5/27よりTOHOシネマズ日劇ほか全国にて 配給会社:東宝東和 (C)2011 Universal Studios. ALL RIGHTS RESERVED. |
マット・デイモン主演で、ブルーを基調としたビジュアルを見ると、
「ジェイソン・ボーン」シリーズを思い起こさせるが、全く違うタイプの作品。
フィリップ・K・ディックの原作の映画化で、
実は人の運命が、ある力を持った者たちによってコントロールされていたというお話。
『マトリックス』の非仮想現実版みたいな感じか?
マット・デイモン演じる政治家デヴィッド・ノリスは、
エミリー・ブランド扮するミステリアスな女性エリースと出会い、瞬時に惹かれ合う。
数日後、通勤バスで偶然エリースと再会したデヴィッドは、
彼女から携帯電話の番号を聞き出す。
しかし、デヴィッドとエリースは、
2人が結びつくことがないよう「アジャストメント・ビューロー(運命調整局)によって、
運命をコントロールされていた。
それを知ったデヴィッドは、自らの手で運命を切り開き、
エリースと再会し、恋を成就すべく立ち上がる。
何者かに運命を管理されているという設定はよくある話だが、
「アジャストメント・ビューロー」のエージェントが持ち歩く“運命の書”、
常に身に着けている帽子、エージェントたちの行動回路となるドアといったアイテムを使いうなど、
なかなかユニークな作りになっている。
しかし、運命が管理されている社会という大きい器の割には、
作品の核心となる部分がデヴィッドとエリースの恋の行方で、
ややスケール感に欠ける。
かといって、ラブストーリー色が強いかというと、
それほどでもなく、やや中途半端な感は否めないかな。
2人が結びついてはいけない重大な理由があるんだけど、
もっと究極の選択を強いられるような要素を入れてくれたら、
デヴィッドの葛藤がより鮮明になり、もう少し盛り上がったかもしれない。
でもね、エリースをゲットするためにがむしゃらになるデヴィッドの根性は凄まじい。
「そこまでして一人の女性を手に入れたいのか?」ってぐらい頑固。
その一途な思いには、尊敬の念すら抱いてしまう。
そして、そんなデヴィッドの行動に翻弄されるエージェントたちが、結構笑える。
“ここぞ!”という時の詰めが、少々甘いのだ。
そもそもデヴィッドとエリースが、バスの中で再会してしまったのも、
一人のエージェントの些細なミスだ。
でも、実はこれが本作のポイントでもある。
全知全能じゃないエージェントのダメっぷりは、
とても人間臭く、親近感さえ覚えてしまう。
SF映画だけどあまり無機質に感じないのは彼らのお陰か?
正直、最後の方は強引だし、ちょっと訳が分からない状態に陥るんだけど、
キャラクターが魅力的というものあって、結構楽しめました。
実は本作、東日本大震災が起こる前に見た最後の作品。
この映画を見た時は、まだ地震も津波も原発事故もなかった。
あの時に戻って、変人と思われてもいいから、
地震が起きること、津波が来ること、原発事故が起こることを世に訴えることができたら・・・。