6/11よりTOHOシネマズスカラ座ほか全国にて 配給会社:20世紀フォックス X-Men Character Likenesses TM & (C) 2011 Marvel Characters, Inc. All rights reserved. TM and (C) 2011 Twentieth Century Fox Film Corporation. All rights reserved. |
2000年〜2006年にかけて3本製作された「X-MEN」シリーズの前章譚。
(2009年にはスピンオフの『ウルヴァリン:X-MEN ZERO』も製作されている)
ミュータントと人類の共存を訴えるプロフェッサーX。
ミュータントが人類を支配するべきだと主張するマグニートー。
旧三部作で敵対していた2人の若き日々が描かれる。
過去作を見ていなくても、
もっと言えば、「X-MEN」なんて全くわからないという人でも
楽しめる作りになっているとは思うが、
やはり見ているに越したことはない。
なぜプロフェッサーXは車椅子なのか?
なぜハゲなのか?
なぜ若きミュータントたちを育成しているのか?
なぜマグニートーは急進的な思想の持ち主なのか?
そんな疑問に答えてくれる(一部謎のままだが・・・)。
こういう「あー、そうだったのか」系のネタは、
やはり前の作品を見ていないと楽しめない。
アナキン・スカイウォーカーが、
なぜダークサイドに堕ちたのかを楽しむ「スター・ウォーズ」新三部作と同じだ。
この他にも、プロフェッサーXとマグニートーの過去の意外な(でもないか・・・)関係が明かにされたり、
(これが結構、切ない)
見た者に姿を変えられるミスティークの微妙な立場、
ミュータントと人間の対立の根源、ミュータントたちの呼び名の由来などが語られる。
旧三部作でポカをしまくるプロフェッサーXは、若い時から詰が甘いんだぁ〜といったような、
やっぱりそうだったのね的な発見もある。
また時代設定が、米ソ冷戦真っ只中の1960年代で、
キューバ危機という実際にあった事件を上手く取り入れている。
登場する機材や衣装も時代に合わせてレトロで、
今までの「X-MEN」にない雰囲気を醸し出している。
出演者は若きプロフェッサーXを演じたジェームズ・マカボイ以外、
誰が出ているのか知らないで見たんだけど、
『イングロリアス・バスターズ』のマイケル・ファスベンダーやケビン・ベーコン、
ローズ・バーンなど地味に豪華。
更に、「久しぶり!!」って思ったのに、出番が少なかったオリヴァー・プラットや、
『ターミネーター4』に引き続き軍人を演じた
カナダのジャック・ニコルソンことマイケル・アイアンサンド、
その他、『スナッチ』など多くの作品に出ているジェイソン・フレミングなど、
通好みの役者が脇を固めているのも嬉しい限り。
女優陣も充実だ。
『アンノウン』で、リーアム・ニーソン演じる主人公の奥さんを演じたジャニュアリー・ジョーンズが出演。
露出度の高い60年代ファッションに身を包み、クールなエロさを振りまいている。
レベッカ・ローミン・ステイモスに代わりミスティークを演じたのは、
ジェニファー・ローレンス。
未見だが「Winter's Bone」で数々の賞を受賞している若き演技派。
レニー・ゼルウィガーぽい、ムッチとしたエロ気を出している。
空飛ぶミュータントのエンジェル・サルバトーレ役には、
レニー・クラヴィッツとリサ・ボネットの間に生まれたゾーイ・クラヴィッツ。
大人と子供の中間にあるようなちょっと危ういエロさは、
母親のリサ・ボネットが『エンゼル・ハート』で見せたそれに共通している。
先述のローズ・バーンも、ランジェリー姿で奮闘している。
ちゅうことで、いろんなタイプの女優さんを一度に楽しむことが出来る作品でもある。
あと、キャストで驚いたのがハンク・マッコイ(ビースト)役のニコラス・ホルト。
この人、『アバウト・ア・ボーイ』(02)の子役なのね。
『アバウト・ア・ボーイ』のキャンペーンで来日した時に、
当時担当していた映画情報番組のMCを務めていた襟川クロさんに、
ニコラス・ホルトへインタビューしてもらった。
取材現場に同席したんだが、普通に子供でした。
そんな少年が、もうこんなに大きくなって・・・。
もうお酒が飲める年なのね・・・。
時が経つのは早いものです。
続きまして、マグニートーことエリック・レーンシャーの少年時代を演じたのは、
『リトル・ランボーズ』のビル・ミルナー。
若手からベテランまで幅広いキャストが揃っている点にも注目だ。
監督は『キック・アス』のマシュー・ヴォーン。
やはりオタク要素が多分にある作品は、
オタクな映像作家が撮るべきだ。
本作の未来にあたる旧三部作との整合性はきちんと取れているし、
その説明は簡潔で分かり易い(ある意味、単純なんだが)。
ミュータントたちの葛藤という本シリーズの核の部分も外していないし、
エンターテイメント性も優れており、手堅くまとめた感じ。
未熟者が成長していくという点は、
『キック・アス』とも共通する。
本作の全米での成績は、過去のシリーズの成績と比べると少し見劣りする。
しかしながら、1億ドルは間違いなく突破するし、
批評家受けも良いので、是非、70年代、80年代、90年代の「X-MEN」を描き続けて欲しい。
それにしても、人気シリーズの過去を描くケースが多い。
「スター・ウォーズ」、「バットマン」、「X-MEN」などなど・・・。
10月には、『猿の惑星:創世記(ジェネシス)』もある。
既に結果がわかっているだけに、
その過程でどう観客を楽しませるのか。
既成事実があるゆえに制約も多く、それなりに練る必要があると思うので、
もしかしたら完全オリジナルでゼロから作るよりも、ハードルが高いのかも。