8月20日より丸の内ピカデリーほか全国にて 配給会社:ギャガ (C)2009 TWC Asian Film Fund, LLC. All rights reserved. |
1941年、太平洋戦争開戦間近の上海。
同僚で親友だったコナーの死の真相を突き止めるため捜査を開始した米国諜報員のポールは、
事件と関わりがありそうな人物たちへの接触を試みる。
日本軍情報部のタナカ大佐。
行方をくらましたコナーの恋人スミコ。
中国裏社会のドン・アンソニー。
アンソニーの美しき妻アンナ。
彼等は皆、表と裏の顔を持ち、様々な思惑を抱いていることを知ったポールは、
やがて巨大な陰謀へと巻き込まれていく。
資料を元に物語を書いてみましたが、
ポールは巻き込まれたのではなく、
自ら事件に飛び込んでいったという表現の方が正しいかな。
同僚の死の真相を探るという大義名分は、
アンナに惹かれた時点で半分ぐらい消滅。
上司から止めろと言われているのにも関わらず、事件に首を突っ込む。
アンナは革命家というもうひとつの顔を持っていて、
ポールを上手く掌で転がすファム・ファタールな可能性も充分にあるし、
上海の状勢からしてポール自身の命すら危うい。
にも関わらず、ポールは危ない橋を渡る。
そんな自らの命を省みないポールをカッコイイと感じる人もいるとは思うが、
なんか単なる色ボケ野郎に見えちゃってさ。
あんた諜報員でしょ?って。
まぁ、ジェームズ・ボンドも女に骨抜きにされたからね。
男の哀しい性ってとこでしょうか?
そんなポールを演じるのはジョン・キューザック。
プロフェッショナルだし、好きな俳優だけど、
今回の役はあまりはまっているようには思えなかった。
まず諜報員に見えない。
現実では、諜報員に見えない方が良いんだろうけど、映画だからね。
柔和な顔立ちな分、この作品のダーティワールドに溶け込めてない気がした。
その他、コン・リー、チョウ・ユンファ、渡辺謙、菊池凜子、
デヴィッド・モーズ、フランカ・ポテンテと国際色豊かなキャストが揃っている。
コン・リーは40代半ばとは思えない妖艶な色気がムンムン。
脱いでいるわけでも、過剰に露出しているわけでもないのにね(胸の谷間は強調していますが)。
この映画で一番印象に残っているのは、コン・リーだ。
(いや、胸の谷間だ!)
渡辺謙はこれだけのキャストの中にいても全く見劣りしない。
『ラスト サムライ』から早7年以上。
完全に国際的なスターになった。
チョウ・ユンファはいつも通りの存在感。
何をしでかすかわからない不気味さが漂っている。
やはり“亀仙人”なんかより、
こういうキャラクターの方がユンファには合っている。
で、菊池凛子なんだが、最初、菊池凛子だってわからなかったよ。
“そういえば、この映画に菊池凛子出てなかったっけ?あれ!?もしかしてあの人?”ってな感じ。
でも、なかなか見応えのある演技を披露している。
強力な出演者たちを束ねたのはスウェーデン出身のミカエル・ハフストローム監督。
アンソニー・ホプキンス主演の『ザ・ライト 〜エクソシストの真実〜』を撮った人だ。
その前の作品はスティーヴン・キングの小説を映画化した『1408号室』。
見ていないんだが、スリラーのようだ。
オカルト、スリラー、ホラー系の作品を撮っている監督が、
『シャンハイ』を手掛けていることにちょっと違和感を感じたんだけど、
職人気質な監督なのかな?
1941年代の上海がどんな感じだったのかは知らないが、
その当時、こんなんだったんだろうなという混沌とした雰囲気は十二分に伝わってきた。
上海の街並みを再現した巨大なセットが素晴らしい。
決してつまらない作品じゃないし、キャストも豪華。
大作感もある。
にもかかわらず、アメリカでは配給が決まっていない。
何でだろう?