニャと友達5人。
気楽なキャンプのつもりだったが、蛭に食われた友達のメルが、
無数の牙を持つ人食い鬼へと変貌し、アーニャたちに襲いかかる!
人里はなれた場所へやって来た若者たちが、
地獄のサバイバルを繰り広げるオーストラリア産ホラー映画。
若者グループが、僻地でキャンプ。
殺人鬼やモンスター、あるいは変異した仲間から襲われる。
車は壊れて脱出は出来ない。
誰も助けに来ない。
武器という武器はほとんどない。
さぁ、どうする!?
ホラー映画のセオリーだらけの映画。
キャラの設定も基本を押させている。
セックスした奴は必ず死ぬ。
見ていてイライラするキャラの存在。
そして、ファイナルガール。
今の時代にこんな定番映画作ってどないすんねん!
ってな感じですが、
定番だからこそ、定番なりの楽しみ方があるのもまた事実。
「あぁ、セックスしちゃった。こいつ死ぬぞ」
「やっぱり殺された!」
「もうバカだなぁ!さっさと逃げろよ!」
そんなツッコミを(心の中で)入れながら、
見るのもまた楽しいものです。
新しい点といえば、セックスしちゃった女が殺されるのではなく、
人食い鬼になり殺す側になることと、
人食い鬼に噛まれても感染しないということぐらいか?
喰われて殺されたカンガルーはなぜ凶暴化しない!?
監督、脚本、製作、編集と一人で4人分働いたのは、
サム・ライミを敬愛してやまないというジョシュ・リード
父親は『ロング・ウィークエンド』を手掛けたコリン・エッグルストン。
『ロング・ウィークエンド』は、倦怠期の夫婦がキャンプに出掛け、
自然の脅威に怯えるというホラー映画で、カルト的な扱いを受けている。
ホラー映画じゃないけど、限りなくホラーに近い恐怖を醸し出している、
実際に起きた少女集団失踪事件を題材にした『ピクニックatハンギング・ロック』など
(監督はピーター・ウィアー)
オーストラリアの作家たちは、
自然に対して敬意を表しつつも、畏怖を感じているのかもしれない。
『共喰山』の原題は「PRIMAL」で、「原始的な、根本的な」という意味。
息子のジョシュ・リードは、父親からの影響はないと語っているが、
人間と自然といった原始的な部分に惹かれている点は共通しているようだ。
(キャンプに行って、酷い目に遭うのも似ている)
また、オヤジが1970〜80年代にかけて、
崩壊状態だったオーストラリア映画復興の旗手となり活躍したように、
ジョン・リードもガッツがある。
コメディや陳腐なドラマが主流となっているオーストラリア映画界に対して反旗を翻し、
「自分たいが作りたい映画は、自力でやりたいように作る!」をモットーに、
オーストラリアでは完全にニッチなジャンルとなる本作を作り上げた。
製作費も潤沢にはなかったと思うんだけど、その勢いはとてつもなく感じる。
で、パワフルとえば、邦題の『共喰山』もパワフルだ。
インパクト大ですね。
本作の配給会社はキングレコード。
去年の2月にも『共喰山』と同じような末路を辿る若者達のサバイバルを描いた
『処刑山−デッド卍スノウ−』という映画を配給している。
こちらの原題は「DEAD SNOW」。
原題をサブタイトルにして、メインタイトルを『処刑山』にしちゃっています。
買い付けをしているプロデューサーは、相当、「山」という言葉が好きなんでしょう。
『共喰山』はオーストラリア、
『処刑山−デッド・スノウ−』はノルウェイの映画だ。
キングレコードのプロデューサーは、
今頃、来年の公開に向けて、
非ハリウッドで製作された「山」が舞台の定番ホラーを物色しているに違いない。
次は「何山」か!?
今から奇抜な邦題が楽しみです。