『バトルシップ』
2012年4月13日よりTOHOシネマズ日劇ほか全国にて
配給:東宝東和
©2012 Universal Studios. ALL RIGHTS RESERVED.
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典型的なハリウッド映画で育ってきた者として、この手の作品は大好物。
しかし、ラーメン好きが必ずしも好みのラーメンと出会えないように、
これぞ!というブロックバスター映画にはなかなかお目にかかれない。
トニー・スコット、マイケル・ベイ、ローランド・エメリッヒといった、
ブロックバスター映画の先人が作り上げてきた超大作の多くは、
期待値の割にはイマイチなもの・・・というかバカ映画が多かった。
今となっては「そこが好きだ」と言えるぐらいの度量の広さを持てるようにはなったけど、
特にマイケル・ベイとエメリッヒにはトホホ映画が多く、かつてはちょいちょいがっかりさせられた。
今回は『キングダム/見えざる敵』のピーター・バーグが監督ということで、
そこまでバカ映画ではないだろうと思いつつも、
『ハンコック』を撮った監督でもあるので若干心配だ。
で、『バトルシップ』を見たわけですが、
先の巨頭たちが築き上げてきた要素が、そこかしこに見受けられた。
あっ!トニスコだ!
マイケル・ベイだ!
エメリッヒだ!
これはオマージュなのか?パクりなのか?
どちらにしても、彼らのスタイルが“いちジャンル”として確立されていることを改めて認識させられた。
「○○っぽい」ということは、既にジャンル化している証しだ。
冒頭のテイラー・キッチュ演じる主人公ホッパーの暴走からしてバカ丸出し。
その暴走のきっかけとなるヒロインのバーでの登場シーンなんて、ギャグかと思ったぜ。「チキンブリトーが食べたいの〜」って、なんだそれ!!(なぜか店員がそっけない)
その暴走男とヒロインは即座にいい関係になる。
2人が海辺でチチクリ合うシーンは、これぞポップコーンムービーなベタさで、
嬉し涙が出そうになったよ。
やはりこれはバカ映画のようだと、その心構えをする。
ところが、このままバカ映画で突っ走るのかと思ったら、
エイリアンの宇宙船が出現してからは、なかなかシリアスで緊迫感のある全うな展開に。
物語を回すプレイヤーの数が多いんだが、キャラクターの掘り下げ方も上手く、
提督を演じたリーアム・ニーソン以外の主要人物全員に活躍の場が与えられている。
その活躍に至るまでの段階も、有りがちながらちゃんと踏んでいるから、
それぞれの活躍がたいそう映える。
海と陸の双方を戦いの舞台にして話に広がりを持たせたところもよい。
途中、「そいつを使うんかい!!!」と思わずにはいられない無茶苦茶なところがあったり、
スローモーションで横一列闊歩といったモロにマイケル・ベイ的な演出があったり、
「そこは防弾ガラスじゃないんですか?」といったツッコミ所があったりして、
やっぱりところどころバカ映画なんだけど、
既に作品の中にガッツリと引き込まれ、登場人物たちにも感情移入しまくりで、
もう何でもいい!!!派手にやってくれ!!!と犬の腹出し状態。
特によかったのが、
“コンピューターウィルスでシールドを破ります”とか、
“予期せぬ幸運が起きて倒せそうです”とかではなく、
ちゃんと海戦術を用いてエイリアンと戦うところ。
その戦術の説明も分かり易いし、説得力があった。
ド派手な戦闘シーンや肉弾戦の描写も素晴らしく、
マイケル・ベイみたいに何がなんだか状況が分からないということにはならない。
エイリアンが、敵意を察知しないと攻撃してこないという設定も面白い。
プレデターの体温センサーみたい。
ティラー・キッチュは、『ジョン・カーター』の時よりも良いように思う。
見た目もこざっぱりしているし、一人の男の成長をサラリと演じている。
ハリウッド・デビュー作『マイティ・ソー』ではあまり見せ場がなかった浅野忠信は、
ホッパーと最初は反目しあいながらも、危機に瀕して共に戦う自衛官ナガタを熱演。
主役クラスの大活躍は、日本人としてとても嬉しかった。
あまりよく知らないが、これが映画デビューとなる歌手のリアーナも、
男勝りながらも愛らしい女性士官レイクスを好演。
そして、何よりもインパクト大なのが、ヒロインであるサマンサを演じたブルックリン・デッカー。
ブリックリン嬢が写っている場面写真がないので、プレミアの写真を掲載
先述のバーのシーンで、バストを強調しながら登場。
オッパイ星人でなくも「で、でけぇ」とうならされるほどの大きさ。
さらに乳だけでなく脚がすさまじく長い。
もちろん細いのだが、適度に肉が付き、美しい。
大乳長脚(ダイニュウチョウキャク 乳が大きく脚が長い様)女優であり、
2012年度の美脚賞に最も近い存在だ。
あと、選曲がよかった。
とあるシーンで、ほぼフルコーラスでかかるAC/DCの「Thunderstruck」には、超燃えた。
(因みにAC/DCは、もう一曲提供!)
そして、AC/DCの力を借りずとも、大興奮となるシーンがバンバカある。
第一のクライマックスとなる海での決戦では、
プロレス観戦に似た高揚感を得た。
マジで燃えた。
一緒に戦っているかのような感覚に陥った。
お涙頂戴の湿っぽさがほとんどないのも良い。
いやー、本当に面白かった。
なんだか『トップガン』をはじめて見た頃の、
純粋に映画を楽しむことが出来た映画小僧の魂が甦ってきた。
この興奮は映画館じゃないと味わえないと思う。
映画はスマフォじゃなくてスクリーンで!!!!
<余談>
ウォルト・ディズニー生誕110周年記念映画『ジョン・カーター』
ユニバーサル映画100周年記念映画『バトルシップ』
この2本で主演を務めているのがテイラー・キッチュ。
これだけでもなかなかないことなのに、
日本では同じ日に公開される。
共にアニバーサリー超大作で、主演が同一人物で、同日に公開。
多分、今後、こんな出来事はないんじゃないかな?