11月30日(水)に東京ドームで行われたエアロスミスのライブに行って来ました。
エアロスミスは1973年にデビューした後、
「闇夜のヘヴィ・ロック(Toys in the Attic)」、「ロックス」などヒットアルバムを生み出し、
アメリカを代表するハードロックバンドとして活躍。
日本ではKISS、クィーンと共に、3大ロックバンドとして人気を博した。
しかし、70年代後半になるとドラッグやメンバー間の確執で低迷し、
ギタリストのジョー・ペリーとブラッド・ウィットフォードが相次いで脱退。
このまま終わりか?と思われたが、85年にオリジナルメンバーで復活。
ラッパーのRun-D.M.C.による「Walk This A Way」のカバー&共演も話題となり、
再びシーンの最前線へと躍り出た。
この頃、丁度、小生が洋楽を聴き始めた時期と合致し、
洋楽番組「ベストヒットUSA」で、エアロスミスの「Angel」のビデオグリップを見て、
スティーヴン・タイラーの容姿(主に顔)と声に衝撃を受けたことを今でもよく覚えている。
この「Angel」が収録されたアルバム「パーマネント・バケーション」、
続く「パンプ」、「ゲット・ア・グリップ」といった、
80年代中盤から90年代初頭にリリースされた第2黄金期のアルバムは、
自分にとって青春ど真ん中でとても思い出深い。
70年代のアルバムもぼちぼち買い揃え、
「Mama Kin」、「Eat The Rich」、「Walk This Way」は、バンドで演奏もした。
そんな訳で、かなり好きなバンドのはずなんだが、
何故かライブには行ったことがなかった。
今回の来日公演も行くつもりではなかったんだけど、
社会人1年目からの友人であるEちゃんから「相方が行けなくなったから一緒に行かない?」と誘われ、
思いがけずエアロスミスのライブ初体験となった。
声をかけられてから公演日までの日が少なかったため、
アルバムを聴き込む時間がなく(アルバム多いし・・・)、
ちょっと不安な状態で公演日当日、東京ドームのゲート入口でEちゃんと落ち合い会場に入った。
座席はアリーナでやや後方、ステージに向かって中央左寄りのPA席の左斜め後ろ辺り。
客の入りはボチボチでアリーナは埋まっていたが、スタンドは空席が目立った。
定時を数分過ぎた頃、客電が落ちて、
ステージの後ろに設置された三分割のスクリーンに導火線のような映像が映しだされた。
ワーグナーの「ワルキューレの騎行」に載せて、導火線がエアロスミスのロゴを形取って行き、
完成したところでメンバーのシルエットが登場し重なり合う。
いや〜、カッコイイ!
スティーヴン・タイラーの「こんにちは、ジャパーン!」の掛け声に、
オーディエンスのボルテージもアップ。
メンバーのシルエットが消えるとサイレンが鳴り響き、サーチライトが場内を駆け巡る。なかなか始まらず、焦らしまくった後、ステージの照明が一斉に点灯。
いよいよ演奏がスタート!
が、しかし、音が酷い。
東京ドームに良い音を求めちゃいないが、あまりに酷い。
同じ地でイーグルス、ポール・マッカートニーとかそこそこ見てきたけど、
ここまで音悪くなかったぞ。
何を演奏しているのかサッパリ分からず、しばらくしてやっと「Draw The Line」だと分かる。
音も微妙ならこのオープニングの選曲も個人的には微妙なのだ。
なぜなら、「Eat The Rich」がオープニングに相応しいと思っているからだ。
「Eat The Rich」の出番は、残念ながらないようだ。
(別の公演ではやったらしい←羨ましい!!)
あと、ステージまで距離がかなりあり、
同じ空間にいながら、違う場所で見ているような錯覚に陥った。
「そうだぁ〜、これが東京ドームのライブだぁ」と久しぶりにその負の感覚を味わう。
先日行ったデフ・レパードの2Daysライブが、東京国際フォーラムのホールAで、
しかも前から10列目と7列目だったから、そのギャップもあったと思う。
こればっかりは仕方のないことなので、これはこれとして楽しむしかない。
しかし、音の悪さが楽しみを妨害する。
2曲目の「Love in an Elevator」のイントロリフの音が小さい。
インパクト大のリフなだけに、ここはガツンと聴かせて欲しかった。
音が回っちゃってボーカルも高音部がかき消されてしまう。
コーラスもぐちゃぐちゃで、声が出ていないのか、そうではないのかの判断もつかない。
大好きな曲なのに・・・。
3曲目の「Toys in the Attic」に至っても、音の悪さは改善されないままだったのだが、
何故かジョー・ペリーのギターソロは明瞭に聴こえた。
このバランスの悪さはなんなんだ!?
その後、「Jaded」、「Janie's Got A Gun」といったわりかし静か目な曲は、
ボチボチ聴こえた。
「Jaded」のサビの“My, my, baby blue”とか、
大合唱になってもいいもんだが、歌っている人はまばら。
こんなもんなんですかね?
「Janie's Got A Gun」は、懐かしさも手伝って、鳥肌でした。
が、続く「Livin' on the Edge」のイントロアルペジオも遠くの方で鳴っている感じ。
激しい展開になってギターがリズムを刻むところとかも、ボヤァ〜って・・・。
メリハリのある曲なんだがなぁ・・・。
いっこうに良くならない音にフラストレーションが溜まる中、
救いとなったのがメンバーたちの動き。
宙返りこそしないが、スティーヴン・タイラーは62歳とは思えないほどエネルギッシュだ。
ジョー・ペリーとの絡みも頻繁にあり、
つい数年前、関係がかなりこじれていたのが嘘のよう。
そのジョー・ペリーは、相変わらずクールでカッコイイ。
曲に合わせてかなりギターをチェンジしていた。
もう一人のギタリスト、ブラッド・ウィットフォードとベースのトム・ハミルトンは、
対照的にあまり激しい動きはしないが、
時たまステージの左右の踊り場までノシノシと歩いて楽しそうに演奏をしている姿が、
モニターに映し出されていた。
トム・ハミルトンは、ガンの手術をしたばかりという話だが、
元気でなによりです。
ドラムのジョーイ・クレイマーは、なんだが大分太ったというか、
筋肉マンと化していましたが、メンバーの中で一番楽しそうだった。
「Livin' on the Edge」の後、そのジョーイのドラムソロへと突入。
実はライブで各楽器のソロってあんまり好きじゃない。
特にドラムソロは、ちょっとしんどいので、やるならやるで早目に切り上げて欲しいのだが、
これが長いのなんのって・・・。
スティーヴン・タイラーの喉を休ませるという意味合いもあるとは思うが、
5分以上叩いていたんじゃないか?
だったらインストで良いから曲を聴きたい。
腰痛持ちのEちゃんは、座席に一旦座ってしまった。
元々ドラマーだったスティーヴン・タイラーが、ドラムソロにドラムで加わり、
それなりに盛り上げ、やっと終ったかと思ったらまた叩き出した。
もうお腹一杯です・・・。
やがてジョーイがスティックを客席に放り投げたので、
やっと終るかと思ったら、今度はスティックなしの手と頭でドラムを叩き出した。
これは結構、ウケました。
ジョーイってそういうキャラだったのね・・・。
で、このお茶目なジョーイの長い、長いドラムソロの後が、
今回の公演で一番アカンかった。
ドラムソロに引き続きそのまま「Lick And A Promise」が演奏されたんだが、
ドラム以外の音が全く聴こえない。
スピーカーから音が出ていないのだ。
どうやらPAが、それぞれの音を上げ忘れてしまったようで、
徐々に音量が上がってきた。
東京ドームのライブでまさかのフェイドイン。
これじゃバンドが可愛そうだよ・・・。
アルバム「Permanent Vacation」からやるなら「Rag Doll」、
「Dude」をやって欲しかった「Hangman Jury」が終ると、
スティーヴン・タイラーがドーム中央に設置された花道へと突き進み、
アカペラで「What It Takes」を歌い出した。
節をわざと外しながら歌い上げるスティーヴン。
これがムッチャ、かっこ良かった。
この曲がリリースされた高校時代の記憶が、蘇ったよ。
感動のアレンジが光まくった名曲の後は、
ブラッド・ウィットフォードの名前がコールされ、
軽いギターソロを挟んで「Last Child」のイントロコードが掻き鳴らされた。
暗いイントロから想像できない様な展開を見せるファンキーな曲で、
体が自然と動いてしまう。
ここら辺からエアロスミスの代表曲オンパレードか!?と期待したが、
「Boogie Man」でクールダウン。
いや、「Boogie Man」は好きな曲なんですよ。
でもなんかこう、流れでガァーって盛り上がっていかないんだよねぇ・・・。
以降、ジョー・ペリーがボーカルを取った「Red House」 、「Combination」、
「No More No More」とブルース色の強い曲が続く。
ライブの最大の楽しみの一つがそのバンドのギタリストのプレイだったりするので、
ギターソロがギンギンのこれらの曲も見ていて苦にはならないが、
特に楽器を演奏しないEちゃんは、やや退屈そうに突っ立っていた。
いかんせんロックチューンだと相変わらず音も悪いし、音色を楽しむのも辛い状況だったから、
それも致し方ないかなと。
遠くで何かを演奏しているようだ。
マジでそんな感覚だった。
とはいえ、エアロスミスにはまだまだライブで定番の曲がわんさか残っている。
期待しよう!って思っていたら、サポートで入っているキーボーディストを紹介後、
定番の1曲「I Don't Want To Miss a Thing」がプレイされた。
ほらほら、きたぜ!きたぜ!
流石にエアロスミス初の全米ナンバー1ソング、
知名度抜群で方々から歓声が上がった。
しっとりとしたバラードのあと、間髪入れずに始まったのが、
パワーバラードの「Cryin'」。
スクリーンには、この曲のPVの一部が流れていた。
アリシア・シルバーストーン、可愛いっす。
懐かしすぎ。
うーん、やはり「Permanent Vacation」、「Pump」、「Get A Grip」の収録曲は、
グッと来るものがある。
スティーヴン・タイラーの声も、中盤以降大分伸びが出てきて、本領発揮。
恐るべし63歳!
よし!この調子で、ガツガツ行こうぜ!!!!
と、自分なりに盛り上げてきたのだが、
スティーヴン・タイラーがトム・ハミルトンの名前をコール。
えっ?ここでベースソロですか・・・?
また腰を折られた感じ・・・。
幸いソロといえるほどのソロではなく、
中央花道に突き進んできたトム・ハミルトンが、
「Sweet Emotion」の印象的なベースラインを引き出した。
続いて、ジョー・ペリーのトーキングモジュレーター、
「すうぃぃぃ〜、いもぉーーーーーーーーしょ〜ん」。
うぅぅぅぅ、痺れるぜぇ!
次はAメロのシンプルだが、かっこいいギターリフ!!!
のはずが・・・・
だからさぁー、聴こえないんだよ。
ギターのリフが。
全くガツンとこないんですよ。
PAさんたのんますわ。
その後のアップテンポになるリフもスッカスッカ。
もう相当ガックリ。
更に追い討ちをかけるかのように、
「Sweet Emotion」終了後、スティーヴン・タイラーが「Good Night!」と言った。
「えっ?もう終り!?」
Eちゃんも同じ気持ちらしく、
「あれ、終りなの?今、“Good Night”って言ったよね?」
残念ながら、ステージ上の照明は全点灯。
メンバーたちが手を振りながらステージの袖へと吸い込まれていく。
あれもやっていない、これもやっていない・・・
「おい、おい、おい、これって無くねぇ?俺に選曲させろよ」と、
Eちゃんも相当不満がある模様。
「大丈夫だよ!アンコールでたくさんやってくれるよ!!」と、
自分を鼓舞する意味も込めて言ってはみたが、アンコールはやったとしても3曲ぐらいでしょう。
「Mama Kin」、「Dream On」、「Train Kept A-Rollin'」、「Walk This Way」、
「Back In The Saddle」、「Dude」、「Rag Doll」、「Angel」、「The Other Side」、
「Eat The Rich」、「Crazy」、「Amazing」、「Falling in Love」 、「Pink」などなど、
ライブでやりそうな曲は山ほどある。
とてもじゃないが、アンコールでは収まらないだろう・・・。
果たして、この中から何が演奏されるのか?
「Walk This Way」はマストとして、
Eちゃんは「Dream On」を、伊藤Pは「Mama Kin」を欲していた。
暫くして、スティーヴン・タイラーがステージに登場。
見るといつの間にやらステージ中央に真っ白なピアノが設置されていた。
スティーヴン・タイラーがピアノ弾き語りで「Home Tonight」を少し歌った後、
Eちゃん念願の「Dream On」がスタートした。
個人的には「What It Takes」とこの「Dream On」が、今回のライブのハイライトになった。
ジョー・ペリーがピアノの上に乗ってギターソロを弾く姿は、
かなりかっこよく、超絵になっていた。
アンコール2曲目は、「Train Kept A-Rollin'」。
邦題が「ブギウギ列車夜行便」なので、観客は「All Night Long!」とコーラスで参加。
ギターがブリブリとソロを引きまくり、そのまま流れで、ジャムっぽくなる。
間違いなく次は「Walk This Way」だ。
この曲をバンドでやった際、
エアロスミスが出演した「ウッドストック'94」でのバージョンを参考にしたんだが、
その時と同じパターン。
「Get A ●×△ Funk!(途中聞き取り不能)」のキメ!
続いて、世界で最も有名なリフのひとつである「デケデケ、デケデ、デッテン!」だ!
が、しかし、また聴こえねぇ〜。
遥か彼方遠くの方で、「デケデケ、デケデ、デッテン」という音がほそーく聴こえてくる。
リフ大好き人間としては、こう毎回聴こえないとなると、大分悲しくなりますわ・・・。
かなり盛り上がる曲だし、かなり楽しみにしていた曲なんだが、
かなりの音の悪さに、かなり意気消沈・・・。
そんな悲しみに追い討ちをかけるように、
「Walk This Way」でもう終りという雰囲気が場内に漂う。
た、たのむ・・・もう一曲やってくれぇ・・・。
「Mama Kin」をやってくれぇ・・・。
これじゃぁ、不完全燃焼どころじゃない。
燃焼すらほとんどしていません!
私、まだまだ走れます!!
ステージ上の照明前回の中、スティーヴン・タイラーがメンバーを紹介し、
変って、ジョー・ペリーが、スティーヴン・タイラーを紹介。
もしかしたら、もう一曲やってくれるのか!?
と期待したのも束の間、スティーヴン・タイラーが「ビューティフル」というメッセージを残して、
メンバーたはステージから去っていった。
暗転して、しばらくBGMが掛かっていたので、
セカンドアンコールか?という淡い期待も空しく、
「本日の公演はこれにて終了となります」というアナウンスが・・・。
「ま、ままきんわぁぁぁぁぁぁ!!!????」
9回の裏にサヨナラホームランを打たれたピッチャーのように、虚脱。
まぁ、選曲に関しては、好みが人それぞれあるから、由としよう。
今回演奏された曲がベストだという人もいらっしゃるでしょう。
しかし、音に関しては、どうなんでしょう?
東京ドームも場所によるんだろうけど、アリーナ正面で音が悪いって、
音楽をやるスペースとして、そもそも根本的に間違ってねぇ?
東京ドームの音の悪さは覚悟していたが、ここまで酷いのは後にも先にもない。
最初から最後まで音の悪さに悩まされ、邪魔された。
そんなライブでした。
そこまで満員じゃなかったし、
どうせなら武道館3daysとかの方が、バンドにとってもお客さんにとってもいいんじゃないかな?
でも、スティーヴン・タイラーを筆頭に、
メンバーたち全員かっこよかったです。
スティーヴン・タイラーとジョー・ペリーのロックスターとしての華やかさ。
そんな2人を支える職人肌のブラッド・ウィットフォード。
屋台骨であるトム・ハミルトンとジョーイ・クレイマーのリズム隊。
30年以上のキャリアの中で、いろいろとあったと思うんだけど、
こうやって60過ぎても世界各国でライブやって凄いことですよ。
年齢が年齢だし、トム・ハミルトンの体調も心配だが、
いつまでも現役ライブバンドとして活躍し続けて欲しい。
「ジャスト・プッシュ・プレイ」以来のオリジナル・スタジオアルバムを製作中ということなので、
楽しみにしております。
とはいえ、ライブ直後は悶々としていたので、
憂さを晴らそうと、Eちゃんと新宿にある有名チェーンで魚が安い某居酒屋に繰り出したんだが、
店員さん(みんな外人)を呼んでも耳が遠いのかシカトされるし、頼んだ料理が全然出て来ない。
一緒に頼んだポテトサラダが、餃子より後に出てくるってどういうことですか?
更に憂さを晴らそうと、Eちゃんと別れた後、エアロスミスのライブ盤を聴いて帰ろうと思ったら、
iPodのバッテリー、切れてんじゃねぇーかよ!!!
<Aerosmith 2011年11月30日(水)セットリスト>
※カッコ内は収録アルバム
1.Draw the Line(「Draw the Line」)
2.Love in an Elevator(「Pump」
3.Toys in the Attic(「Toys in the Attic」)
4.Jaded(「Just Push Play」)
5.Janie's Got A Gun(「Pump」)
6.Livin' on the Edge(「Get A Grip」)
7.Big Ten Inch Record(「Toys in the Attic」)
8.Drum Solo
9.Lick And A Promise(「Rocks」)
10.Hangman Jury(「Permanent Vacation」)
11.What It Takes(「Pump」)
12.Last Child(「Rocks」)
13.Boogie Man(「Get A Grip」)
14.Red House(The Jimi Hendrix Experience cover)
15.Combination(「Rocks」)
16.No More No More(「Toys in the Attic」)
17.I Don't Want To Miss a Thing(「Armageddon」)
18.Cryin'(「Get A Grip」)
19.Sweet Emotion(「Get Your Wings」)
Encore:
20.Home Tonight / Dream On(「Rocks」〜「Aerosmith」)
21.Train Kept A-Rollin' (「Get Your Wings」)
22.Walk This Way(「Toys in the Attic」)