2011年の日本の映画興行収入は、対前年比で約2割の減収の1812億円(日本映画製作者連盟調べ)。
ここ10年でもっとも悪い数字だ。
映画館の入場者数が減少した要因は何か?
それを把握すべく、大手ポータルサイト「goo」内にある「goo映画」が、
「映画館での映画鑑賞」について、
全国の10代〜70代の男女を対象にアンケートを実施。
その結果が発表になった。
http://research.goo.ne.jp/database/data/001447/index.html
アンケートの有効回答者数は3,189名ということで、説得力のある調査結果なわけですが、
意外な結果がありつつも、「まぁ、そうなんだろうなぁ〜」と思っていたことが、
数字に表れているような気がする。
【(1)直近1年以内に映画館で映画を観た人は5割弱。鑑賞率が高いのは女性若年層、低いのはシニア層。】
先日、知人が公開約1カ月後に『わが母の記』を映画館に朝一で見に行ったんだが、
場内はシニア層でかなり混み合っていたと言っていた。
ちゅうことで、シニア層が映画館に全く足を運ばないというわけではないようだ。
これだけで判断できることではないけれど、
シニア層が映画館に足を運ばなくなった理由は、シニア向けの作品が少ないからか?
先週末の興行ランキングに入っている作品を見ても、
シニア層が好んで見そうなタイトルは『外事警察 その男に騙されるな』ぐらいかな。
一方で、映画会社からすると鑑賞率が高いのが女性若年層ということで、
シニア向けに作っても商売にならない。
こうなるとどんどんシニア向けの映画が少なくなっていくのでしょう。
しかしながら、小規模公開の作品には“大人の映画”がたくさんあったりする。
年齢的に情報収集にアクティブになれず、そういう映画の存在を知らないままなのかもしれない。
逆に言えば、シニア層に“大人の映画”の存在を知ってもらえれば、
時間と金に余裕があり、つるむのが大好きなおばちゃんたちが、劇場に来てくれるはず!
【(2)邦画を好む理由の上位は「好きな俳優・原作」の映画だから。】
これにはいろいろと要因があるように思う。
・日本映画の技術が向上した。
・日本人俳優の容姿が、海外スターに引けをとらなくなった。
・世の中のグローバル化の進行に伴い、海外スターへの憧れが減った。
・原作・漫画など日々暮らしていて接触する機会の多いもの=安心。
・アメリカ映画のビックバジェット作品の多くが、日本に馴染みの薄いアメコミを元にしている。
【(3)「3D映画」に対する否定派が支持派を上回る。】
本ブログで散々3Dを否定してきた者としては、この結果は嬉しい。
でもね、アメリカの市場は3Dを推し進める傾向がより加速するらしい。
そうなると日本人の嗜好と合わなくなり、ますます洋画離れに拍車がかかる可能性がある。
それを防ぐ対策として、3D映画の2D版上映の有る無しがキーポイントになるんじゃないかと。
3Dはメガネ代が上乗せされるので、興行からすると3Dが稼動した方が儲かる。
でも3Dしかやらないと、3Dが嫌いな人は見たがらない。
よって、洋画離れが進行して、最終的に2D、3Dに関係なく洋画を見なくなる。
また、アメリカにとって日本は世界で2番目の市場として重要視されていたけど、
近年、アメリカは中国の市場に注目している。
日本人の洋画離れが進むと、「どうせヒットしないから」ということで、
日本で劇場公開されない作品が増えるかもしれない。
また、キャンペーンも中国がメインになるかも。
つまり海外スターの来日が減るってことだ。
一方、日本の映画会社は、当然自国の動向には敏感なわけで、
3D否定派が多いとなると、闇雲に3D映画を作らないでしょう。
実際に、昨年の夏に3Dとして公開された「ライダー&戦隊もの」は、
3D化の費用に興収が見合わないということで、今後3D化しないらしい。
『一命』、『おかえり、はやぶさ』といった3D映画の興行もあまり芳しくなかったし、
ヒットした『ALWAYS 三丁目の夕日'64』も最終的に2D版の方が、長く上映されている。
前作は3Dだった「海猿」も『BRAVE HEARTS 海猿』は2Dだ。
こうなると、3Dは、アンケートの(2)の邦高洋低にも深く関わりが出てくる。
【(4)ソーシャルメディアによる映画クチコミ情報の収集は限定的。】
これが一番意外な結果。
【(5)映画館鑑賞本数が「減った」は3割。理由は「コンテンツの不足」。】
映画の歴史も100年を越え、創造力が頭打ち状態なのかな?
もちろん「コンテンツ」が不足しているからってのもあるんだろうけど、
これだけ世の中に娯楽が溢れているとねぇ・・・。
作る側も、確実に回収したいから、冒険できない。
だから原作もの、ドラマの映画化が横行している。
更に映画が鑑賞可能なツールが、映画館以外にもたくさんある。
スマフォで映画が見られる時代ですからね。
因みに小生も、昔より映画を見ることに対するバイタリティが、
かなり減退したと自覚しています。
【(6)映画の通常料金「1000円」で鑑賞回数「増える」は5割強。】
いち観客として、1000円だったら見たい!と思うことはたくさんある。
まぁ、誰だって安く映画が見られた方が良いわけなんで、この結果はまっとうです。
でも、映画配給会社や映画館側からすると、
安くした分、観客の動員を増やさなくてはいけないから、なかなか難しい問題だ。
動員が増えれば良いが、増えなかった時は悲惨だ。
単価が下がった分、売上も下がるわけだから、コケ時のダメージがより強烈になってしまう。
【(7)サマーシーズンに観たい映画は『踊る大捜査線 THE FINAL』。】
まぁ、認知度で言ったら群を抜いているので当然の結果かな。
「2」とか激烈につまらなかったし、「3」も「2」よりはマシだけど・・・ってな程度なんですが、
そうはいってもやっぱり「見たい。見ておかなくては」と思わせる。
そこがこのシリーズの凄いとこ。
で、結局、「やっぱりダメだった」っている結果も分かっているんだが・・・。
まさに踊らされてますな。
でさ、この映画のタイトルが気になる。
「THE FINAL」と言っておきながら「新たなる希望」ですよ。
「ミッション:インポッシブル」シリーズで、
トム・クルーズが退いて、ジェレミー・レナーが主役になり、
世代交代してシリーズを継続する?なんて話が出たけど、
ひょっとしてそんな感じ?
パクリ大好きな「踊る」シリーズだしね。
まぁ、流石にないとは思うけど・・・。
それはさておき、アンケート結果で、『ダークナイト ライジング』が48.1%というのは嬉しい数字だけど、
ヘビーユーザーってのがちょいと気にかかりますな。
やっぱそこにだけリーチ?って。
『アベンジャーズ』に至っては、3.6%。
これから公開に向けて宣伝が盛り上がってくるんだろうけど、ちょっと心配な数字です。
この映画の宣プロ、元同僚なんだよね。
相当プレッシャーあるだろうなぁ~。
陰ながら応援しております。
ちゅうことで、「goo映画」のアンケート結果を勝手に分析しちゃいました。
あくまでも主観です。