6/18よりヒューマントラストシネマ渋谷ほか全国にて 配給会社:プレシディオ (C)Rodar y Rodar Cine y Television, S.L / A3 Films, 2010 |
『パンズ・ラビリンス』、「ヘルボーイ」シリーズのギレルモ・デル・トロが、
製作総指揮を務めたスパニッシュ・ホラー。
いや、ホラーじゃないな・・・。
全然、怖くないからね。
ジャンル分けするのならば、サスペンス映画かなと。
角膜手術を終えたばかりの全盲の女性サラが、自宅で首吊り自殺をした。
サラの双子の妹フリアは、姉の死は「他殺ではないか?」という疑問を抱き、
独自の調査を始める。
やがて、フリアはサラに恋人と思われる男性がいたことを突き止めるが、
誰もが口を揃えて「彼の顔を見ていない」「覚えていない」を言う。
そして、調査を続けるフリアも次第に視力を失い始めるとともに、
不審な男の人影がチラつき出し・・・。
盲目の人が主人公のサスペンス映画は、過去にもいくつかある。
古くはオードリー・ヘップバーン主演の『暗くなるまで待って』(67)、
ちょっと前だと、オキサイド・パン&ダニー・パン監督のタイ映画『THE EYE【アイ】』(03)、
そのリメイクとなるジェシカ・アルバ主演の『アイズ』(08)、
集団失明パニック・サスペンス、フェルナンド・メイレレス監督作 "_blank">『ブラインドネス』(08)などなど。
田中麗奈が盲目の女性を演じた『暗いところで待ち合わせ』という日本映画もある。
『ロスト・アイズ』がこれらの作品と違うのは、
主人公フリアの視力が段々と落ちていくという点かな。
更にフリアは一度視力を失ってから、再び見えるようになる。
それを敵に悟られないようにする展開も、今までにないパターンだと思う。
カメラがフリアの目線となり、
フリアの視力が落ちていく過程を観客に見せたり、
ある男性の顔を全く映さないなど、なかなか凝った演出が施されている。
が、しかし!
全く怖くないのだよ・・・。
目が見えなくなる恐怖を主人公と共に味わうという点では、
『ブラインドネス』の方が100倍怖かった。
男性の顔を映さない演出も、顔が出た瞬間、「だから?」ってな感じで、
あまり効果的とは思えなかった。
そして、致命的なのが、ヒロイン。
フリアを演じるのは、『海を飛ぶ夢』、『永遠のこどもたち』などに出演していたベレン・ルエダ。
演技力は申し分ないのだが、いかんせん、年齢が・・・。
1965年生まれなので、この映画の出演時は44〜45歳。
あまり女性の年齢をどうこういうつもりはないけど、
サスペンス映画のヒロインにするにはちょっと薹(とう)が立ち過ぎているでしょう。
喜ぶのは熟女芸人ぐらいか?
ところが、熟女芸人以外にも喜ぶ奴がいたんだな。
それは誰であろう、サラとフリアを付け狙う本作の犯人君だ。
盲目の熟女が大好きなストーカーで、
オツムも完全にいかれている。
サラとフリアに対するマッドな思いと行動は、
ほとんどギャグ状態。
「おいおい、お前さんは何がしたいんだよ」って、
笑いながら突っ込んでしまいましたよ。
ネタバレになるから書けないけど、
盲目フェチとなるトラウマも、
あまりの内容に失笑してしまった。
いや〜なかなかのサイコ野郎でした。
もしも見るのなら、
悲しき犯人君のキャラを楽しもう!という姿勢で見るのが良いでしょう。
「私にとって、本当に奇跡のような作品だ」というデル・トロのコメントがあるんだけど、
ホンマでっか!?