秋川渓谷に繰り出した翌日の土曜日。
昨日は山に行ったから、今日は海に行きたい。
ということで、江の島に行くことに。
割と遅めに吉祥寺駅から井の頭線で出発。
下北沢で小田急線に乗り換え、
片瀬江ノ島駅に辿り着いたのは、午11時半ぐらいだった。
早速、「江の島弁天橋」を渡り、島に上陸。
まず目指したのは、食事処の「とびっちょ」。
過去に4回ぐらい平日に訪れたことのある店なんだが、
生シラス丼や釜揚げシラス丼なんかを割と良心的な値段で提供してくるからか、
空いていたためしがない。
今日は土曜日だし、ちょうど昼時だし、天気も良いしで、覚悟はしていたが、
島に入って右側「青銅の鳥居」をくぐってすぐの参道の脇にある参道店に行ってみたら、
案の定の混雑っぷり。
こりゃアカンということで、参道店ではなく、
「弁天橋」を渡ってそのまま直進した先の右側にある本店に行ってみる。
こちらも大盛況。
いつも混雑しているからか、以前はなかった電子パネルが店先に設置されていた。
パネルには現在の待ち人数と大体の待ち時間が表示されており、整理券も発行可能。
更に整理券にはQRコードが記載されており、アクセスして空メールを送ると、
順番が近くなるとメールでお知らせしてくれるのだ。
デジタルサービスの進化は本当にすごい。
このサービスを利用させてもらい、お知らせメールが届くまで、
近場の散策をしてみた。
江の島には幼年時代から数えると20回以上は来ている。
中学校に入る手前ぐらいまで、江ノ島ヨットハーバーに隣接していたプールに、
一家そろって毎年のように行っていた。
プールサイドから何から何まで白くって、
25×15メートルのプールと幼児用の円形プールがあるだけの、
今考えるとかなりしょぼいプールだったが、夏の恒例イベントで毎回楽しみにしていた。
小学生の時、夏の思い出として、このプールの絵を描いたことをよく覚えている。
そんな江の島ですが、このプールと「とびっちょ」以外、
ほとんど散策したことがない。
その歴史も何があるかもよくわかっていない状態だった。
唯一といっていい知識は、その時読んでいた司馬遼太郎の「三浦半島記」ぐらい。
でもきっとほとんどの観光客が、同じようなもんなんでしょう。
訪れてみて学べばよいのだ。
そんな思いを抱きつつ、
まず「とびっちょ」の裏側の小道を歩いてみた。
民宿とか小さな料理屋などが軒を連ねていたが、
先の参道に比べると人通りもまばらで寂しい感じ。
一旦、賑やかな参道の方に出てみる。
「とびっちょ」の参道店を過ぎ、坂を少し上がって右側に、
人通りが皆無の細い道があり、曲がってみる。
しばらく行くと右手に廃墟がそびえ立ち、
脇に丘へと上がる石段が。
の、登ってみたい・・・。
と、いつもの悪い癖が出たが、「とびっちょ」からのそろそろですよメールがあるので、
ここは我慢した。
この小道を抜けるとちょっとしたビーチに出た。
スイカ割なんかをしているグループがいた。
来た道を戻り、参道を挟んで反対側の小道を攻めてみると、
結構、民家が多くあった。
観光名所として名高い小さな島なので、あまり人が住んでいるイメージがなかったが、
島民がいても全くおかしくないんだよね。
そんなこんなでブラブラしていると、「とびっちょ」からメールが。
「とびっちょ」本店に戻り、電子パネルを確認すると、
まだ結構時間があるじゃないか!
店側としては、早目にお知らせして戻ってきておいて欲しいってことなんでしょう。
それから待つこと数分、やっと店内に案内された。
毎回この店で頼む品は決まっており、今回も生シラス丼をオーダー。
この生シラスのなんとも言えない苦みがいいのだ。
ビールを飲みたいところだが、今日はまだあまり動いていないので自粛した。
お腹一杯になったところで、参道の先にある島の上に行ってみることに。
先述の通り、数十回来ているのに初の試みだ。
坂になっている参道を登りきると赤い大きな鳥居が出迎えてくれる。
鳥居を抜けると龍宮城を模した「瑞心門」がドドォーン!とそびえ立つ。
「瑞心門」の階段を上がりきると左側に「江島神社 三宮」の案内板がある。
江の島の知識は皆無に等しいが、源頼朝が大いに関係していることぐらいは知っている。
昨日行った秋川の「大悲願寺」も頼朝が関わっている。
このところ鎌倉についての書籍を読むことが多いからか、
どうしても頼朝の縁の地を訪れたくなってしまうのだ。
案内板をざっと読み、階段を下りて、赤い鳥居の脇にあるエスカー乗り場へ。
エスカーは「江の島」と「エスカレーター」を合体させた言葉で、
文字の通り、江の島にあるエスカレーターだ。
江の島は周囲2.2キロの小さい島だけど、結構な隆起のある島だ。
かつては高僧が島にある洞窟で断食をした神秘の霊場にエスカレーターってのが、
なんだか滑稽ですが、階段だとお年寄りとか辛いだろうってことで設置されたのでしょう。
因みにこのエスカー、江ノ電で有名な江ノ島電鉄線が運営していて、
意外や歴史は古く昭和34年に営業が開始されている。(もちろん有料)
歩くの大好き人間としては、エスカーなんぞを使わず、階段で駆け上がりたいところだが、
江の島の後、どうしても行きたいところがあり、そこはだいぶ歩く可能性が高い。
なので、ここは体力を温存しておきたいし、
なんだかんだとせっかく来たのだから、エスカーを利用してみたいという思いも結構あった。
で、初エスカー。
わーい!
ちゅうか・・・ホント、ただのエスカレーターでした・・・。
エスカーを下りると、「龍宮大神の弁天」が。
さて、弁天とは何ぞや?というわけで、自分の勉強の意味も含めて記述する。
元々インドの神様で、「弁財」「弁才」の両方の表記があり、
読んで字のごとく、財産と才能の神だ。
縁起がいいってことで、七福神の一員にもなっている。
この「龍宮大神の弁天」は、「琵琶湖の竹生島(ちくぶじま)」、「有名な安芸の宮島(あきのみやじま)」と並び、
日本三大弁天の一つになっている。
「龍宮大神の弁天」の向かいには、「辺津宮(はつのみや)」がある。
社殿の前に置かれた輪になった注連縄をくぐると御利益があるというのでくぐってみた。
その後、特に何も悪いことは起きていないので、くぐった甲斐があったってことでしょうか?
この「辺津宮」の向かって左側に建物があった。
写真は撮ったものの(ちょっと斜めだ)、あまり人がいなかったので、
なんの建物かも確認せず別の場所へと立ち去ってしまった。
これが大失敗だった。
司馬遼太郎の「三浦半島記」に、江の島には裸体の弁天が琵琶を弾いている像があると書かれていた。
裸の弁天像を見てやましい気持ちになるとかではなく(どんなフェチだ)、
純粋に面白いので見てみたいなと思っていたんだが・・・。
その弁天像がこの建物に祀られていることを知ったのは、この日から大分経ってからだった・・・。
裸弁天を見ずに次に立ち寄ったのが、「猿田彦大神(さるたひこのおおかみ)の庚申塔(こうしんとう)」。
最近、少し歴史を意識初めてからこの庚申塔という言葉に触れる機会が多く、
この庚申塔に関する案内板は大変勉強になった。
庚申の意味は、よくわからんが、干支の一つということでそういう暦の時期があるってことで、
適当に理解した振りをしておこう・・・。
とはいえ、一応、リンクを貼っておきます。
「庚申」について
「猿田彦大神」は・・・よくわかりませんが、手塚治虫の「火の鳥」なんかに出てくるそうです。
少し進むと、見晴らし台があった。
中央やや右に見える建物がヨットハーバーで、この脇にガキの頃、毎年行っていたプールがあった。
ここから見ると、プールがきれいさっぱりなくなっていることがわかる。
思い出の場所がなくなっているという事実を噛みしめながら、
2機目のエスカーに乗る。
エスカーを下りると「中津宮(なかつみや)」が出迎えてくれる。
その左隣にあるのが、「水琴窟」。
柄杓で水を汲み、下にある穴に流すと、琴のような美しい音色が聞こえてくる。
確かに文章にしにくいような、音が聞こえてきたが、
水を流す穴がプラスティックの水道管ってのがちーと風情がないねぇ・・・。
さらにここの入り口にはこんな看板が。
「美しい弁財天様にあやかり、綺麗になりたい!」だと・・・。
女子に迎合している様でちょっといけ好かないね。
ケッ!!と思いながら、最後のエスカーを乗り継ぎ、江の島の頂上へ。
頂上には、「江の島植物園」をリニューアルして2003年4月に開園した
「江の島サムエル・コッキング苑」がある。
なんだか韓国料理みたいな名称ですが、この苑には巨大な展望台がある。
有料だし、近代的だし、この時点で結構な時間を要していたしで、今回はパス。
「サムエル・コッキング苑」の脇には小道があり、民宿や食事処が営業していた。
飲食店はまだ判るが、果たして民宿は経営が成り立つのだろうか?
そんなおせっかいな思いを抱きながら進むと、左手に仁王像が!!
先日の関東最大といわれる「称名寺」の仁王像、昨日の風格ある「大悲願寺」の仁王像と出会い、
最近好きなものベスト3に入るぐらい仁王像に魅せられている。
ところで、仁王像ってなんじゃい?
口を開けて怒りを露わにする阿形(あぎょう)像と、口をつぐみ怒りを内に秘めた吽形(うんぎょう)像の2体が対となり、
寺院の門に安置されていることが多い。
本来は金剛力士という名称なんだが、対になっていることから「二王」→「仁王」となった。
そのおっかない風貌と置かれている場所柄からも判るとおり、守護神です。
仁王像を見かけたら口が開いているか、開いていないかをまず確認してみましょう!
江の島の仁王像もちゃんと口が開いていることを確認しながら、
本堂(江の島大師)に入ってみる。
中には国内最大級ともいわれる高さ6メートルの赤不動明王像が本尊として祀られているんだが、
薄暗くてうまく撮影できませんでした。
そして、また名称に引っかかる。
「不動明王」ってなんだ?
まず「明王」ですが、密教で“仏の知恵を体得した偉大な人物”の意で、
「不動明王」は何人かいる明王のうちの一人だそうです。
密教においては“宇宙そのもの”と考えられているというスケールのでかい明王です。
本堂を出て再び小道を進むと、断崖絶壁が。
波や風によって切り開かれた人間の手によらない風景が圧巻であり、
また脅威でもあるのだが、すんません、上手く撮れませんでした。
そんな自然の畏怖を感じる光景の真ん前で、
猫が呑気に寝ていました。
この猫は葉月ちゃんという名前なんです。
なんで知っているかというと、葉月ちゃんの対面の木に説明写真が貼られていたからです。
ここに限らす江の島は猫が多い。
猫アレルギーなので、さっさと昼寝猫を後にすると、
やっとのことで「奥津宮」に到着。
この鳥居がかの有名な源頼朝が奉納したという鳥居かな?
鳥居を越えて右側に「力石」なる石が。
江戸時代の力比べ用の石らしいが、
こんな石を持ち上げられるのはマイティ・ソーぐらいでしょう。
ソーはバカだから、石を持ち上げた瞬間に、
ドヤ顔をするに違いない。
力石の奥にはもうひとつ石がある。
「亀石」だ。
こんな石を持ち上げられるのはミュータント・ニンジャ・タートルズぐらいだろう。
それにしても本当に亀の甲羅のような模様が入っている驚きの石だ。
「ドラゴンボール」の亀仙人が背負っている甲羅によく似ている。
で、こちらが「奥津宮」。
ここまでにあった「辺津宮」、「中津宮」、そしてこの「奥津宮」には、女神が祭られていて、
彼女たちは三姉妹。
「奥津宮」には長女の女神の宮だ。
江の島には猫が多いので、
下から、愛、瞳、泪の三姉妹、通称・キャッツ・アイと呼ばれる女神たちが・・・、
くだらない話は、この辺にしておきましょう・・・。
で、この奥津宮の近くにこんな建造物があるんですよ。
龍宮大神って書いてあるけど、このビジュアルは鳥山明じゃねーの?って。
集英社が製作費出したっか?って思ってしまうぐらい、
人工的過ぎて興醒め。
「ドラゴンボール」に「キャッツ・アイ」・・・。
この島は「週刊少年ジャンプ」か!!!
「肉」って彫られている石碑を探せ!!!!
探してみましたが、あるわけもなく、ドラゴンボールを過ぎ、
それなりに急な階段を下りると、代わりに「龍燈松」と書かれた石碑がありました。
無知な私には、なんの碑なの皆目見当が付きません。
横にはこれまた何故かわかりませんが、松尾芭蕉の一句が彫られた石碑があった。
この石碑たちが長いこと眺めていたのが、岩場と海。
電柱と電線が邪魔で仕方がないこの場所は、
「稚児ヶ淵(ちごがふち)」というらしいのですが、
それにしても稚児ヶ淵とはなかなか立派な名称。
その由来を調べたら建長寺の僧が、稚児白菊という女性と出会い恋をしたが、
その恋は実らず、稚児白菊がここから自殺したことによるらしい。
悲しい場所のようですが、景色は素晴らしい。
波と風による侵食によって、作り上げられた岸の岩。
関東大震災によって隆起したという。
人間の手によらない、こういう自然な風景がいい。
例え、人の手が加えられたとしても、
電気もガソリンも石炭もない時代に、人間ががんばって作り上げた創作物に魅力を感じるのだ。
15分ぐらい佇んでいたんだけど、その間に段々と海がうねり出し、
波が岩場に当たる度に、飛沫を挙げていた。
この「稚児ヶ淵」の先に有名な洞窟がある。
先に軽く述べたが、
空海、日蓮、時宗の開祖である一遍、曹洞宗の僧侶の良寛といった名立たる名僧たちが、
詣でた洞窟であり、かつては神秘的だったらしいんだが、
以前、なんかで洞窟の写真を見たら、かなり人間の手が加えられていてザッツ観光地と化していた。
あまりに観光地化された洞窟には興味がないし、
次に行きたいところもあるし、結構な時間だったりもするし、入場料も別途500円取られるので、
今回はスルーすることに。
来た道を戻っている、まだ葉月が気持ちよさそうに寝ていました。
小学生の頃の遠足と一緒で、行きはなんだか随分と時間がかかったような気がしたが、
帰るときはあっという間。
すぐに一番最初のエスカー乗り場へと辿り着く。
初めての本格的な江の島散策だったけど、
想像以上にてんこ盛りでちょっと面食らった。
今回見送った「江の島サムエル・コッキング苑」と洞窟を見て回ったら、
確実に丸1日コースだ。
見どころ満載の江の島ではありますが、
小さい島なのにネタが多すぎて、有難味にかける気がしなくもなく・・・。
あと観光客を意識したつくりのものも多いように感じた。
やっぱり、江の島は湘南・・・いや、神奈川県内でもトップクラスに入る観光地だと痛感した。
でも今回は気付かなかった、もっとマニアックな江の島の顔もあるはず。
次回、機会があったらその辺を攻めてみたいと思いつつ、
参道の入り口のお店で買った缶ビールを片手に江の島を後にしました。
そして、続いて向かった先は・・・長くなったので続きは次の記事で。