先日、中学校卒業以来、25年ぶりに同級生と再会した。
同級生の名前は、恒川光太郎。
そう、「スタープレイヤー」、「ヘブンメイカー」の作者だ。
「スタープレイヤー」の出版社の担当と小生が、
たまたま10年来の友人だったことがきっかけとなり、
昨年の秋ぐらいからメールで連絡を取り合うようになった。
恒川光太郎は沖縄在住なので、なかなか会う機会がなかったが、
12月頭に上京するので会おうとなり、
2人の地元、吉祥寺のバーで落ち合った。
恒川光太郎は、日本ホラー小説大賞や日本推理作家協会賞受賞、
山本周五郎賞、吉川英治文学新人賞、そして、直木賞候補作家だ。
きっと彼のことを恒川先生と呼ぶ人もいるだろう。
しかし、恒川光太郎は、小生の知っている恒川光太郎だった。
恒川光太郎は、この日のことをブログ「コウタライン」で既に綴っており、
Mちゃんこと小生のことを“変わらない”と言っているが、
それはこちらも一緒だ。
変わらない。
酒の飲めない中学生以来なので、当然、初めて杯を交わしたんだけど、
映画やハードロック・ヘビーメタルの話に花が咲いた。
会う前は「なんで小説家になったのか」を筆頭に、
「創作の源は何か?」など、
彼の著作についていろいろ聞こうと思っていたのだが、
そちらの話はほどほどで、
逆に「そのバンドの一番好きなアルバムはなに?」等々、
こちらが質問に答えることの方が多かった。
【伊藤Pの部屋】も読み込んでくれていて、
【散策の部屋】についてあれこれ聞かれることもあった。
勿論、他の同級生たちの現在についても話した。
何人かは今何をしているのか把握しているが、
ほとんどが消息不明。
当時あった旧友の家は新しく建て替えられ、
違う名字の表札が掲げられていることが多い。
「あいつは今頃何やっているんだろう」と共に懐かしむ。
中学時代、2人はTさんという女子に恋心を抱いていたことがあり、
その子のことも話したりした。
そして、残念ながら、我々の学年には、
既にこの世を去ってしまった者も何人かいる。
病気、不慮の事故、交通事故、自殺…。
思い出されるのは彼らの中学時代の姿・・・。
彼らは永遠に年を取らない・・・いや、取りたくても取れないのだ。
実はこの次の日から「ヘブンメイカー」を読み始めたんだけど、
主人公の一人、佐伯逸輝の中学時代の初恋が描かれているし、
もう一人の主人公、鐘松孝平は事故で死んでいる。
本作にとって、とても重要な要素だ。
恒川光太郎は、中学時代の思い出や同級生たちのその後などを思いめぐらせながら、
「ヘブンメイカー」を書き進めたのではないか?
本人に確認を取っていないので、勝手な憶測でしかないが・・・。
それにしても積る話は時を経つのを忘れさせる。
アッという間に2時間半が経ち、そろそろお開き。
25年ぶりに会ったということが、信じられないほど会話が弾んだ。
ブランクを感じさせない。
先日、約2年ぶりに高校時代の友人と会い、軽く飲んだ。
居心地が良かった。
2年前、京都で約10年ぶりに、やはり高校時代の友人と会って飲んだ。
心地よい時を過ごした。
(おまけに家に泊めてもらった)
3年前、小中の同級生と思いがけず再会した。
彼とはそんなに仲が良かったわけではないが、普通に話せた。
今年の夏、母校のお祭りで、−恒川光太郎と同様なんだが−
中学校を卒業して以来の同級生と会った。
彼はアメリカ在住で、これまで全く接点がなかった。
それでも短い時間だったが、近況を語り、思い出話で花が咲き、
固い握手を交わして別れた。
同級生…
その多くは学校を卒業した後、双方疎遠になったり、
会っても何年かに1回という間柄。
お互い違う職に就き、新たな友人や人間関係を築き、
守るべき家庭を持ち、今に至っているはず。
それぞれ異なる人生を歩んできた。
共通の趣味や活動で繋がっていたわけでもない。
にも関わらず、20年以上前に教室で机を並べて、
青春時代のわずか数年を共にしただけなのに、
会えば瞬時に“あの時”に戻れる。
同級生というのは面白いものだ。
特に恒川光太郎とは、馬があった。
多分、これからの残りの人生、ずっと付き合っていくだろう。