訳があってUPしなかったり、書かなかった過去の【散策記】がある。
今回はその一つ、2012年1月31日(火)と2月1日(水)に訪れた仙台について、
思い出す限り書いてみようと思う。
まずこの年に仙台へ行こうと思ったのには、いくつか理由があった。
1.5年ぶりに仙台在住の親戚と会いたかった。
2.前年3月11日に起きた東日本大震災の爪痕を見ておきたかった。
3.温泉に浸かりたかった。
主にこの3つだ。
朝8時台の新幹線に乗車し、仙台へと向かう。
朝食は東京駅にある「駅弁屋 祭」で購入した駅弁。
新潟の“まさかいくらなんでも寿司”。
パッケージには、商品名の由来が書かれている。
“ます”
“さけ”
“かに”
“いくら”
包装を取って、蓋を空けてみると、
その名に違わず、鱒、鮭、蟹、イクラをふんだんに使っていた。
休暇の旅行ってことで、朝の8時だけど、
缶ビールをビュッシュと。
平日なので、車内は出張と思しきサリーマンが沢山いた。
多分、「朝からビール飲んでんじゃねぇよ!」って思われているんだろうな。
構わずグビッと飲んで、寿司を喰らう。
贅沢、贅沢。
舌鼓を打ちながら車窓の外を眺めると、富士山が見えた。
富士山は仙台とは真逆の方向。
冬の朝、空気が澄んでいるとはいえ、
これほどくっきりと富士山が見えるとは意外だった。
ちょうどこの頃、富士山噴火説が話題になっていた。
東京駅から1時間半ほどで仙台に到着。
仙台駅で親戚のトモコおばさんとその娘のマキベェと落ち合う。
トモコおばさんは、小生の母方の親戚で、
小さい頃、春休みや冬休みになると、
名取市にある家に度々泊りで遊びに行った。
子供が3人いて、マキベェは末娘。
小生と年が近く、よく遊んだものだ。
マキベェが運転する車に乗り、
東北大学大学院 農業研究科・農学部へ行き、
ここで働いている3人兄弟の長女・クミちゃんと久々に再会。
急な訪問で、思いがけず会うことになったんだけど、
お土産をいろいろと頂いてしまった。
クミちゃんは仕事があるので、ものの数分で別れ、
その後、東日本大震災で甚大な被害を受けた港町・閖上へ。
震災後1年未満にも関わらず、
ここまで余りそれほど震災の影響は見受けられなかったんだけど、
仙台東部道路を越えた辺りから、様相が一変した。
ほとんどの家屋が、とこかしら破壊されており、
道にはひっくり返った車や船がそこかしこに。
高速道路が、図らずも防波堤になったとは聞いていたが、
ほんの数メートルの差で、こうまで違うのか…。
さらに港の方へと行くと、舗装された道はボコボコとなり、
見渡す限り何もない光景が…。
閖上には初めて来たので、震災前の光景を目にしたことはないが、
震災前の写真をネットで見てみると、この辺りには多くの建物があった。
津波の破壊力の凄まじさを思い知らされ、
閖上に着いてから降り出した雪が、切なさに拍車をかける。
実は震災があった日、トモ子おばさんは、閖上の友人の家に行く予定だったが、
急用が出来たためキャンセルしたという。
その友人宅は津波に飲みこまれてしまった。
友人とは暫く連絡が取れなかったが、
幸い避難して難を逃れ、今(当時)は、仮設住宅暮らしをしているという。
あの日、友人宅へ行っていたら・・・。
結果的に行かなくて良かった訳だが、
友人は自宅を失い、多くの人たちが命を落としてしまった。
自分さえ助かったら良いわけがない。
トモコおばさんは、かなり複雑な心境のようだった。
震災の大きな爪痕を残す閖上から、松島へと向かう。
途中の光景。
手前は瓦礫の山で、奥は防風林。
津波によってその多くがなぎ倒されてしまった。
2016年1月現在、少しずつではあるが、閖上地区は復興が進んでいるという。
しかしながら、以前の生活を営める状況ではなく、
まだまだ前途多難のようだ。
あの日からもうすぐ5年。
復興はそう簡単じゃないんだなぁ…。
さて、話を2012年1月末に戻そう。
日本三景・松島。
松島を訪れたのは、約10年ぶり。
回数的には5度目ぐらいかな。
松島へ来たのは、ランチ目的。
トモコおばさんが、
ホテル海風土のレストラン「七海」を予約してくれていた。
なぜか料理の写真が一枚もない。
豪勢な懐石料理を堪能しながら、
トモコおばさんたちとの会話を楽しんだ。
因みにホテル海風土は港沿いだが、
津波の被害がほとんど受けなかったそう。
そんなホテルの駐車場の横にあった山。
これ、すべて牡蠣の殻。
さすが、日本屈指の牡蠣の産地。
これらの牡蠣の殻は、
どうやらこちらのカキ小屋から量産されているようだ。
毎週土日祝のみ営業。
大人3000円、子供1500円で、50分間、焼き牡蠣食べ放題。
カキは大好きだけど、
元が取れるほど食べられるかなぁ…。
この後、酒屋「むとう屋」へ。
松島に来たら必ず立ち寄って地酒を買っている。
震災の時に松島も津波の被害に遭ったと聞き、
港に近い「むとう屋」は大丈夫なのか?と心配になった。
1階は津波にやられたそうだが、
無事営業をしていた。
地酒を数本購入し、松島を後にした。
途中に通った本塩釜駅の近く。
低い塀が損壊しているが、これも津波の痕跡。
塩釜市もかなり津波の被害を受けており、
33名の方が亡くなっているのだが、
閖上みたいに更地にはなっておらず、建物もしっかりと建っていた。
松島も塩釜も入江になっているからかな?
この後、本日の宿泊先のニュー水戸屋がある秋保温泉まで、
雪の降る中、マキベェに送ってもらった。
ニュー水戸屋は、日帰り温泉で何度か利用しているが、泊るのは初。
そこそこ高級ホテルなので、敷居が高いけど、
いつか泊ってみたいと思っていたので、念願達成!
温泉はに入り、美味しいお料理を頂きました。
部屋ではクミちゃんにもらった東北大学で生産しているビールを飲んだ。
東北大学ヴァイツェン。
苦みの少ないさわやかな味わいの南ドイツ風ビール。
フルーツを思わせる独特の香りが特徴とのこと。
なかなかお見かけしない銘柄なんで、
じっくりと味わった後、就寝。
以降、「【掘り起し企画】仙台 2012 PART2」へと続く。