7/2より丸の内ルーブルほか全国にて 配給会社:パラマウント ピクチャーズ ジャパン (C)2007 WARNER BROS. ENTERTAINMENT INC. TM & (C)2010 Marvel (C)2010 MVLFFLLC. All Rights Reserved. |
神の国<アスガルド>の最強戦士ソーは、その強さがおごりとなり、
自国を戦乱の危機に陥れてしまう。
その罰として、父である王オーディンによって、
王位継承権と選ばれし者しか持つことの出来ない武器“ムジョルニア”を剥奪され、
地球へと追放されてしまう。
そして、ソー不在の隙を突いて、弟のロキがある計画を企てる。
それは<アスガルド>の征服と地球にいるソーの抹殺だった・・・。
この約10年の間に雨後の筍のごとく大量生産されてきたアメコミの映画化。
日本で記録的なヒットを飛ばしたのは「スパイダーマン」(02〜07)シリーズぐらいだが、
『ダークナイト』(08)、『アイアンマン』(08)など、
奥深くって大人も(が)楽しめる作品が多かった。
今回映画化された『マイティ・ソー』は、
マーベル・コミックスに登場するキャラクターなんだが、
アメコミにあまり造詣が深くないため、その存在自体を知らなかった。
でも『アイアンマン』とか、良く知らなくても十分に楽しめたし、
近年の映画化されたアメコミ作品は、全体的にクォリティが高いし、
監督がケネス・ブラナーだしってことで、大人の鑑賞に耐えうる作品だと思っていた。
しかし、実際にはそうではなかった。
やっちまった・・・。
入り口を間違えちまった。
『マイティ・ソー』は、アメコミの映画化の中でも屈指のバカ映画だったのだ。
まず、主人公のソーがバカだ。
後先考えないで行動し、周りの人たちを巻き込む厄介者だ。
オマケに筋肉バカでもある。
地球に落下したソーは、天文学者ジェーンの車に轢かれ病院へと運ばれるが、
またそこで大暴れ。
病院を脱走したソーは、上半身裸で俺の肉体を見てくれとアピール。
俺様ナルシストの乱暴者。
こんな方とはあまりお近づきになりたくないものですが、
世の中には物好きがいるんですね。
ジェーンはソーに興味を抱き、何かと助ける。
やがてお決まりのパターンで互いに惹かれあっていくんだが、
この恋愛パートのチープさといったらない。
ペラッペラッ。
あぁ〜、今思うと、入り口を間違えたことが本当に悔やまれる。
初めからバカ映画だと思って見たら、
このバカさ加減を素直に楽しむことができただろうに・・・。
普通に考えたら、ケネス・ブラナーがバカ映画を作るとは思わないからね。
でも、なんでケネス・ブラナーがアメコミ映画の監督を務めたんだろうか?
ソーたちは神なわけでいわば高貴な一家だ。
そんな家族たちの憎悪に満ちたドロドロした人間(神様)関係が、
シェイクスピア作品に類似しているからかな?
でも日陰の存在でその出生にも秘密があるロキは、まだましな方だが、
ソーはそこまで葛藤しない。
だってほら・・・、バカだからさ・・・。
で、やっぱり、
ケネス・ブラナーと言えば、RADA(王立演劇学校)を首席で卒業するなど、
ザッツ・英国というイメージがあるんで、
どうしてもアメコミ映画を撮ることに違和感を覚えたね。
まぁ、今まで気品のある作品を多く手掛けてきたんで、新境地開拓か?
そのケネス・ブラナーのバカ映画進出で、
大役を担ったのが、ソーを演じたクリス・ヘムズワース。
バカだけどちょっと憎めないというソーのキャラクターをなかなか上手く体現している。
本作だけでは演技力とかわからないけど、
筋肉含めてルックスにインパクトはある。
アメリカのプロレス団体WWEに出てきそう。
過去にJ.J.エイブラムスの『スター・トレック』に出演しているが、
知名度はどれほど高くない。
そういう役者を超大作の主役に抜擢しちゃうハリウッドも凄い。
日本映画ではあまりないだろう。
そんな無名の主演俳優をサポートするため、
ヒロインには知名度抜擢の女優をキャスティング。
ナタリー・ポートマンだ。
アカデミー主演女優賞を受賞した『ブラック・スワン』の熱演とは違って、
力を抜いているのがバレバレの省エネ演技で、バカ映画に華を添えている。
続いて、名優アンソニー・ホプキンスが、王オーディンを演じている。
流石に貫禄あります。
そして、出番が少なく見落とされがちだが、
女王役でレネ・ルッソが出演している。
「リーサル・ウェポン」シリーズで、
メル・ギブソン扮するリッグスの恋人役を演じていた女優さんだ。
お久しぶりぶりです!
もう57歳なんですね・・・。
あと、浅野忠信がソーに仕える戦士ホーガン役で、
念願のハリウッド・デビューを果たしている。
ハリウッド映画に出演したこと自体、凄いことだと思うけど、
欲を言えばもう少し見せ場を設けて欲しかった。
ということで、なかなかの豪華キャストです。
そして、マーベル・コミックスの映画といえば、
他の作品と連動している点も楽しみのひとつ。
「アイアンマン」シリーズにも登場しているS.H.I.E.L.D.のコールソン捜査官が、
本作にも顔を出している。
それからもう定番と化しているから書くけど、
他のマーベル作品にちょいちょい出てくるあの有名な黒人俳優も登場するほか、
某有名俳優のカメオ出演もある。
これらはアイアンマン、ハルク、キャプテン・アメリカ、ソーら、
マーベル・コミックスのヒーローが集結する2012年公開予定の『ジ・アベンジャーズ』への布石だ。
てな感じで、『マイティ・ソー』を見ると、
『ザ・アベンジャーズ』への期待がますます膨らむのですが、
『マイティ・ソー』そのものは、バカ映画です。
もしも『マイティ・ソー』を見るのであれば、
バカ映画という心構えで見て下さい。
最後に3Dですが、今回はマスターイメージ方式で鑑賞。
メガネが軽く、画面もそれほど暗くはならないので、
XpanDよりもストレスなく見ることが出来た。
でもやっぱり3Dは、嫌いだ・・・。