2012年12月27日更新

#684 『ヱヴァンゲリヲン新劇場版:Q』

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『ヱヴァンゲリヲン新劇場版:Q』
2012年11月17日より全国にて
配給:ティ・ジョイ、カラー
©カラー


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ようやく『ヱヴァンゲリヲン新劇場版:Q』を見た。


「エヴァンゲリオン」は、TVアニメ、旧劇場版、新劇場版、全て見ているが、
昨年、一度に全部見たので、どれがどれだかゴチャゴチャになっており、
せめて『序』『破』を見直してからと思っていたら、見るのが遅くなってしまった。
(しかも見てからアップまでにかなり時間を要してしまった・・・)


で、『序』『破』をおさらいして、さらにコミックも読んで、
『ヱヴァンゲリヲン新劇場版:Q』に挑んだ。


公開して早々に見た同僚や知人から、
『Q』が今までの「エヴァ(ヱヴァ)」とは違うと聞いてはいたが、
それでも冒頭から想像を絶する展開が待ち受けていた。


『破』にあった究極のカタルシスと、それに感動した思い。
男になったシンジのその後の期待感。


それらをすべて破壊された。


言ってしまうと、期待していたものが何一つないんですよ。


冒頭20〜30分ぐらいは、劇中のシンジ同様、外様状態。
見慣れた光景はこれっぽっちもない。


シンジがアスカと対面する辺りからようやく少しだけ馴染んでくるものの、
それとてチンカス程度で、違和感は継続。


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そして、今回、前回で成長したシンジは、とことん落ちる。
ちゅうか確信犯的に落とされる。


シンジの行動目的であった「使徒殲滅」はなくなり、
いったい何を目指しているのかわからないまま物語が進む。


「人類補完計画」の達成が最終目標なんだろうけど、
それはシンジが願っていることではないし、
そもそも「人類補完計画」が何をもってして達成されるのかが分からない。


『Q』には、ここから脱出をする、逃げ切る、犯人を捕まえる、恋愛を成就させる、
仕事を成功させる、無実の罪を晴らす、試合に勝つといった、物語にあるべき目標がない。


『Q』は、過程を描く作品であり、物語が完結しないのは承知しているが、
それでも一つの作品ならば、何か物語の途中目標を掲げて欲しかった。


どうやったらその目標をクリアできるのか?
という要素が欠落すると、受け手は受動的にならざるおえないし、共感も難しい。


しかも知らない単語や意味深な発言が頻発するうえ、
聞き取りにくいセリフがかなりあり、それに気を取られたし、混乱した。


ちゅうことで、異質のものを与えられ、されるがままになった状態で、
終始居心地の悪いまま、客電が点灯。


ある程度覚悟はしていたが、ここまでモヤモヤするとは・・・。


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分かる人にしかわからない例えかもしれないけど、
大好きだったバンドが、突然、今までとは違う作風のアルバム作った感じ。


我が愛するデフ・レパードの「スラング」というアルバムを聴いた時と同じ印象を受けた。


「スラング」はデフ・レパードが今までの路線をやめて、
当時流行っていたグランジの要素を取り入れたアルバムで、往年のファンを大いに戸惑わせた。


これはデフ・レパードではない!!!って。


『Q』も同様で、見ている間と、見た直後は、
受け入れたいんだけど、受けいられないという拒絶反応を示した。


でもね、「スラング」は、ちゃんと聴くとデフ・レパード的な要素が、散りばめられているし、
その後のデフ・レパードをみるに、通過点でしかなかったことがわかる。


「スラング」があったからこそ、今のデフ・レパードがあり、
ファンも「スラング」を経験していたからこそ、今のデフ・レパードを受け入れられる。


『Q』も「スラング」と同じように新たな試みが成されているが、やっぱり「エヴァ」なんだよね。


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新キャラはともかく、シンジ、ゲンドウ、ミサト、ミツコ、アスカといった昔からのキャラクター造形は、
決してぶれていない。
(レイはちょっと特殊かな)


全員、「あぁ、やっぱりねぇ」という描かれ方が成されている。


そして、デフ・レパードの「スラング」を点としてみると、「問題作」なんだけど、
バンドの歴史=線で見るとしっくりくるように、
『Q』も追々全体を通して見ると納得できるんじゃないかなと。


恐らく、庵野秀明の中には物語の最終着地点は決まっているはずだ。


『序』=起
『破』=承
『Q』=転
『||』=結


『Q』は、『||』への布石であり、ステップ。
「転」の役割だと割り切るしかない。


「エヴァ」なんで、すべての謎や説明不足な部分を『||』で解決してくれるとは思わないが、
『Q』でのフラストレーションをすべて吹っ飛ばすような、素晴らしい物語が待っているに違いない。


でなければ、『Q』でとことんシンジを落とす意味がない。


『破』で感動を与えてくれたシンジを極限まで落っことす。
『Q』には目的がないと言ったが、究極のバカシンジを作り出すことが目的だったのかもしれない。


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観客は、シンジに対して失望をする。


しかし、落ちるところまで落ちた人間は、次に這い上がってくるものだ。


どん底から這い上がってくるシンジを見て、観客はどう感じるか?


こいつダメじゃん・・・と見切った人間が、
何かを成し遂げる。


それを目の当たりにすると、失望は共感、感動へと変わる。


ちゅうことで、最高の大団円を期待します!


頼むよ!ガキシンジ!!!!!

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プロフィール

1974年、東京都生まれ。少年時代、ジャッキー・チェンの映画に魅了され、映画小僧の道を突き進む。大学卒業後、映画宣伝代理店に入社。『リーサル・ウェポン4』、『アイズ ワイド シャット』、『マトリックス』などを担当。

2000年、スカパー!の映画情報専門チャンネル「カミングスーンTV」転職し、映画情報番組の制作を手掛けたのち、2006年、映画情報サイトの運用に従事。その後、いろいろあって、2013年7月よりCS放送「エンタメ〜テレHD」の編成に携わっている。

本ブログは、多ジャンルの情報提供を志すT-SHIRT-YA.COMのオファーを受けて、2003年4月にスタート。2007年12月にブログ化。
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