<ディープツアー2013 一覧>
【1】「ディープツアー2013 等々力」
【2】「ディープツアー2013 二子玉川」
【3】「ディープツアー2013 逗子」
【4】「ディープツアー2013 鎌倉PART1」
【5】「ディープツアー2013 鎌倉PART2」
「ディープツアー2013 鎌倉PART2」からの続き。
源頼朝や大江広元らの墓がある「法華堂」を後にし、
「鎌倉宮」の横の細い道を進むと、
鎌倉アルプスハイキングコース入口へ。
既に薄暗く、体力的にもかなり来ていたんだけど、
まるで切通しかのような山道に興奮!
萌える光景で体力を回復し、ガンガン突き進むと、
ちょっと小高い場所にやぐら発見!
よじ登ってやぐらの中を撮影。
この時、近くで人の声が聞こえたような気がしたので、
「いま、人の声聞こえなかった?」と佐藤アサトに訊ねると、
聞こえなかったと言う。
確かに聞えたはずなんだが・・・。
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気のせいかとやぐらを撮影していると、
「すげぇー、こっちのほうに超たくさんやぐらがありますよぉ!!」
と佐藤アサトの興奮する声が。
山道に降り立ち、声のするほうに行くと、
佐藤アサトが佇んでいる。
「どうしたの?」と聞くと、「人がいる」と。
見ると左側に無数のやぐらがある細い山道の途中に、
タンクトップ姿のおじさんがいた。
さっき聞こえた人の声は、どうやらこのおじさんの声だったみたい。
危害を加えてくる様子もないので、近づき話しかけてみる。
「何やっているんですか?」
「猫に餌やっているんだよ」
こんなところに野良猫がいるのも驚きだが、
わざわざタンクトップ姿で餌をやりに来るのも凄い。
おじさんが野良猫に餌をやっている後方にもやぐらがバンバンあった。
しかし、おじさんはやぐらが何であるかを知らないらしく、
「この穴なに?」と質問してきた。
昔の人たちのお墓であることを伝えると、
「こんなところで猫に餌やって大丈夫かな」と恐縮していた。
そんなおじさんとの会話よりも「百八やぐら」である。
本日のメインイベントにふさわしかったですね。
奥の方にもしこたまやぐらが。
中には供養塔らしきものまで残っていた。
「百八やぐら」といわれるだけあって、ものすごい数のやぐらだった。
全部で180ぐらいあるらしいんだけど、
仏教の煩悩(人間の欲望)の数が108個あることから、
「百八やぐら」という名称になったとのこと。
これらのやぐらはすべて鎌倉時代、及び中世の遺構ではなく、
中には江戸、明治の時代のものもあるそうなんだが、
それでもそれなりの歴史がある。
重要指定文化財クラスでしょ?
それがこうやって間近で拝めるのは、至福です。
これからも心無い人や自然災害によって破壊されずに現存して欲しい。
「名越切通し」にあった「まんだら堂」のように、
期間限定公開にならないことを祈る。
このままずっと眺めていたいところだが、日没。
流石にやばいので、ハイキングコースに戻る。
ここからだと北鎌倉駅、大船駅の選択肢があるが、
さっきのおじさんに聞いたところ、ハイキングコースをちょっと行くと階段があり、
それを降りると大船の方に出るので、そこからバスが良いという。
大船ルートを取ると、途中に「鎌倉湖(散在ガ池)」がある。
ここは心霊スポットとして知られている場所。
じゃぁ、ついでにそっち行ってみる?
ってな感じで、大船ルートを選択。
おじさんから言われた通りに進むと、言われた通りに階段があり、
言われた通りに階段を下ると、自転車が駐輪してあった。
恐らく、さっきのおじさんの自転車ではないかと。
階段下はちょっとした広場になっており、そこを抜けると住宅街。
鎌倉湖のある敷地を迂回する感じで、普通の道を歩いていたんだが、
一向に鎌倉湖の入口に辿り着かない。
ぐるりと鎌倉湖を回りこむ形で歩いていると、
ようやく鎌倉湖の入口が。
しかし、門は閉まっていた。
鎌倉湖は、江戸時代末期に農業用水の確保のために造られた人造湖。
この近くでバラバラ殺人事件があり、心霊スポットとして知られるようになったそうな。
確かにうっそうとしているし、人気もなくて気持ちが悪い。
こちらはそんな鎌倉湖の近くにあった広場の素敵な光景。
陽は暮れたうえ、散々歩き回り、二人とも結構疲労困憊。
調べると現在地点から大船駅まで3キロ。
普段だったら3キロぐらい大したはことないが、歩くのはもう無理。
ということで、バス!
一番近くにあったバス停で待っていると、ほどのなくバスがやってきた。
ドアが開き、運転手さんに大船駅に行くか尋ねると、
ここから乗ると遠回りだし、お金も高くつくから、
少し先にある白山神社前のバス停から乗った方が良いと教えられた。
なんて親切な運転手さん。
待っていたバス停からすぐの白山神社前の交差点を左折すると、
運転手さんの言うとおり「白山神社前」のバス停があった。
バスが来るまでベンチに座っていたんだが、
よくよく考えると座ったの逗子で昼飯を食べて以来だ。
疲れて当然だ。
10分ぐらい待っているとバスがやってきた。
バスに乗り込むと、乗客はゼロ。
このまま異世界に連れてかれるのでは!?
そんな訳もなく大船駅に無事到着。
大船駅から湘南新宿ライナーに乗り、
20時ちょっと過ぎに辿り着いた先は、毎度毎度の荻窪!
この後、馴染みの焼き鳥屋で、佐藤アサトとお疲れ様の懇親会。
いやー、疲れましたね。
前2回以上にハードでした。
同じ日に等々力渓谷に行ったのが信じられません。
我ながら結構な移動距離だったと思う。
さて、実は今回の散策で吹っ切れたことがあった。
それは何かというと、この散策記の意義。
今まで散策をして、それをこのブログにアップしてきました。
でもその多くの情報が既にネットに公開されている。
そのネタを参考資料として文章を書くこともある。
今の世の中、散策してみたところで、新発見などないに等しい。
どこかに行って何かに触れて、情報提供しても唯一無二のものではない。
そんなネタを綴っても、楽しんでもらえないのでは?
常にその葛藤があった。
しかし、今回確信した。
その日、その時得た情報は、その日、その時のものでしかないことを。
「旧北条時政邸跡」にはもう入れない。
でも、昔は入れた。
「釈迦堂切通し」や「腹切りやぐら」は、2年前の光景と様変わりしていた。
2年前にあった光景はもうない。
大町の「五岳荘」トンネルだって、
数年前とまるで違うことが、リンクしたサイトのリポートからもわかる。
「筋替橋」もそうだ。
もしかしたら、この散策記が後世の参考資料として残る可能性だってある。
時代の動きも速いんで、2年前まで当たり前だったことが、
そうでなくなる世の中。
であるならば、速い流れの中の一瞬を伝えるのもありなんじゃないかと。
そう思った次第。
大変有意義な散策でした。
次の日も別の場所に散策に出かけたのですが、
この思いを多分に引きずりました。
因みに今回の散策の歩行距離は、過去最高の約22キロでした。
アサちゃん、来年も行きましょう!