『ばしゃ馬さんとビッグマウス』
2013年11月2日より全国にて
配給:東映
©2013「ばしゃ馬さんとビッグマウス」製作委員会
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学生の頃から脚本家志望で、“ばしゃ馬”のようにシナリオを書き続けるが、
落選しまくっている34才の馬淵みち代は、社会人コースのシナリオスクールに通いだす。
そこで、超自信過剰な“ビッグマウス”天童義美、28歳から声をかけられる。
天童が馬淵に一目ぼれしてしまったのだ。
ストイックなまでにシナリオを書き続ける馬淵に対して、
天童は、他人の作品に毒舌を吐き講釈を垂れるが、まだ一度もシナリオを書いたことがない。
真面目で真剣だけど、日の目を見ないまま三十路を越えた馬渕と、
根拠のない自信で大口を叩きまくる天童。
同じ夢を持ちながらも、まるで性格の違う2人が出会ったことで、
それぞれが少しずつ影響を受け始め・・・。
8月10日公開の『ワールド・ウォー Z』以来の映画紹介。
自分でもびっくりするぐらい映画見ていないですねぇ。
でも、『純喫茶磯辺』に続く、
麻生久美子×吉田恵輔監督のコンビ作となる本作を見ないわけにはいかない。
今回も『机のなかみ』『純喫茶磯辺』『さんかく』同様、
吉田恵輔監督のオリジナル脚本であり(仁志原了と共同脚本)、
うだつのあがらない市井の人々を描いている。
吉田恵輔監督作品は、
登場人物が、浅ましくて、自己中心的で、都合の良い解釈をして、
結果、うまく行かないという滑稽話が多いけど、
『ばしゃ馬さんとビックマウス』では、少しその辺が鳴りを潜めていて、
変わりに「夢を追いかける人の切なさ」が、前面に出ている。
傍から見たらシナリオを書くことに猪突猛進する馬淵は滑稽かもしれないが、
その一生懸命な姿を笑うことが出来ない。
本作をマスコミ試写会で鑑賞後、トイレで用を足していたら、
同じく映画を見終えたおじさん2人が入ってきて、
「(映画)いかがでしたか?」
「うーん、どーもピンとこない。ほらっ、私は落とす側だから」
という会話をしていた。
“落とす側”の人に、ピンと来て欲しいところですが、
これが現実ってヤツですよ。
まぁ、小生ももう四十路なので、幼い頃からの夢を追いかける年齢じゃないし、
そもそも小さい頃から夢を実は既に実現してしまったので、
馬淵の悔しさや惨めさを心底理解できはしないんだけどね・・・。
本作は、吉田恵輔監督が、映画監督になる夢を追いかけて奮闘するも、
十年間全く芽が出なかった経験を元にしている。
吉田恵輔監督は、12月に『麦子さんと』の公開を控えているし、
他にも進行中の企画があり、結果的に映画監督として成功を収めた(と言って差し支えないのかな?)。
シナリオライターに限らず、
映画監督になりたい、俳優になりたい、
アイドルになりたいといった夢を持っている人は、
この世にたくさんいると思う。
夢を追いかけるのはいいことだけど、
その夢を掴むことが出来る人は一握り。
成功への道は、才能だけでなく、
運や人脈に拠ることもあるでしょう。
いつかきっと・・・という希望を胸に、
ズルズルと夢を追いかけ続けることの虚しさ、
時には諦めることも必要なのでは?
苦労人の吉田恵輔監督からのメッセージがそこかしこに。
夢追い人の喜怒哀楽が楽しい本作ですが、
なんといっても最大の見所は麻生久美子。
まぁー、なんて美しいんでしょうかぁ〜。
ため息が出ましたよ。
役柄上、あまり化粧をしていないのにも関わらず、
HD画像に耐えうる美白肌。
あまりに白くって透き通っちゃうんじゃないかって。
ラスト近くの天童義美に扮した安田章大とのやり取りのシーンでは、
その透明感バリバリの美しさに見とれてしまい、
セリフを聞き逃してしまいましたよ。
女優としてもいつもながら素晴らしく、
馬淵みち代を通して、様々な感情表現をみせてくれます。
真剣な麻生さん。
没頭する麻生さん。
ボォォとする麻生さん。
怒る麻生さん。
笑う麻生さん。
泣く麻生さん。
にらむ麻生さん。
微笑む麻生さん。
酔っ払った麻生さん。
どれもイイッス!!
話の内容に興味がないという麻生久美子ファンもいるかもしれませんが、
麻生さんのいろんな美しさが堪能できるので、ファンならば見て損はないと思います。
吉田恵輔監督は『純喫茶磯辺』に引く続き、
麻生さんの新しい魅力を引き出しながら、美しく撮ってくれた。
是非、第3弾、第4弾とコンビを組み続けて欲しい。