2011年12月1日よりTOHOシネマズスカラ座ほか全国にて
配給:東宝東和
(C)2011 Paramount Pictures. All Rights Reserved.
『インディ・ジョーンズ/クリスタル・スカルの王国』以来3年ぶりとなるスティーヴン・スピルバーグ監督作。
今年の春に、スピルバーグの新作が3DフルデジタルCGアニメであると知った時、
全くときめかなかった。
3Dは嫌いだし、CGアニメもピクサー以外あまり触手が伸びないからだ。
この2つをスピルバーグに求めてはいない。
更に後日、そのビジュアル見てガッカリ・・・。
玉葱頭の少年タンタンは、どう見ても馴染めそうにない。
その後届いたインターナショナル版の予告編を見ると、
『レイダース/失われた聖櫃<アーク>』のアニメ版みたいだったので、
少し盛り返したものの、
結局、今までのスピルバーグ作品の中で、最も期待指数が低い状態で鑑賞することに。
あまり期待しないで見ると、そもそものハードルが低いから、
意外と面白かったなんていうケースも間々あったりするのですが、
『タンタンの冒険/ユニコーン号の秘密』に関しては、
残念ながらテンションが上がりそうで上がらないまま終わってしまった。
まず懸念した通り、タンタンに愛着を覚えることが出来なかった。
これはタンタンの相棒の犬をスノーウィ含め、他のキャラクターも同様だ。
ピクサーにも最初はビジュアル的に受け付けないキャラクターがいた。
具体的にいうと『モンスターズ・インク』のマイクだ。
しかし、『モンスターズ・インク』を見たらマイクの虜になっていた。
マイクの内面的なキャラクター造形が、ビジュアルに勝っていたからだ。
面白いもので中身が良いと気持ち悪いと感じた容姿も可愛らしく見えてくる。
タンタンにも少し同様のことを期待したんだが、
初っ端からタンタンに関する説明は不足がちだし、
物語が進行してもタンタンの魅力がどこにあるのかわからんかった。
本作はベルギーの漫画が原作で世界中で愛されているという。
日本にもファンがいるかもしれないが、そこまで知名度高くないでしょ?
タンタンが世界中を飛び回って、体験した冒険を記事にしている少年レポーターであるという設定すら、
曖昧なまま見てしまった。
みんなタンタンを知っているというのを前提で作られると、ちょっと辛い。
只でさえ擬人化したリアルなCGキャラクターに親しみを覚えるのは困難なので、
もう少し内面を掘って欲しかった。
どのキャラクターにも感情移入出来なかったと書きましたが、
タンタンと旅を共にするハドック船長は中でも酷い。
単なる酔っ払いじゃないか。
キャラクターがダメならせめて物語でもと思ったんだが、
これも「17世紀に海上から消息を絶ったユニコーン号の財宝を探す」という、
あまり捻りのないストーリーでいまいち盛り上がらない。
タンタンが財宝を是が非でも必要とする立場でもなく、
別にそこまでして追わんでも・・・って。
3Dに関しては、今更、奥行きがあったとか、立体的に見えたとか、
言い尽くされた言葉を並べるつもりはありません。
天下のスピルバーグが、ダメな3Dを作るわけが無い。
しかしながら、スクリーンを見上げることになる座席で見ると、
3Dの魅力なんてこれっぽっちも味わえない。
3Dメガネのフレームがスクリーンを遮るし、首が痛くて仕方がない。
やはり3Dは鑑賞の妨げにしかならない。
自分にとってはタバコみたいなもんだ。
なんのメリットもない。
クライマックス直前のチェイスシーンなど、
アクションシーンでときたま「おぉ!」と思わせるガメラワークがあったりしたんだが、
それは点でしかなく、線にならない。
因みに予告編で、キラーショット結構、見せちゃっています・・・。
あと冒険映画には必要不可欠といえるヒロインが存在しないのも残念だった。
今回、大分辛口になってしまいましたが、
それは大好きなスピルバーグ監督の作品だからというのもある。
スピルバーグの本領はこんなもんじゃないでしょう!って思ってしまうのです。
スピルバーグというだけで、ついつい求めるものも多くなってしまう。
どうやら本作は続編の構想もありそうなので、次回作に期待したい。
(本作のプロデューサーであるピーター・ジャクソンが続編を撮るという噂もある)
とはいえ、本作に対する他の方々の評判は悪くないです。
完成披露試写会では上映終了後に、自然発生かどうかわかりませんが、拍手が起こりました。
まぁ、映画の好みは人それぞれということで、
好きか嫌いか、良いか悪いかは自分の目で確かめるに限ります。
スピルバーグは名前だけでお客さんを呼べる数少ないブランド力のある映画監督だが、
今回、初のフルCGアニメで、初の3D。
「初」だらけなので、日本でどう受け止められるのか、とても興行が気になります。