7/2より全国にて 配給会社:松竹、アニプレックス (C)荒川弘/HAGAREN THE MOVIE 2011 |
今まで原作にも、アニメにも触れたことが一切無く、
どんな人物が登場し、どんな活躍をするのかはもちろん、
設定や世界観すら知らないという完全に知識ゼロの状況下で見た。
原作コミックを読むなり、TVアニメシリーズを見るなりして、
ある程度の知識とファン的な感覚を得ておかないと、
この手のアニメはなかなか取っ付き難い。
どうしても初心者には敷居が高く感じるので、
見る前は「大丈夫かな?」という不安があった。
しかしながら、そんな危惧は瞬く間に吹っ飛び、
始まって数分で虜になってしまった。
いやー、面白い。
主人公エドワード・エルリックがどんな人で、どんな力を持っているかは、
最初の10分ぐらいですぐにわかる。
なぜエドの右手が、機械鎧なのか?
なぜ弟のアルフォンス・エルリックが、鎧兜を着ているのか?
そんなエルリック兄弟の過去もきちんと紹介してくれるし、
その性格の違い、そして、絆もきちんと描写されている。
なんて親切なんでしょう。
その経緯もなんだか悲劇めいていて興味津々。
今まで2人の人生を知りたいと思った。
この魅力的な兄弟が、未知の錬金術を使う脱獄囚メルビン・ボイジャーと、
その妹であるジュリア・クライトンという、
これまた魅力的な兄妹と出会い、彼等と共に壮大なアドベンチャーを繰り広げる。
初っ端の「鋼の錬金術」とは何ぞや、
ということがわかるエルリック兄弟VSメルビンの戦い以降、
これぞアニメーション!と思えるようなド派手なアクションが繰り広げられる。
そのスピード感とスリルと爽快感はかなりのもので、
見ていて本当に気持ちがよかった。
特に列車の上での戦闘から、
本作のメインの舞台となる谷底の地「ミロス」へと落ちていく一連のシークエンスは圧巻だった。
ちょっと前に、日本が誇る超有名アニメスタジオの最新作を見たんだけど、
アニメーションならではの動きがほとんどなく、
かなりガッカリしたばかりだったので、
この活劇には、かなり燃えました。
また、物語も二転三転して、先が読めない面白さがあった。
脚本は、小説家というよりも脚本家としての知名度が高くなりつつある真保裕一。
流石は冒険小説の名手。
何かと制約が多そうな「ドラえもん」よりも、
ターゲットの年齢層が少し高くて、
大人の要素が入れられる「鋼の錬金術師」の方が、
物語を作りやすかったのではないだろうか?
37歳のオッサンの鑑賞に堪えうるんだからね。
あと、「ミロス」という地の境遇も物語の大きなポイントになっている。
3月11日の震災後、“故郷”の大切さが身に沁みているので、
「ミロス」の民の思いをより感じることが出来た。
ということで、
キャラクター、アクション、物語、初心者OKとトータルで見て、
かなり完成度が高い作品だと思いました。
メイビー、元々のファンも大満足なのでは?
ファンは、言われなくても見に行くから良いとして、
全く「鋼の錬金術師」に触れたことのない方々にも是非見てもらいたい。
「鋼の錬金術師」と出会えて良かったです。
やはり、何事も触れてみないとわからんもんですなぁ。
機会があったらコミックも読んでみようと思います。
原作を読んだ後に本作を見たら、また新たな発見があるのでしょう。