『ローマ法王の休日』
2012年7月21日よりTOHOシネマズ シャンテほか全国にて順次公開
配給:ギャガ
©Sacher Film. Fandango. Le Pacte. France 3 Cinema 2011
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ローマ法王の逝去を受け、次の法王を選出する「コンクラーヴェ」が開催された。
ヴァチカンの広場には、各国のマスコミとカトリック教徒たちが集まり、
歴史的瞬間を今か今かと心待ちにしていた。
なかなか票がまとまらず、何度も何度も投票が繰り返される中、
新法王に任命されたのはダークホースのメルヴィルだった。
しかし、メルヴィルはローマ法王という重圧に耐え切れなくなり、
ローマの街へと逃げ出してしまう・・・。
『息子の部屋』でカンヌ国際映画祭パルムドールを受賞したナンニ・モレッティ監督作品。
ナンニ・モレッティの作品は今まで一本も見たことがなかったんだが、
なんか気難しいイメージがある。
確か、『息子の部屋』で来日した時に、
既に決まっていた個別の取材を全てドタキャンしたんだよね。
記憶は定かじゃないんだが、来日中に何かしらしでかしているのは確か。
宣伝担当者は災難だなぁ〜って、思ったことはよく覚えている。
今回、『ローマ法王の休日』で、初めてナンニ・モレッティ監督作を見たわけだが、
シニカルな笑いが満載で、やっぱりこの監督は癖があると感じた。
向かって左がナンニ・モレッティ監督(精神科医役で出演)
まず、冒頭の次期ローマ法王の候補者である枢機卿のほとんどが、
ローマ法王になりたくなって思っているのが笑える。
「神様、どうか私をローマ法王に選ばないで下さい」って祈っている。
滑稽だ。
さらに「コンクラーヴェ」開催中に外出をしようとする枢機卿も登場。
携帯を返してくれれば連絡が取れるだろうって・・・。
これまた滑稽だ。
そして、今まで全くノーマークだったメルヴィルが、
突然、多くの投票数を得る。
間違いなく組織票でしょう。
酷い話だ。
で、メルヴィルは、ローマ法王というプレッシャーに押し潰されて逃亡するわけですが、
その間、ヴァチカンの報道官は、ローマ法王不在を隠蔽する。
影武者に選ばれた人物は、飲んで食っての日々。
なるほど、ヴァチカンにはご馳走がたくさんあるようだ。
だから枢機卿は、みーーーーーーーんな恰幅がいいんだねぇ〜。
という感じで、節々にヴァチカンに対しての「毒」が散りばめられている。
こういうの、嫌いじゃない。
さて、逃げ出したメルヴィルは、ローマの人々と触れ合うことで、
己の人生やローマ法王の存在意義を見つめ直していく。
ヴァチカンへの風刺が面白かったのに対して、
このメルヴィルの下りは、ありきたりで今一歩という感じ。
そして、メルヴィルは最後にある決断をするわけだが、
これがどうやら賛否両論のようだ。
個人的には、「有り」だと思う。
ネタバレになるから、その理由は詳しく述べないけど、
メルヴィルが下した決断は、
ナンニ・モレッティ監督なりのメッセージが込められているのは明らかだ。
これがまたシニカル。
なんか、ちょっと前の日本の首相たちと重なってねぇ・・・。
そして、選ぶ方の無責任さもあるんってことを改めて痛感しました。
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『ローマ法王の休日』ナンニ・モレッティ監督インタビュー
→これが、なかなかスリリングな内容です。
インタビュアーがツワモノです!