『僕たちのバイシクル・ロード 〜7大陸900日〜』
2011年11月3日 より 東京都写真美術館、銀座シネパトスにて
配給：エデン、シナジー・リレーションズ
(C)2010 THE END PRODUCTIONS Ltd.


7大陸33カ国を900日以上をかけて自転車で踏破した2人のイギリス人の若者を追ったドキュメンタリー。


大学を卒業したばかりの従兄弟ジェイミー・マッケンジーとベン・ウィルソンは、
このまま社会人になって普通に生活していくことに抵抗を感じていた。


今しか出来ないこと、そして誰もやっていないことをやり遂げよう。
そんな思いから空路を使わない、自転車、電車、船による“7大陸踏破”の旅に出る。


特に自転車は作品のタイトルにもなっているように陸路の移動手段として重視。
可能な限り自転車での移動を心がける。
なぜなら一番の目的は世界を心ゆくまで見るのに最適だからだ。





プロの冒険家でもない。
自転車の知識もあまりない。
ガイドブックもない。
お金もない。


そんな中、2005年4月26日。
無謀ともいえる旅に出た2人は、
案の定、自転車の故障、怪我、疲労、病気、金欠に見舞われる。


しかしながら、持ち前の社交性とガッツと知恵と努力で、数々のトラブルを乗り越え、
フランス、ベルギー、オランダ、ドイツ、ロシア、モンゴル、中国、
ラオス、タイ、南極、ニュージーランド、チリア、ペルー、グアテマラ、メキシコ、
アメリカ、モロッコ、スペインといった国々を訪れる。





越境の際にちゃんとパスポートを提示していないようだし、大陸間の海路は無銭乗船。
“それってどうなの？”と思いつつも、目標に向かって突き進んでいく彼等の勇気と奔放さは、
素直に凄いなぁ〜って。


だが、この作品からこれ以外で、何かプラスになるものを得られたかというと少々微妙である。
というのは、年齢的にも、立場的にも彼等と同じようなことはもう出来ないから。


自転車で7大陸を旅するというスケールではないにしても、
多くのものを捨てて、あるいは置き去りにして長期間旅に出るのはかなり難しい状況。


よってジェイミーとベンを見ていると、己の人生に対しての後悔が先に立ってしまうのだ。
あの時は、今よりも環境的にも金銭的にも自由だったから旅に出れば良かったとかね。


勿論、自由を失った代わりに得たものもある。
しかしながら、もうあの頃の若さは二度と得られないと思うと切なくなる。


自転車が好きな人は、自転車旅行の光景を見ているだけで楽しいと感じるかもしれないが、
特に自転車愛好家という訳でもない。


彼等が旅した国々の風景や文化の違いは面白いと思ったけど、
正直、あまり自転車で行きたいとも思わない。(特に中国)





なので、沸いてくる感情は、失われた若き日々ばかり・・・。
いやー、だって前を向けといわれても、マジで彼らのような冒険は無理ッスよ。
勢いだけでなく、体力的にもね・・・。


全員とは言わないが、多くの35歳以上の人は、
同じようなことを感じると思う。


そんなわけで、この作品は、若い人、特にまだ社会人になっていない人たちに見てもらいたい。
きっと自分回顧をしてしまうオッサンが見るよりも、多くのものが得られるのではないでしょうか？


かつて若かかりし頃、年長者から言われてピンと来なかった言葉。
“若さってのは気付かないうちに過ぎ去ってしまう。今を大切に生きなさい。”
全くその通りだと痛感する今日この頃。


オッサン化、益々絶好調！進行中！！