『ワールド・ウォー Z』
2013年8月10日よりTOHOシネマズ日劇ほか全国にて
配給:東宝東和
©2013 PARAMOUNT PICTURES. ALL RIGHTS RESERVED.
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いやー、面白かった。
冒頭の70年代SF映画のような不安感を煽る映像とMUSEの音楽にまずしびれた。
オープニング開け。
一家団欒の朝食。
車で通勤、通学。
いきなり凶暴化した人間が、人々を襲い出す。
本編開始からたった5分で、観客を恐怖の世界に引きずり込む。
なぜこうなったのか?の理由なんかいらない。
この手のジャンルの過去の作品によって築き上げらてきた“説明不要”ってヤツだ。
前半はブラット・ピット扮する元国連調査官のジェリーが、
妻と二人の娘を守るため、安全な場所を見つけ出そうとする。
大した武器がない中、どうやってウイルスにやられた数多の暴徒たちをかわすのか?
まずここの一連のシークエンスが、最強にスリリングで、ちょっぴり切なかった。
その後、国連に呼び戻されたジェリーは、ウイルスの出所を突き止めるため、
アメリカから韓国、イスラエル、そしてイギリスへと渡る。
前半がパーソナルな戦いだった分、中盤以降はスペクタクルな戦いやイベントが用意されている。
そして、後半。
ネタバレになってしまうのであまり書かないけど、
これがまたスリル満点。
達成目標があって、その目標を達成するためにはどんな行動をしなくてはならいのか?
それが見ている側にも理解できる。
達成目標のハードルが高いから、尚更見ていて面白い。
“なんのために主人公が行動しているのか?”
割とこの理由の説明が、疎かになっている作品が多い。
要するに『ワールド・ウォー Z』は、きちんと段階を踏んでくれているということだ。
韓国に行ってからのジェリーは、主に人類のために戦うことになるんだけど、
合間に奥さんとの電話でのやり取りなんかをインサートする。
ジェリーが、ウイルスの発祥地を確定し、拡散を防止し、ワクチンを開発しないと、
結果的にジェリーの家族、そして、ジェリー自身の生命にかかわってくる。
常にジェリーの家族のことを意識させてくれることによって、
壮大なスケールで描かれているのにも関わらず、一個人として本作に共感できる。
これが本作の強みだと思いう。
ジェリーの家族だけでなく、ジェリーとイスラエル女性軍人セガンの絆もいい。
志が一緒で、共に助け合って戦っていく。
監督はマーク・フォースター。
人間ドラマ『チョコレート』と『ネバーランド』で注目され、、
『007/慰めの報酬』で人間ドラマだけでなく、アクション演出の手腕も評価された。
思うんだけど、90年代以降、人間ドラマを撮ったことのある監督が、
アクション映画を撮った方が、
最初からアクション映画を撮り続けている監督よりも、
奥行きのある作品を撮れるような気がしてならない。
例えば、サム・メンデスとか。
って、これまた「007」だけど・・・。
ちょっとジェリーが、“ダイ・ハードマン”なところが無きにしも非ずだけど、
まぁ、映画だし、許容範囲内だったかな。
相変わらずブラッド・ピットはかっこいいし、
2時間、映画の楽しさを堪能させて頂きました。