2012年09月10日更新

#677 『白雪姫と鏡の女王』

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『白雪姫と鏡の女王』
2012年9月14日より丸の内ルーブルほか全国にて
配給:ギャガ
©2011 Relativity Media, LLC. All Rights Reserved.


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18歳の白雪姫は、幼い頃に父親である国王が亡くなって以来、
継母の女王によって城に閉じ込められていた。


女王の浪費によって、王国は破産寸前。


女王は金持ちでハンサムな他の王国の王子と結婚することで、
富も愛も手に入れようとする。


しかし、たまたま白雪姫と王子が出会い、2人は恋に落ちてしまう。


怒った女王は白雪姫の殺害を命じるが…。


とにもかくにも印象に残るのは「眉毛」です。


これは本作の宣伝スタッフを含め、知り合いのライターさんとかが、
全員一致で指摘している点です。


白雪姫演じるリリー・コリンズが登場するファーストショットで、
「なんじゃこの眉毛は!!!」とたまげる。


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スクリーンにデカデカと映し出される白雪姫のゴン太眉毛。
強烈なインパクトでした。


両津勘吉はアニメだが、リリー・コリンズは、リアルな人間だ。


ヒロインムービーで一番重要なのは、ヒロインです。


正直、まるでダメなタイプで、こやつと1時間46分も付き合うのか・・・と絶望。


しかしながら、物語が進むにつれ、
リリー・コリンズがとても魅力的に見えてくるから不思議だ。


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とはいえ、やっぱり強烈な眉毛だ。


普通、眉毛が太かったら抜いて細くするとかしそうなもんだが、
リリー・コリンズは極太眉毛を押し通す。


偉いと言えば偉い。
だって、眉毛とはいえ親からの授かりモノですからね。


で、親といえば、リリー・コリンズの父親が誰であるかを知って、
そうとうぶったまげた。


なんと、ジェネシスのフィル・コリンズだと!


ジェネシスの「インビジブル・タッチ」は、かつてノエビア化粧品のCMに使用されていて、
「ゴールデン洋画劇場」か「日曜洋画劇場」のどちらかで、バンバンかかっていた。





我々の世代では、この「インビジブル・タッチ」から洋楽に入った人も少なくないはず。


この事実を知ったのは、鑑賞がずいぶん経ってから。
いやー驚いた。


どうやら禿げチャビンのお父さんの男性ホルモンは、
娘の眉毛にかなり遺伝したらしい。
(男性ホルモンが強いと毛深くなるが、頭髪が薄くなる傾向がある。衣笠、掛布など…)


いやいや、それだけじゃなくて、歌の上手さもちゃんと遺伝していました。


エンドロールがインドカレー店のモニターでちょいちょいかかっているPVみたいになっていて、
リリー・コリンズがインド風の節回しで美声を聴かせてくれる。


このエンドロールは、本編よりも素晴らしいといっても過言ではない。


おっと・・・本音が出てしまいました。


本作の監督は、『ザ・セル』、『インモータルズ−神々の戦い−』のターセム・シン監督。
今までの様な硬派な作品ではないということは、
なんとなく試写状とかの宣材物を見て分かってはいたが、
こうまで今までのターセムと違うとすんなりと馴染めない。


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悪ノリぎりぎりラインのユーモアが満載。


彼が描き出す不気味なビジュアルには、
軽妙さとかユーモアとかコメディとか似合わないと思う。


メルヘンにならない。


女王が鏡の部屋に行くときのシーンとか、
これぞターセムって感じなんだけど、この作品に限っては逆に浮いちゃう。


ターセムは、どちらかというと「本当は怖いグリム童話」の方があっている。


こういうユーモラスなファンタジー路線だったら、テリー・ギリアムの方がはまるね。


先ほどぎりぎりのラインのユーモアと書きましたが、
悪役初挑戦となる老いに怯えるジュリア・ロバーツも、まだまだ綺麗だから成立してはいるが、
やっぱり「鏡よ鏡」の役柄はリアルでちょっと痛い。


自虐ギャグをやるにはまだ早い女優さんだと思うのです。


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物語も単純明快なんだけど、森に住む怪物の描写があまり足りないので、
ラストがイマイチ盛り上がらない。


オチがすぐに分かってしまうので、わざと焦点を当てなかったのかもしれないが、
怪物の話が放置されているのはもったいない。


重要である白雪姫と王子の恋愛模様も、なんだか慌しいというか…馬鹿馬鹿しいというか…。


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ということで、マイナスポイントだらけの映画ですが、
本作は女性の評判がすこぶる良い。


チャーミングで、可愛らしくて、キラキラしていて、ファンタジックなところが受けているのでしょう。


男子諸君は、日常生活で、女子の「これ、かわいぃぃ!!!!」
という意見に賛同できないことがあったりするでしょ?(例えば、洋服とか)


女子の言っていることはなんとなくわかるんだけど、
まるっきりそうだとは思えない。


別に凄く可愛いとも思わないけど、かといって、可愛くないとも思わない。
言い方はちょっと悪いのですが、つまりどーでもいいってヤツですね。


そもそも興味が無いし、理解も出来ない。


多分、『白雪姫と鏡の女王』は、それに近い映画なんじゃないかと思います。

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プロフィール

1974年、東京都生まれ。少年時代、ジャッキー・チェンの映画に魅了され、映画小僧の道を突き進む。大学卒業後、映画宣伝代理店に入社。『リーサル・ウェポン4』、『アイズ ワイド シャット』、『マトリックス』などを担当。

2000年、スカパー!の映画情報専門チャンネル「カミングスーンTV」転職し、映画情報番組の制作を手掛けたのち、2006年、映画情報サイトの運用に従事。その後、いろいろあって、2013年7月よりCS放送「エンタメ〜テレHD」の編成に携わっている。

本ブログは、多ジャンルの情報提供を志すT-SHIRT-YA.COMのオファーを受けて、2003年4月にスタート。2007年12月にブログ化。
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