本ブログ【控え室】「どなん」と「新宿末廣亭&沖縄パラダイス」に登場した元上司のAさんと奥さん、
会社の同僚T女史と、8月29日に新宿文化センターで開催された落語を見てきた。
「瀧川鯉昇・春風亭一之輔『弾けるふたり』パート2」
下記、演目。
瀧川鯉ん「転失気(てんしき)」
瀧川鯉昇「ちりとてちん」
春風亭一之輔「粗忽の釘」
春風亭一之輔「千両みかん」
瀧川鯉昇「死ぬなら今」
前座の瀧川鯉ん(こいんと読む)は、瀧川鯉昇師匠の13番目の弟子。
元漫才師で、今年新弟子になったばかりのよう。
まだまだこれからです。
瀧川鯉昇は、音声だけの「時そば」を聴いたことがある程度で、
生どころか、その姿を見ること自体が初めて。
Aさんと同じ浜松出身。
1975年入門だから、小生が1歳の時から噺家として活動している大ベテラン。
高座に座って、数秒沈黙。
今年、還暦を迎え、何をするにも疲れたとボヤきながらも、
飲み芸、食い芸、嗅ぎ芸と運動量が割かし多い「ちりとてちん」を披露。
新宿末廣亭7月下席でも春風亭昇太が演じていたけど、
勢いの良い昇太のバージョンと異なり、どっしり、じっくりと話す。
同じ噺でも噺家によって、まるで別のもになる。
これが同じネタを何度聞いても楽しめるという落語の利点。
後半、主人公の旦那が、知ったかぶりで何事にもケチをつける虎に、
腐った豆腐を食わせる下りは、本当に臭ってきそうで、
思わずウェップとなった。
それぐらい芸が達者ってことだ。
一つ前の瀧川鯉んの「転失気」も知ったかぶりした和尚が、恥をかくという噺。
やっぱり知らないものは知らないと、正直に言ったほうが身のためですね。
続いて、登場した春風亭一之輔は、
小生の人生を変えてしまった人物といっても過言ではない。
生まれて初めて生で見た落語が、昨年の6月に行われた春風亭一之輔の真打昇進の記念公演。
この日、一之輔は「青菜」をかけたのですが、これが猛烈な面白さで、
一発でノックアウト。
以後、落語にはまり、江戸時代にはまり、散策にはまる・・・。
一番最初に一之輔の落語を見ていなかったら、ここまで落語にはまることもなかっただろう。
ということで、楽しみだったのですが、
期待通りに枕から絶好調。
ガリガリくんにまつわるこの日の子供とのやり取りを大仰に話し、場内大爆笑。
実際の出来事に相当話を盛っているんだろうけど、それはそれ。
一之輔は、枕で自分の子供に限らず、子供ネタを話すことが多い。
子供キャラを演じさせるとこれがまた上手い。
本題の「粗忽の釘」に入ってからも枕での勢いは止まらない。
途中で挟んだ一之輔オリジナルの主人公と奥さんとの馴れ初めのパートで、
ギャグの波状攻撃。
ブルドーザーのように押し寄せるギャグに笑いが止まらない。
瀧川鯉昇師匠版が上がっていました。
古典なんだけど、“今”を感じることが出来るのは、
こういう一之輔流のアレンジに依る所が大きいのでは?
仲入り後は、再び一之輔で「千両みかん」。
この日、池袋の昼席で代演したというので、
流石に3席目ともなるとテンション下がるのか、
サラッと流した感じ。
トリは鯉昇の「死ぬなら今」。
タイトルすら聞き覚えのないネタだったのですが、
それもそのはず、後で調べたら珍作中の珍作とのこと。
生前、散々悪事を働いたケチベイが、死後、地獄に堕ちて閻魔大王を懐柔する話。
地獄が舞台ということで、状況説明が多い、いわゆる地噺というやつなのですが、
鯉昇は、オリジナルの会話を増やして、状況説明過多を回避。
最近は、“公務員時間”と称して、終了予定時間が来たら意地でも終わらせると枕で語っていた通り、
21時ちょい過ぎにキッチリ終了。
鯉昇が話を省略して時間調整したのかと思ったら、
どうやらそうでもなさそうで、特に縮めたりしてはいないよう。
『弾けるふたり』というタイトルが付いている割には、
仲入り後が、2人ともパワーダウンしていて、
正直、前半と後半を入れ替えた方が良かったんじゃないか?と思いましたね。
もちろん、十分、面白かったんだけどね。
この日かかった噺をいろいろと調べたら、
全ての噺が元々は上方落語だった。
これは偶然か?
因みに、「ちりとてちん」は、江戸では「酢豆腐」、
「粗忽の釘」は、上方だと「宿替え」。
落語終了後は、新宿ということで、
先日、新宿末廣亭の後に行き、まさかのお泊りをしてしまった「沖縄パラダイス」へ直行。
※詳しくは「新宿末廣亭&沖縄パラダイス」にて。
お世話になったマスターにお礼を言おうと思ったら、
マスターの方から「お久しぶりです」と挨拶してきてくれた。
覚えていてくれた!
そして、この日もマスターの島唄ライブ。
前回ほどお客さんがいなかったうえ、
泥酔客もいなくて、あんまり盛り上がらない。
マスターもちょっと手こずっていたけど、
最終的にはこの状態。
マスターのライブミュージシャンとしての才能は、只者ではない。
で、ウタゲのあと。
でもって、こちらが前回、しょっぱかったスーチカー。
マスターの「気お付けます」の言葉通り、
しょっぱくなく、大変美味しかったです。
木曜日だし、今回は流石にお泊りなしで、
24時ごろ店を出ました。
新宿での落語の後は、沖縄パラダイスというのが定番化しそうなんだけど、
マスターのライブを見ると、落語のことが吹っ飛んでしまうのであります。