『シー・トレマーズ』
2013年5月11日より池袋シネマサンシャイン(レイト)にて
配給:コムストック・グループ
公式サイト:http://sea-tremors.com/
Komodo Dragon BV ©
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「死霊のしたたり」シリーズ、『フロム・ビヨンド』、『ドールズ』など、
一貫してB級ホラー路線を貫き通してきたブライアン・ユズナ監督による深海モンスター・パニック。
久しぶりに全編を通してグダグダな映画を鑑賞した。
どうしようもないストーリー、活躍しないマイケル・パレ(未だに代表作は『ストリート・オブ・ファイヤー』)、
おせっかいで無計画な行動が目立つ神経逆なでのヒロイン、その他どうでもよい登場人物たち。
さらに困ったことに、みんな演技が驚異的に下手糞。
資料に従って“モンスター・パニック”って書いたけど、
パニックというにはスケール小さい。
ホラー的な要素もあるが、これっぽっちも怖くない。
舞台は、北スマトラの沖合に建築された水上の漁場。
素材は全部木材。
サソリ型のモンスターが、バンバン板を破壊する。
マイケル・パレが、「奥に逃げろ!!」と言って扉を閉めても、扉は木材。
奥に逃げる意味あるのか?
ちゅうか、モンスターよ!なぜ攻めない!!!!!!
そもそもお前の目的はなんなんだい!
「早く逃げろ!!」と言いながらも、モタモタモタモタ。
緊迫感のかけらもない。
そして、チープな特撮。
本来ならば、【裏部屋】直行な勢いなんだけど、
まぁ、ブライアン・ユズナなんで、この辺は想定内。
むしろ、このダメさ加減を楽しむのが、
本作の正しい鑑賞法だと思う。
手作り感溢れるSFXの造形や合成処理とか、
80年代ですか?ってぐらい哀愁漂っている。
それが良いんです!
初志貫徹。
ブライアン・ユズナ素晴らしいじゃないですか。
この映画を見に行く人たちは、そういう映画だってことを分かって見に行く人が多いと思うけど、
知らないで見に行くと「なんじゃこりゃ!?」ってなるに違いない。
でも、逆にそれが新鮮だったりして!?。
話はちょっと逸れるが、巨大サソリといえば『タイタンの戦い』が思い出される。
最近のクソ映画じゃなくて、1981年製作の方ね。
この作品で、ストップモーション・アニメーション技術を用いて、
巨大サソリのほか、クラーケン、メデューサ、ペガサスなど、
架空の生物を造形し、息吹を与えたのが、レイ・ハリーハウゼン。
『タイタンの戦い』以外でも『シンドバッド七回目の冒険』、『恐竜100万年』などの作品に参加し、
数多のクリーチャーを世に送り出してきた。
特に1963年の『アルゴ探検隊の大冒険』は、思い出深い。
ガキの頃、「日曜洋画劇場」で見たんだけど、
子供心に物凄く胸が躍ったのをよく覚えている。
特に骸骨の動きは秀逸。
youtubeにオリジナルトレーラーがアップされていた。
久しぶりに見たけど、やっぱり凄いね。
50年も前の映画なのに、特撮は『シー・トレマーズ』よりもハイクォリティ。
多くの映画人に影響を与えてきたレイ・ハリーハウゼンだけど、
去る5月7日に92歳でこの世を去った。
合掌。
レイ・ハリーハウゼンの特撮の感動とはちょっと違うが、
ブライアン・ユズナも、思春期の小生に大インパクトを与えている。
それが『ZOMBIO/死霊のしたたり』(1985)。
映画が好きになり、初めて買った映画雑誌「ロードショー」で紹介されていたんだけど、
掲載されていたスチール写真に衝撃を受けた。
生首(しかも生きている)が、全裸の女性の股間に!!!
小学生の時にこんな映画の存在を知ってしまったから、
こんな人格になっちまったんだよ。
それにしても【伊藤Pの部屋】の記念すべき700回目が、
『シー・トレマーズ』とは・・・。