2013年11月21日(木)東京ドームで行われた
ポール・マッカートニーの日本最終公演に行ってきました。
ポールのライブは、1993年、2002年に続き、3度目。
会場は超満員。
東京ドームを満杯にできる外国人アーティストがいなくなって久しいですが、
流石はポールです。
前の2回とも、今回ほどチケットの入手が困難ではなく、
普通にあっさりと購入できた。
71歳というポールの年齢からすると、
恐らくこれが最後の来日公演になる。
多くの人のそんな思いが、この動員に繋がったのでしょう。
定時を20分ぐらい過ぎてから客電が落ち、
ステージの袖からポールほか、バンドのメンバーが登場。
前回のギターコードがシラタマ(全音符)でかき鳴らされる中、
ポールがカール・ヘフナー(ポール愛用のベース)を高々と掲げてシルエットで登場し、
幕が下りた後、“You say yes!”と「Hello Goobye」を演奏したオープニングに比べると、
なんの演出もなくちょっと寂しい。
1曲目が「Eight Days The Week」というのもインパクトに欠けるし、
続く新作からの「Save Us」への流れも、
2003年の時の「Hello Goodbye」〜「Jet」と比較すると物足りない。
それでも、ポールの演奏する姿を見られただけで、
嬉しくてちょっと涙ぐんでしまった。
セットリストを含め、あらゆる事前情報をシャットダウンして会場入りしたので、
ポール率いるバンドのメンバーが誰かも知らないかったんだけど、
2002年の時と同じ、ラスティー・アンダーソン(g)、ブライアン・レイ(g)、
ポール・“ウィックス”・ ウィケンズ(key)、
エイブ・ラボリエル・ジュニア(dr)の不動のラインアップだったのも嬉しかった。
(カッコ内の楽器は、彼らのメイン楽器。曲によって違う楽器も弾きます)
実はそれぞれ59年生まれ、55年生まれとオッサンなラスティーとブライアンですが、
相変わらず見た目は若々しい!
かつてボブ・サップと勝手に命名していたドラムのエイブは、ボブのままだった。
一番付き合いが長いのは、キーボードのポール・ウィケンズ。
調べたら89年からだって。
3曲目の「All My Loving」以降は、比較的冷静に聴いていたんだけど、
9曲目の「The Long And Winding Road」で、ジワァァァってきた。
個人的にはそれ程思い入れの強い曲じゃないのに、心に沁みた「The Long And Winding Road」の次は、
1998年に乳がんで亡くなったリンダ・マッカートニーに捧げられた「Maybe I'm Amazed」。
初めて見た1993年のポールのライブの際には、
キーボーディストとして一緒に、この東京ドームのステージに立っていたリンダ。
笑顔でVサインを掲げる在りし日のリンダの姿が甦り、落涙。
この他、まさかの「I've Just Seen A Face」に驚き、
ギター一本で数万人を黙らせてしまった「Blackbird」にシビれた。
「All Together Now」「Lovely Rita」
「Being for the Benefit of Mr. Kite!」といったライブ初演奏の曲も多く、
新鮮ではあったが、だったら違う曲を・・・と思ってしまったのも事実。
ポールは名曲が多すぎる!
故に、あの曲、もしかしてやらないかも!?という不安が常につきまとっていた。
どーしてもやって欲しかった曲があったのです。
それは「Band On The Run」と「Live And Let Die」と「Jet」。
定番中の定番なので、まさか外されることはないだろう・・・と思っていたものの、
いつも早い段階で登場する「Jet」が、終盤に差し掛かっても演奏されていない。
やるまで安心できんのです。
結局「Jet」はセットリストから漏れてしまったけど(19日の東京ドームではやった)、
「Band On The Run」と「Live And Let Die」はやってくれた!!
静と動。
メリハリがある。
いやー、マジでライブ映えする曲だよねぇ。
この2曲に挟まれる形で演奏された「Back in the U.S.S.R.」は、
大学1年生の時に初めて組んだバンドで演奏したなぁ〜、
疎遠になってしまったボーカルの佐々木さんは、今何してるかなぁ、結婚したかなぁ〜、
なんて思いが湧き上がる。
そして、本編のラストは「Hey Jude」。
もちろん、大合唱。
短い曲が多いとはいえ、この時点で31曲というボリューム。
ポール、スゲェ。
アンコール一曲目は、「Day Tripper」。
ブライアン・レイが、これぞレスポールという音色で奏でるリフは、
タメ過ぎだろう!って、突っ込みの一つでも入れたくなったが、
無邪気に楽しそうに演奏していたから許してあげよう(なんてね)。
この日一番の爆音だった「Day Tripper」のリフですが、
小生が初めて覚えたギターリフでもあります。
お金がなくてエレキを買えず、親父からもらったアコギで弾いてました。
大ヒット曲なのにイマイチ観客の反応が良くなった「Hi,Hi,Hi」に続いて、
「Get Back」で1回目のアンコール終了。
2回目のアンコールは、「Yesterday」。
入場時に配られたサイリウム(折ると発光するスティック)を観客が点灯。
ポールには内緒の観客からのサプライズ!
が、ポールはスルー。
観客全員「Yesterday」はアンコールでやるというネタバレを食らったんだから、
ちょっとは触れてよ!!
でも、赤く染まる東京ドームの光景は幻想的でした。
多くの観客が酔いしれた「Yesterday」の後は、
ガラリと雰囲気を変えて「Helter Skelter」!
よくブルーチアーの「Summer Time Blues」が、
初のメタルソングと言われているが、
「Helter Skelter」でしょ!!!
ポールのライブで初めてヘッドバンキングが出来ました!!!
この曲は、大学1年生の時に、初めて学校外で組んだバンド(いわゆる外バン)で、
演奏したなぁー、なんてことを思い出す。
そして、そして、〆は、
「Golden Slumbers / Carry That Weight / The End」の最強メドレー。
このメドレーは、ポールがビートルズの曲をライブで積極的に演奏し始めた、
89年〜90年にかけてのツアーから定番となっているが、
元々はセットリストに入れられていなかったという。
サウンドチェックでこの曲を演奏した時に、
現場にいたクルーたちが、涙を流しながら聴いている姿を見たポールが、
だったら本番でもやろう!ということで加えられた。
その時泣いたクルーたち、ありがとう!!!!
スタジオ盤でこの曲を聴いても泣けるのに、
ポールの生歌、生演奏で聴いて、感動しない訳がない!!!
大感動のフィナーレ。
ぶっちゃけると、選曲、曲順、演出、全てにおいて、前回2002年の方が良かった。
でも、だから今回がダメだったってわけじゃない。
71歳という高齢にも関わらず、2時間50分にも及ぶライブを行えるポールは、
ほんとうに凄いと思うし、プロフェッショナル。
一生懸命日本語で話して、観客とコミュニケーションを取ろうとするのも好感が持てました。
それからポールが、観客に向かって「あなたたちはサイコーです!」と言ったんだけど、
ポールの言う通りだった。
前に座っていた60代と思しき男性は、
ビートルズやウィングスの曲がかかる度に、
嬉しそうに体を一生懸命揺らしていた。
童心に帰るとはこのことだ。
リズム感がまるでないのも微笑ましかった。
隣の女性は、数曲ですすり泣いていた。
前方を見ると、大の大人たちが、演奏に合わせて楽しそうに口ずさんでいた。
50年前からのファンもいるだろうし、
途中から好きになったファンもいるだろうし、
ビートルズ解散後に生まれたファンもいるだろうし(小生がこの世代)、
中には平成生まれのファンもいるでしょう。
全てのファンたちが、それぞれの曲に対して、それぞれの思い出を持っている。
あの時、この曲を聴いたなぁ。
この曲を聴いた時、あんなことしていたなぁ。
恋人と一緒に聴いたなぁ。
別れた女房が好きだったなぁ。
などなど・・・。
音楽は、様々な思いや感情を呼び覚ましてくれるけど、
50年以上のキャリアを誇るポール・マッカートニーは、
格別でしょう。
また、新作「NEW」から4曲演奏され、
その時のポールの楽しそうな姿が印象的だった。
ポール自身が新しい曲をやる新鮮さと喜びを体現している。
過去だけでなく、今現在のポール・マッカートニーを見せたい。
そんな思いが観客にも伝わってきた。
過去を意識しつつ、ちゃんと現在進行形を見せるポールのことが、
みんな大好きなのさ。
会場の雰囲気が、超良かったです。
人によって、この日一番良かった曲は違うと思うんだけど、
私のハイライトは「Something」でした。
前回同様ウクレレで演奏され、
最初は「またウクレレ?この曲はギターソロが良いのに・・・」と思っていたら、
そのギターソロのところでエレキにチェンジ!
ドカーン!!!って感じ。
しかもジョージのフレーズに忠実!
バックスクリーンにはジョージの写真が映し出されるし、
これで泣くなというのは無理な話でございます。
嗚咽をなんとか堪えました。
ポールは何度も何度も「ありがとう」という言葉を口にした。
いやいや、こちらこそ「ありがとう!」ですよ!!
<2014年11月21日@東京ドーム セットリスト>
01.Eight Days A Week
02.Save us
03.All My Loving
04.Listen To What The Man Said
05.Let Me Roll It
06.Paperback Writer
07.My Valentine
08.Nineteen Hundred and Eighty
09.The Long And Winding Road
10.Maybe I'm Amazed
11.I've Just Seen A Face
12.We Can Work It Out
13.Another Day
14.And I Love Her
15.Blackbird
16.Here Today
17.NEW
18.Queenie Eye
19.Lady Madonna
20.All Together Now
21.Lovely Rita
22.Everybody Out There
23.Eleanor Rigby
24.Being for the Benefit of Mr. Kite!
25.Something
26.Ob-La-Di, Ob-La-Da
27.Band on the Run
28.Back in the U.S.S.R.
29.Let It Be
30.Live And Let Die
31.Hey Jude
アンコール:
32.Day Tripper
33.Hi, Hi, Hi
34.Get Back
アンコール2回目:
35.Yesterday
36.Helter Skelter
37.Golden Slumbers / Carry That Weight / The End