『バレット』
2013年6月1日より新宿ピカデリーほか全国にて
配給:松竹
公式サイト:http://bullet-movie.jp/
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元海兵隊員で、逮捕歴26回、有罪2回という経歴を持つ殺し屋ジミー・ボノモ。
唯一の心を許した相棒が何者かによって殺害されたジミーは、
復讐のために自らのルールを捨て、若き堅物刑事テイラーと手を組む。
悪名高い殺し屋と、かたくなに正義を信じる刑事。
掟破りのコンビの行く先には、警察、マフィア、街の全ての組織が立ちはだかり……。
シルベスター・スタローン主演のアクション映画。
特筆すべきは、なんといっても監督がウォルター・ヒルという点でしょう。
主に70年代、80年代に活躍した監督で、
『ウォリアーズ』、『48時間』、『ストリート・オブ・ファイヤー』といった名作を撮っている。
個人的には、ニック・ノルティ主演の『ダブルボーダー』、
アメリカ映画初となるモスクワの赤の広場で撮影されたシュワちゃん主演作『レッドブル』なんかが、タイムリー。
骨太な男の映画を撮り続けてきたんだけど、
96年、黒澤明の『用心棒』のリメイク『ラストマン・スタンディング』以降、
パタリと作品を撮らなくなり、「どうしたんだろう?」なんて思っていたら、
01年にウェズリー・スナイプス、ウィング・レイムス共演の『デッドロック』を突如発表。
「おぉ!まだまだ元気だ!」と思ったのも束の間、その後、監督作ゼロ。
「もう年齢も年齢だし、リタイアかなぁ?」と半ば諦め、
そして、忘れかけていたところに『バレット』登場!
しかも主演はスライ!
でもって、初のタッグ!!
ガキの頃からスライとウォルター・ヒルの作品を見まくってきた者として、
この組合せに歓喜しないはずがない。
ウォルター・ヒルに声をかけたのはスライ本人。
「エクスペンダブルズ」シリーズ同様、粋な人材登用だ。
しかしながら、ウォルター・ヒルは、10年以上のブランクがあるし、
その間に映画業界は劇的な変化を遂げているし、
ウォルター・ヒルの作風は、今じゃ古典の領域だろうし、
「大丈夫か!?」という思いがないわけではない。
期待と不安を胸に『バレット』を鑑賞。
作りは至ってオーソドックス。
目を見張るような画期的な撮り方とかは皆無に等しい。
またCGに頼らず、生身のアクションを尊重しており、あまり大掛かりではない。
今の時代のアクション映画と比較してしまうと大人しいんだけど、
その方がこの作品の作風にあっているし、ウォルター・ヒルらしくていい。
らしさといえば、ウォルター・ヒル監督作のラストは、あっけなく終わることが多い。
主人公と敵が対峙して、互いに銃を撃つ。
バン!バン!バン!
敵に着弾して、ハイ、終り!
ガキの頃は、「えっ?これで終り?」と物足りなさを感じたんだけど、
ある時、ウォルター・ヒルの映画は、西部劇であるということに気が付いた。
(調べたら、本人もそう明言していた)
一騎打ち、一瞬の勝負。
これがカッコイイと思えるようになった。
男の美学だ。
ちゅうことで、『バレット』も、サクッと終わるに違いないと思っていたら、
意外にもクライマックスにガッツリと肉弾戦を盛り込んでいた。
このラストの肉弾戦は、逆にスライらしいなぁと。
スライは、『コブラ』や近年の『エクスペンダブルズ2』とか、
銃撃戦ではなく、男と男のぶつかり合いをクライマックスに持ってくることが多い。
ウォルター・ヒルとスライの得意なところが、融合されているってことか?
作りは古典的だが、実はハイブリット!?
スライは、現在60代半ば。
全盛期にあった筋肉の張りは流石にないけど、それでも年齢的にみたらすごい肉体だ。
相当の自信があるからか、いつも以上に露出度高し。
そんなスライが演じたジミーのキャラクターに新鮮さはない。
「エクペンダブルズ」シリーズのバーニーと大差ないようにも思う。
でもスライぐらいのキャリアになると、
専売特許みたいなもんだろうという悟りの域に到達する。
これで良いんです!!!
ジミーの相棒となるテイラーとの絡みが、
もう少し練られていたら良かったのに・・・という欲がありつつも、
ウォルター・ヒルの復活とスライとの初仕事を素直に喜びたい。
あと、スライの娘を演じたサラ・シャヒがエロく良かったです。