2013年04月25日更新

#698 『アイアンマン3』

ironman3main.jpg


『アイアンマン3』
2013年4月26日より全国にて
配給:ウォルト・ディズニー・スタジオ・ジャパン
©2013 MVLFFLLC. TM & (C) 2013 Marvel. All Rights Reserved.


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面白かったかどうかを尋ねられたら、「面白かった」と答える。
でも、1作目にあった満足感と興奮を得ることは出来なかった。


シリーズ3作目ともなると、どうしたって新鮮味に欠けてしまう。
それでも観客は、前2作以上のものを期待する。


しかも本作の場合は、あの『アベンジャーズ』の後日談という役目も担っている。


当たり前のことだけど、製作陣は新鮮味を出すために、
今までにないアイディアを考える。


結果、今回、アイアンマンに新たな機能がカスタマイズされているんだが、
なんか何でもあり状態になってしまったような気がしてならない。


その新機能のお蔭で、アイアンマンことトニー・スタークは危機を脱する。
しかも、何度も。


こうなると新鮮味を出すはずの新機能が、
「また?」という逆効果を生み出してしまっている。


シリーズもの、特に物語に繋がりがある場合、
続編の製作が難しいということを如実に表しているような気がする。


トニー・スタークの浅はかな発言によって、
トニーの住まいが敵に破壊され、愛するペッパーまでも危険にさらしてしまう。


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安住の地を失っただけでなく、トニーは遠く離れた地に身を置くことになる。
アイアンマン・スーツも一緒だが、パワー不足で機能しない。


そこに未知の力を持った敵が現れる。


トニー・スタークは、アイアンマンのスーツがなければ生身の人間だ。
人間では太刀打ちできない敵とどう対峙するのか?


さらに魔の手は、トニーの最愛の人であるペッパー・ポッツやアメリカ大統領にまで及ぶ。


トニー・スタークは、自らの窮地をどう脱するのか?
ペッパーや大統領をどうやって助けるのか?


こんな感じで、次から次へと、トニーに危機が訪れる。
これをどう解決するのかが、本作の楽しみのひとつなわけです。


製作陣は、一生懸命そういった危機的状況を作っている。


だから見ていて飽きないんだけど、
その解決策の多くが、アイアンマンの新機能ってのがね・・・。


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あと、自分の中でもうアメリカ映画のCG映像を見て、
驚いたり、興奮したりすることが、
ほとんどなくなっているということを本作で改めて痛感した。


80年代は、コマ撮りやミニチュアによるSFXで育ち、
ちょっとした特撮に驚いていた。
今見るとチープだけど「どうやって撮っているんだろう?」って。


1993年、革命的作品『ジュラシック・パーク』の映像にぶったまげ、
その後、CGに慣れつつあったところで、99年に『マトリックス』が登場。


2000年代、映像技術の進化は著しく、
もはや映像化できないものはないほど成熟した。


(金さえあれば)なんでも出来ちゃう。
この10年間で行きつくところまで行きついちゃった感がある。


映像の発達が楽しめなくなると、
この手の映画はちょっと辛いのかなぁ・・・。


せめてもう少し、印象に残る、かっこいいキラーショットがあったら良かったのに。


ということで、シリーズの中では一番辛い点数を付けざるおえないんだけど、
冒頭に書いた通り、決してつまらなくはないんですよ。


面白いんですよ。


ロバート・ダウニー・Jr.演じるトニー・スタークは、
相変わらずユニークで素敵。


さらに今回は、前2作よりも大人になり、守るべき者もいて、
葛藤して、最大の危機に陥り、苦悩する。


良かれ悪しかれトニーが変化することで、
ロバートの感情表現もより複雑になるわけだが、そこは流石の演技力。


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先日、世界一美しい女性に選ばれたグウィネス・パルトロウは、
あまり好みの女優さんではなかったけど、やっぱり綺麗だと思う。
前2作以上に大活躍する。


毎回、本シリーズの敵役は、大物が演じているが、
今回はガイ・ピアースとベン・キングズレーという渋い2枚看板。


彼らが演じている役柄は、悪役は悪役でも一筋縄ではいかない。
いろいろと捻りが加えられている。


あっ、そうそう、この2人の他にも敵がいて、
特殊な能力・・・というか体質を持っているだけど、
彼らが死ぬ条件がちょっと曖昧なような気がした。


ゾンビみたいに頭を打たれたら死ぬとか、
何かしら定義があって欲しかった。


さて、キャストの話に戻ると、
前作でテレンス・ハワードからチェンジしたドン・チードルや、
前2作で監督を務めたジョン・ファヴローも引き続き出演していて、良い味出している。


2人ともどっか惚けている感じが良い。


あと、個人的には副大統領役で、『ロボコップ』のミゲル・フェラーが出ていて嬉しかった。


昨年公開された『クーリエ−過去を運ぶ男−』にも出演しているようだが、
スクリーンでお目にかかるのは、2004年の『クライシス・オブ・アメリカ』以来。


出てきた瞬間に、「あぁ!!ミゲル・フェラー!!」とひとりで喜んでいた。


自分の中では、マイケル・アイアンサンドとランス・ヘンリクセンといった俳優が、
ミゲル・フェラーと同様で、ちょっと出てきただけで萌えるのです。


そんな感じで、個性豊かなキャラクターとそれを演じる豪華かつ、
しっかりとした俳優陣が揃い、物語も起伏に富んでいる。


危機の回避策がマンネリ、CG映像にときめけない、悪役の定義がいただけない、
以上、3点を除けば、やっぱり面白いのである。


ironman3sub1.jpg


そうねぇ〜、まぁ、欲を言えば、
1作目にあった奥深さも欲しかったなぁ。


今回、アイアンマンことトニー・スタークは、結果的には国のために戦うことになるんだけど、
根本的には、パーソナルな戦いだ。


故にどれだけ、トニーの心情に共感できるかが大切になってくるんだけど、
トニーみたいな境遇に置かれることは、後にも先にもないのでね・・・。


鑑賞後、真っ先に残った感想は、
「やっぱり、女ってつえぇ」。

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プロフィール

1974年、東京都生まれ。少年時代、ジャッキー・チェンの映画に魅了され、映画小僧の道を突き進む。大学卒業後、映画宣伝代理店に入社。『リーサル・ウェポン4』、『アイズ ワイド シャット』、『マトリックス』などを担当。

2000年、スカパー!の映画情報専門チャンネル「カミングスーンTV」転職し、映画情報番組の制作を手掛けたのち、2006年、映画情報サイトの運用に従事。その後、いろいろあって、2013年7月よりCS放送「エンタメ〜テレHD」の編成に携わっている。

本ブログは、多ジャンルの情報提供を志すT-SHIRT-YA.COMのオファーを受けて、2003年4月にスタート。2007年12月にブログ化。
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