「皇居」の続き。
入園終了時間が過ぎていて参観できなかった「皇居東御苑」の代わりに、
駒込にある「吉祥寺」に行くことにしたが、
その前に「皇居」近くにある「平将門の首塚」に立ち寄った。
何度なく訪れているが、昼間は初!
(それってどうなん?)
大手町という都心のど真ん中に位置し、周りはオフィスビル。
首塚を移設しようとすると、その度に関係者が事故に見舞われる・・・。
都内、いや、もしかしたら日本で最も知名度の高い心霊スポットかもしれない。
まぁ、確かに「平将門の首塚」に来てみればわかるけど、異空間ですね。
霊的恐怖とかそういうのを抜きにして、周囲とは異質の空気が漂っている。
平将門は、平安時代の中期に活躍した豪族で、叔父の平国香(たいらのくにか)らとの私闘の末、
関東一帯を手中に収め、京都の朝廷に対して「新皇」を名乗り、朝敵となった。
朝廷は、将門討伐を命じ、940年に将門は、
俵藤太(たわらのとうた:藤原秀郷)率いる軍によって討たれる。
(承平・天慶の乱:しょうへい・てんぎょうのらん)
将門の首は京都へと持ち運ばれ、さらし首となったが、
その首は、将門の故郷である関東へと飛び去り、
途中で力尽きて落下したのがこの地で、
以来、首塚として祀られるようになったという伝説がある。
この場所は明治になると大蔵省が建ち、その敷地内に首塚が保存されていた。
現在よりももっと大規模な塚だったが、
政府は関東大震災の直後、取り壊して仮庁舎を建設するという計画を立てる。
仮庁舎の建設に向けて、土を掘り起こしたところ、石室が発掘される。
石室の中には将門の遺骨(頭蓋骨)があると思われたが、
蓋を開けてみたら頭蓋骨どころか骨は皆無。
石室の中には、比較的新しい時代の瓦や土が入っており、
一度発掘された形跡があったという。
この石室に将門の骨が、本当に入っていたかどうかはわからないが、
過去に何者かによって発掘されたようだ。
そして、政府は空だったからか、あろうことか石室を破壊してしまう。
その呪いかどうかはわかりませんが、
大蔵大臣・速水整璽(はやみせいじ)ら、工事に関係した人物が、2年間に14名も亡くなった。
さらに、第二次世界大戦後にGHQが区画整理を行おうとした際に、不審な事故が相次ぐなどし、
将門の祟りと恐れられるわけですが、一方で「将門の首塚」は安住の地を手に入れたことになる。
そんな首塚には、蛙の置物が奉納されている。
これは行方不明者の親族や左遷されたサラリーマンが、
将門の首のように、無事に帰ってこられるようにという願いを込めて収めたもの。
「蛙」と「帰る」をかけているってことですね。
「将門の首塚」は心霊スポットとして有名だが、こうした信仰も篤い。
「神田明神」では、将門のことを除災厄除の神様として祀っている。
祟りだと恐れられたり、神様として拝まれたりと、
両極端の将門ですが、日中に首塚を訪れて、初めて気が付いたことがある。
それがこの解説板。
江戸時代この地は酒井家上屋敷跡だったという説明ですが、
古地図を見るとこの辺は松平越前守の領地で、酒井家はもう少し南側に位置する。
なんだか納得いかないが、まぁいいや・・・。
「平将門の首塚」を後にし、次に向かったのは駒込「吉祥寺」。
調べたところ、JRだと山手線の西日暮里、田端、駒込が最寄駅。
最寄と言っても駅からそれぞれ数キロ離れている。
電車に乗っている時間がもったいないので、
一番手前の駅となる西日暮里で下車することに。
大手町からだと山手線は、東京駅と神田駅の選択肢があるわけですが、
若干戻る感じの東京駅よりも神田駅の方が良さそうということで、神田駅を目指す。
「平将門の首塚」沿いの道を東と歩き、外堀通りを北上。
暫くすると首都高速八重洲線の下を流れる日本橋川(神田川)に辿り着く。
この日本橋川に架かっている橋が、「鎌倉橋」。
以前、地図を見ていた際にこの「鎌倉橋」をたまたま発見した。
「なんで、東京なのに鎌倉?」と疑問に思い調べたら、
江戸城築城の時に鎌倉から木材や石材を水路で運び、
荷揚げしたのがこの地であったことから、「鎌倉橋」と呼ばれるようになったという。
この由緒を知った瞬間に、鎌倉の材木座が思い出された。
材木座は、鎌倉時代に木材を運び出す港として栄えていた。
材木座は、父方の祖父母の家があった鎌倉・由比ヶ浜のお隣り。
ガキの頃から聞き慣れた材木座と神田が繋がるとは思いもよらず驚いた。
こういう予期せぬ接点が、歴史の面白さだと思う。
この「鎌倉橋」の界隈は、江戸時代河岸として賑わったというが、今は見る影もない。
さらに後で知ったのですが、この「鎌倉橋」は、東京大空襲の際に受けた
爆撃と機銃掃射の銃弾跡が大小30個ほど残っているというではないか。
まったく眼中になかったので、次回、「鎌倉橋」を訪れた際には、
戦争の傷跡をチェックしてみようと思う。
「鎌倉橋」を後にし、歩いて数分、神田駅に到着。
駒込「吉祥寺」を目指し、山手線に乗車した。
以降、「吉祥寺」(駒込)へと続く。