『ヒューゴの不思議な発明』
2012年3月1日よりTOHOシネマズ 有楽座ほか全国にて
配給:パラマウント ピクチャーズ ジャパン
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『パーシー・ジャクソンとオリンポスの神々』のような、
子供を主人公にしたファンタジーアドベンチャーを喚起させるキービジュアル。
そして、3D。
なぜ、マーティン・スコセッシがお子様ランチのような映画を撮るのだ!
と、見る前は不思議で仕方がなかった。
それこそ「スコセッシの不思議な映画」だ。
ファンタジーがあんまり好きじゃないうえに、嫌いな3D。
うーん・・・見たくない・・・。
でもドキュメンタリー以外、マーティン・スコセッシ監督作品はほとんど見ているし・・・。
ということで、スコセッシだからという義務感にかられて見た。
もちろん、いつもの様に予備知識なしでね。
そんでもって、騙された。
確かに子供を主人公にしたファンタジーだけど、
所謂アドベンチャーファンタジーではない。
主人公の孤児ヒューゴの冒険がいつ始まるのか?と見ていても、
いっこうに始まらず・・・。
そして、とある人物が、ある有名な人物だったと判明して以降は、
見る前には決して予測できないであろう展開が繰り広げられる。
こ、こういう映画だったのか!!
と驚かされた。
あまり語るとネタバレになるし、楽しみが半減してしまう恐れがあるので、
深くは触れないが、とにかくキービジュアルからは想像できないような内容だった。
で、騙されたって書いたけど、これが良い意味での騙しだったのですよ。
本当に素晴らしい映画でした。
ホントかどうか知らないが、本作を見たジェームズ・キャメロン監督が、
「マスターピース」とコメントしたのも頷ける。
3Dでなくてはならなかった意味もよ〜くわかった。
空撮から一気に駅構内へとカメラが移動していくファーストシーンとか、
「おぉ!!!」と唸らされるショットも多かった。
別嬪さんに成長したけど、早くも小じわが目立ちます・・・
スコセッシ監督の映画への愛情が溢れ出ている作品であり、
スコセッシ監督だからこその説得力がある作品。
今のスコセッシ監督が、こういう映画を撮ることの意味を見ている最中何度も考え、
目頭が熱くなること数回。
マスコミ完成披露試写会で本作を鑑賞したんだが、
完成披露では上映終了後、たまに拍手が起きることがある。
関係者がサクラで手を叩いているケースもあるようなので、
滅多に賛同して拍手をすることはないんだが、
『ヒューゴの不思議な発明』では、無意識のうちに拍手をしていた。
しかもエンドロールが始まった時と本編の上映が終了した時の2回。
映画が好きという人に、強くオススメしたい。
特にご年配の映画好きの方は、物凄くブッ刺さると思います。
しかしなんですねぇ・・・、
スコセッシは、興味がないのに撮ることになってしまった凡作『ディパーデット』なんかで、
功労賞的にオスカー受賞しなけりゃよかったのに・・・。
『ディパーテッド』でアカデミー賞を受賞していなければ、
恐らく『ヒューゴの不思議な発明』が作品賞、監督賞を受賞していたに違いない。
『ヒューゴの不思議な発明』でのスコセッシ受賞の方が、相応しいよ。