「八幡町」の次に向かったのは、
武蔵野市の北側に隣接する西東京市(2001年に田無市と保谷市が合併してできた市)にある「東伏見稲荷神社」。
当初、訪問予定ではなかったんだが、
ここには先に触れた「中島飛行機武蔵製作所」への空襲で亡くなった方々の慰霊碑がある。
井口家からさほど遠くないので、行ってみることにした。
井口家の庭に植えられている巨木を撮影した道を北上し、
「五日市街道」の「関前橋交差点」を直進。
この時点で西東京市に突入だ。
坂道を下ると「青梅街道」に突き当たるんだが、
その坂の途中からトンネルを貫く道路工事の光景が見えた。
「青梅街道」を渡った先にあった工事の目的の看板をみると、
どうやら西武新宿線、更には「新青梅街道」を越えた先までぶち抜くようだ。
そういえば、この道を逆方向に進むと、
先ほど通った「境浄水場」脇の道路拡張工事の現場に辿り着く。
つまり、西東京市→武蔵野市→三鷹市を縦に貫く新道が出来上がるということだ。
なんだか、「外環道路」みたいだ。
「外環道路」建設には大反対なんだが、このような南北縦断の新道が出来るのに、
さらに「外環道路」が必要なんですかね?
それはさておき、この先に「東伏見稲荷神社」があるのですが、
こんな大規模工事しているなら、境内に入れないんじゃないか?と危惧してみたところ、
案の定、入口にはバリケードが。
とはいえ、工事中ずっと参拝者を拒むわけにもいかないので、
ちゃんと臨時の入口が鳥居に向かって左側の先にあった。
駐車場にチャリを駐輪し、参道入口という標識通りに進む。
民家に隣接する路地を歩いていくと、参道に出ました。
下の写真は封鎖中の鳥居の後ろ姿。
この神社は、稲荷神社の発祥である京都の「伏見稲荷神社」の分祀(ぶんし※神を別の場所にも祀ること)として、
1929年(昭和4年)に建てられた神社。(京都に対して東にあるから東伏見)
稲荷神社なので、「西窪稲荷神社」と同じく、
稲に宿る神である宇迦之御魂神(うかのみたまのかみ)を祀っている。
こちらは門を撮った写真。
門の上には狐がいる。
ここに限らず、稲荷神社ではよく狐の像を見かけるが、ちゃんと理由がある。
宇迦之御魂神の使いが狐だったのだ。
使いである狐を怒らせると、凶作などの祟りが起きるとされ、
それを鎮めるために、稲荷神社が建設されるようになった。
狐に限らず、日本では動物を神として崇める信仰が結構あり、
狐はその中でも最高位を持っている。
こういう考え方が、今日の「コックリさん」を生み出したのかもしれません。
さて「東伏見稲荷神社」ですが、こちらが本殿。
こじんまりとしていますが、風格があります。
この本殿の左横に「お塚参道入口」があった。
「お塚参道」って何ぞや?と思いながら、腰をかがめて本堂下の通路をくぐると、
鳥居、鳥居、鳥居、鳥居・・・と鳥居の連続。
ともかくその数は相当です。
本殿の裏側は鳥居だらけだった。
中にはミニチュアの鳥居までありました。
稲荷神社には商売繁盛の御利益があるので、
商店や企業関係者が「東伏見稲荷神社」にいくばくかのお金を支払い、
鳥居を建立してもらっているようだ。
いたるところに鳥居があるという思わぬ光景に出くわしましたが、ここに来た目的は、
空襲で亡くなった「中島飛行機武蔵製作所」の従業員の方々の慰霊碑に手を合わせること。
しかし、境内を方々探しみても、慰霊碑が見当たらない。
もう一度、「お塚参道」の方にも行ってみたが、やはりない。
勘違いだったかかと、iPhoneで調べてみたところ、やはり間違いない。
おかしいなぁーと思いつつも、すでに時間は14時を回っており、
お腹もすいてきたし、武蔵野市の散策もまだ残っているので、この場を離れることにした。
行きに通った仮の入口の路地の方へと戻ると、
その路地の真横に慰霊碑があった。
臨時の入口から入ると完全な死角になっており、
きっと、正規の参道から入って来たならば気が付いたはず。
何にしても、あってよかった。
この「東伏見稲荷神社」にはかつて中島飛行機の社員研修所があった縁で、
この慰霊碑が建てられたようなんだが、
殉職した方で無縁だった人は、先ほど訪れた「源正寺」の墓地に供養碑があるとのこと。
右側には、犠牲者の方々の名前が刻まれていた。
亡くなられた方々は軍人ではない。
空襲によって市民が犠牲になる。
当時と今では「お国のために散る」という考え方があまりに違うから、
安易なことは言えないけれど、戦争って不条理だなって思ってしまう。
慰霊碑に合掌した後、「東伏見稲荷神社」を後にした。
取りこぼした「井口家のサンシュユの木」と「御門訴事件記念碑」、
そして、予定外の「東伏見稲荷神社」を消化したので、
先ほど途中まで行きかけた境方面へと向かうことに。
その前に、“穴”の写真を一枚。
さっきの道路工事の現場です。
以降、「武蔵野市 PART6 境」へと続く。