9/23よりヒューマントラストシネマ有楽町ほか全国にて 配給会社:日活 (C)2010-JOHN WELLS PRODUCTIONS |
リストラされた男たちの苦悩と再起を描いた人間ドラマ。
ボストンに本社を構える総合企業GTXの販売部長、
年収は12万ドル、愛車はポルシェ、趣味はゴルフ。
37歳にして勝ち組ライフを満喫していたボビーだったが、
リーマンショックの影響で突然リストラを宣告されてしまう。
会社をクビになったボビーは、
自分の実績と能力があれば、再就職先はすぐに決まると思っていた。
しかし、現実は厳しく以前と同じレベルの仕事先は見つからない。
大工である義理の兄から「仕事を手伝わないか?」と言われても、
プライドが邪魔をして、せっかくの救いの手を跳ね除ける。
危機的状況下にも関わらず、一度手にした生活スタイルを下げることは難しく、
ボビーは車を手放そうとしないし、今まで住んでいた豪邸にも固執する。
そんなボビーを支える妻のマギーの方がよっぽど現実的で、
ボビーに現状を見るようにと訴える。
やがって、二進も三進もいかなくなったボビーは、
遂に成功の象徴であった高級車も、豪邸も手放すことになってしまう。
更に子供たちまでもが、家庭の苦しい事情を察していると知ったボビーは、
仕方なく義兄の仕事を手伝うことに。
この大工仕事と家族の存在が、自分自身の人生を見つめ直すきっかけとなり、
ボビーは本当に大切なものを学び、成長していく。
また、本作には、ボビー以外にもリストラされてしまう男たちが登場する。
そのうちの1人で重役だったフィルは、
長年働き続けた会社からの非情な宣告に大きなショックを受ける。
会社に対する忠誠心は、憎悪となり、酒に溺れてしまう。
この映画にとって、フィルの存在はとても大きく、
ボビーと対比するキャラクターとして描かれている。
ボビーは、多少、楽観的で自尊心が強すぎるところはあるが、
決して諦めないし、酒にも頼らない。
自分をクビにした会社に対して、愚痴めいたこともほとんど言わない。
常に前を向いている。
フィルの場合は家族の支えもないし、年齢的な問題もあるので、
仕方がない部分は多分にあるんだが、この差は大きいように思う。
オイラはボビーのように(まだ?)リストラされていないけど、
ボビーとは同い年だし、これからの人生に全くの心配がないなんてことはまるでないので、
ボビーの生き様にはシンパシーを感じまくったし、勇気ももらえた。
希望を持つことや努力をすることの大切を改めて感じることができました。
そして、持つべきものは、家族であり、友だとも思った。
しかしながら、不況、東日本大震災、異常ともいえる円高。
今の日本はかなり酷い。
もっと切実にリストラの恐怖に怯えている人や、
実際にリストラされ、再就職先が見つからない人もたくさんいるでしょう。
会社そのものが倒産してしまったというケースもあるだろう。
年齢的にも再出発は難しいという人もいるはずだ。
そういう人たちが本作を見たら、どのような感想を持つのだろうか?
多分、年齢や立場、状況によって感じ方がまるで違ってくる作品のような気がする。
なんて思いつつも、先述の通り、オイラは感動した訳ですが、
物語の良さだけでなく、役者の良さもあって感動できような気がする。
主演のベン・アフレックを筆頭に、トミー・リー・ジョーンズ、クリス・クーパー、ケヴィン・コスナーですよ。
それぞれ脚本、助演、監督と部門は違えど、全員オスカー受賞者。
更に『ヒストリー・オブ・バイオレンス』でニューヨーク映画批評家協会賞助演女優賞を受賞したマリア・ベロも出演。
こんだけ演技派が揃えば、作品は締まりまくります。
物作りの大切さを訴え、現代の大企業の在り方の是非を問うトリー・リー・ジョーンズ扮するジーンの言葉や、
「人生良い時もあれば、悪い時もある」といったケヴィン・コスナー演じる大工の台詞にも重みと真実味が増す。
物語が心に突き刺さるだけでなく、
やっぱり役者の存在って重要だなぁ〜と痛感させられた一本でした。