2016年03月16日更新

TOTO 2016年3月7日(月)日本武道館 ライブレポート

約2年ぶりにTOTO来日!


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l to r:デヴィッド・ペイチ、ジョセフ・ウィリアムス、スティーヴ・ルカサー、スティーヴ・ポーカロ


盟友・佐藤アサトと飲みに行く度に、TOTOの話をしていた。


酒が進み酔っ払うと、2人でメロディやキメやボーカルラインを口ずさみ、
「かっこいい〜!」ってな感じで盛り上がる。


TOTOはメタルバンドではないからか、
メタラー仲間でTOTOを聴くのは、小生とアサトのみで、
かつて2人でTOTOのベスト15を選んだりしている。


「番外編 MAメタラー2人によるBEST15 SONGS:TOTO編」


スタジオアルバムは全部持っているぐらい大好きなバンドだし、
TOTO自体、何度も来日公演を行っているのにも関わらず、
一度もライブを見に行ったことがない。


それは佐藤アサトも同様。


そして、今回遂に重たい腰を上げ、2人で参戦することに!


が、しかし、佐藤アサトは開演時間ピッタリの19:00から仕事が入ってしまった。


1人で会場となる日本武道館へ。


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TOTOのライブに来るお客さんは、年齢層が高そうなので、
あまりグッズとかは買わないのか、グッズ売り場はそこまで混雑していなかった。


一応、ネットでグッズをチェックしており、
「Hydra」のジャケットがデザインのTシャツに触手が伸びたが、自制。


チケットは、発売後大分経ってから、
会社近くのぴあ ちけっとぽーとで購入した。


“あのーTOTOなんですが”と女性店員さんに告げた瞬間、
“BIGですか?”とtotoの用紙を出してきた。


“いや、バンドのTOTOです…”
“し、失礼しました!”


というやり取りが繰り広げられた。


マジです。


で、席は2階席。


しかし、ステージ正面。


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ステージには白い幕がかかっている。


年齢層は想像通りかなり高くて、50代以上がほとんど。
40代前半の小生が、平均年齢を下げているぐらいだ。


意外と女性が多い。


HR/HM系のTシャツを着ている人は、皆無に等しく、
ほとんどスーツか、ザッツオッサンな服装の方々が目立つ。


唯一、トイレでオジー・オズボーンのTシャツ姿の男性を見かけた。


場内はカーペンターズとかかかっていて、
これからロックバンドのライブを見るという雰囲気があまりない。


場内が8割がた埋まった19時10分、客電が落ちた。


ファニーな「トワイライトゾーン」のテーマ、
メタリカのThe Frayed Ends Of Sanityのイントロと同じ、
“オーリーオ、ウォーオ”という男性の歌声(有名なフレーズなの?)、
鐘の音と時計の秒針の音がメインとなるSEが流れた後、
ドラムのフィルインきっかけで、
最新アルバム「TOTO XIV」の1曲目Running Out of Timeのイントロリフが奏でられた。


その瞬間、ステージを覆っていた幕が落ち、セットの全貌が明らかに。


バックスクリーンやモニター類はなく、至ってシンプル。


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今回のツアーメンバーは、以下の通り。


スティーヴ・ルカサー(G、Vo)
デヴィッド・ペイチ(Key、Vo)
スティーヴ・ポーカロ(Key、Vo)
ジョセフ・ウィリアムス(Vo)
リーランド・スカラー(B)
レニー・カストロ(Per)
ジェニー・ダグラス(Cho)
マーブット・カーペンター(Cho)
シャノン・フォレスト(Dr)


前回の2014年のツアーメンバーだったネイザン・イースト(b)と、
キース・カーロック(dr)がいない。


ステージの立ち位置は、下手からペイチ、ルカサー、ジョセフ、スティーヴ、
後方下手から、カストロ、シャノン、ジェニー&マーブット・カーペンター。


まず驚いたのが音の良さ。


武道館=音が悪いというイメージは、
ここ最近のPA技術の向上でかなり払拭されてきたが、
どのパートの音も均等に2階席まで届いてくる。


音が回ってしまうことも全くない。


次いで驚いたのが、ジョセフ・ウィリアムスの声。
メチャメチャ出ている。


ジョセフの中音域から高音域への張り上げる歌い方が好きなんだけど、
とんでもなく綺麗に出ていた。


イアン・ギラン、ヴィンス・ニール、(若干)ジョー・エリオットなど、
若い頃の声が出なくなってしまったベテランヴォーカリストは数多いるが、
55歳のジョセフは、さにあらず。


2年ぐらい前、ルカサーがインタビューで、
ジョセフは、89年にTOTOを脱退して以降、
声を酷使するような音楽生活を送っていなかったため、
喉を潰すことなく、当時のままだと語っていた。


とはいえ、ここまで声に張りがあるのは凄いことだ。


体型は大分変ってしまったがけどね…。


ルックスは、親友の映画監督・光武蔵人だった。


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で、オープニングナンバーRunning Out of Timeですが、
ナイト・レンジャーのThe Secret of My Successに展開が、
少し似ていると思うのは我だけか?





2曲目は間髪入れず、1st「TOTO」からI'll Supply the Love


スタジオ盤に比べてかなりテンポを落としている。


この曲でもジョセフのハイトーンボーカルが、気持ち良く冴え渡る。
マジで良い声だなぁ〜。


2015年の「TOTO XIV」から1978年の1st「TOTO」へ。


最新アルバムの曲と37年前の曲をつなげても全く違和感を感じさせない。
でも、きちんと過去に連れて行ってくれる。


同じ列の少し離れた席に座っていたロックが好きそうな細身の50年代ぐらいの女性が、
ノリノリになっていた。


一気に青春時代へと引き戻されたのでしょう。


因みに2階席のほとんどの観客は座って見ていました。


同調して小生も座っていたんだけど、
ロックのライブで座ってみるのは、しんどいなぁ〜。


ブレイクの後、アウトロでテンポを上げ、
ルカサーとリーランド・スカラーが、ステージ中央で寄り添いながらユニゾンをキメまくり。


ライブでこのパートを聴くのが楽しみだったんだが、
ちょっとモコモコして細かい音まで聴き取れなかった。


それにしても、「TOTO XIV」に数曲で参加したオリジナルメンバーのデヴィッド・ハンゲイトが、
高齢を理由にツアーに同行しなかったのは残念だが、
仙人のような伝説的ベーシストのリーランド・スカラーを拝めたのは良かった。
(次回の来日は、タル・ウィルケンフェルドを望む。もちろんノーブラTシャツね)





アッパーな2曲に続いて、「TOTO XIV」からBurn


「TOTO XIV」の2曲目にも関わらず、あまり印象に残らない曲だった。


ライブで何を演奏するのか楽しみにしたいタイプなので、
いつもだったら事前にセットリストをチェックすることはない。


しかし、TOTOの場合、ドラムのジェフ・ポーカロが世を去り、
ルカサーが主導権を握った90年代以降の「Kingdom Of Desire」、
「Tambu」、「Mindfields」、「Fallling In Between」は、
持ってはいるが、聴き込んだかといえば否だ。


重くて長尺で疲れるんだよね。


もう一度聴き込むのも面倒なので、割り切って調べて、
最近のセットリスト順のプレイリストを作成して聴いていた。


当初はBurnがライブの3曲目に相応しいか疑問を抱いていたが、
聴いているうちにスローだけど、メリハリのある曲だと認識。


さらにライブを見て、サビの分厚いコーラス、
ブリッジのジョセフのボーカルメロディは、いかにもTOTOらしいと感じた。


勢いだけで押し通せない、この手の曲をライブで映えさせるのは難しいが、
キチンとまとめる技量は流石。


そして、再認識という点では、次の曲が著しかった。


80年代TOTO作品の中で駄作といえばの「Isolation」収録、Stranger in Town



PVは脱走兵を喚起するストーリー仕立てでなかなか面白い。


実は、佐藤アサトと飲みながらTOTOの話になった時に、
最も話題になるのがこの曲。


アサトは肯定派。
小生は否定派。


ウォーオォーオーオーオォーオ、カッ!
ダサッ!ってね。


サウンドも、これぞエイティーズなポップな音作りで、
ダサッ!ってね。


ところが、2016年のサウンドプロダクションで蘇ったStranger in Townは、
一味違った。


ペイチの憂いのあるボーカルとお茶目なパフォーマンスも相乗効果があり、
ハイパーユニークなロックソングとなった。


ライブが終わった後、最も口ずさんでいたのは、このStranger in Townでした。


ウォーオォーオーオーオォーオ、カッ!


仕事で遅れる佐藤アサトは、まだ来ていない。
ライブでこの曲を聴いて欲しかった。


4曲を消化し、ルカサーが初めてMC。


武道館に戻ってきたこと、
初来日が36年前であること、
思い出がいっぱいあることなんかを語った後、
パーカッションのレニー・カストロ、
ドラマーのシャノン・フォレスト、
ベースのリーランド・スカラーを紹介。


レニー・カストロは、古くからTOTOのアルバム、ツアーに参加している他、
U2、スティーヴィー・ワンダー、エリック・クラプトンなど、
超一流アーティストとの仕事で、世界的にも有名なパーカッショニスト。





シャノン・フォレストは、元TOTOメンバーであるディヴィッド・ハンゲイト、
ファーギー・フレデリクセンが名を連ねるメッカというバンドに在籍していた方。


さっき少し紹介したリーランド・スカラーは、
ジェイムズ・テーラー、ビリー・ジョエルといった海外アーティストだけでなく、
松任谷由美、中島みゆきといった日本人のアルバムでも仕事をしている。


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シャノン・フォレストのFBより拝借。


最強メンバーを紹介した後、
この日初めてルカサーが、メインボーカルを務めるI Won't Hold You Back


ジョセフ、ペイチと比べると、ルカサーのボーカルは、やや心許ない。


声を潰した人の歌い方だった。


特にサビ前のハイトーンが必要なBメロは厳しい。


にもかかわらずルカサーは、「一緒に歌え」と煽っていたが、
無理なお話でしょう。


2回し目のBメロなんて、
ルカサーは歌うことを放棄して、ステージの先端まで来て、
「歌えよ!テメーラ!」とさらに煽る。


日本人は歌えない、歌わない。
ましてやこんな高音域を。


ルカサーのボーカルはボチボチだったけど、ギターソロは絶品でした。


続いて、ルカサーがコーラスのジェニー・ダグラスを紹介。


この黒人女性は、ライブ盤「Absolutery Live」('92)に参加後、
「Tambu」のBaby He's Your Manなどでリードボーカルをとっているほか、
ほとんどの曲でコーラスを担当。


特に「Absolutery Live」での“Hold The Line”での歌声が印象的だった。



歌声だけでなく、スタイルも最高!


そして、ペイチがピアノでスタッカートのメロディを奏でる。
その“Hold The Line”だ!


TOTOのライブでは終盤に演奏されることが多く、早いお出まし。


それゆえか、場内はどよめきが起きた。


ピアノ、ドラムからのギターとベースのリフ。
ジョゼフの伸びやかなボーカル。


た、たまらん。


2回し目でジェニー・ダグラスが歌う。
メチャ上手い。


ルカサーのギターソロも凄まじい。


最後はシャノン・フォレストがガッツリ叩いて終了。


2階席の観客はみんな静かに見ていたが、
アリーナは大いに盛り上がっておりました。


ルカサーが、ジェニー・ダグラスに続いて、
もう一人のコーラス、マーブット・カーペンターをコールし、
ステージ中央に呼び寄せる。


今年の2月3日に亡くなった
アース・ウィンド・アンド・ファイアーのモーリス・ホワイトに捧げると語り、
Can't Hide LoveのイントロからGeorgy Porgyという粋な流れ。





メインボーカルは、マーブット・カーペンターだが、
正直、あんまり響かなかった。


上手いんだろうけど、ジョセフ、ジェニーのインパクトが強過ぎて、
ちょっと物足りない。


そんなGeorgy Porgy、若い頃は良さが全く理解できなかったなぁ。


今では大好きだけどね。


ガキの頃は、苦手だったのに、今じゃ大好きな食べ物みたい。
個人的には、酒粕で焼いた魚みたいな感じ。
(10代の頃は酒粕が苦手だった)


Georgy Porgyは、TOTOの音楽の幅の広さを知らしめる名曲だ。


エンディングもCan't Hide Loveのフレーズで〆。
唸る。


アダルトな雰囲気から一転、Afraid of Love


数多あるTOTOの楽曲の中のでも、際立って明るいポップロックだ。


80年代の楽曲を5曲続けたところで、「TOTO XIV」へ。


Bend


日本盤のボーナストラックであり、
スタジオ盤を聴く限り、全くライブ映えしない曲なんだが、
スティーヴ・ポーカロのボーカルが聴けたんで、よしとしよう。


そのスティーヴのMCがお茶目だった。


「私にとって武道館は、特別の場所。
 初めての時はかなり若かった。大分、髪型が変わってしまったよ」


場内大爆笑の中、少しお休みしていたジョセフが登場。


「一緒に歌ってくれ!」というお願いから、Pamela





小生のTOTOファーストコンタクトは、この曲です。


思い入れは半端ないっす。


TOTOのキャリアは長い。


場内の年齢層をみるに、デビュー当時を知る世代がたくさんいたことでしょう。


グラミー賞を受賞した「TOTO IV」が、オンタイムの人もいるでしょう。


小生は「The Seventh One」。


このアルバムと出会わなかったら、ここにいない。


アルバム通りにジョセフが歌い上げてくれる。
バックも演奏してくれる。


終盤は、ペイチのピアノの独壇場だった。



マツダのカペラのCM


一旦切った後、再びペイチのピアノソロ。


終わったらキャップとハットのどっちが似合う?
というコントを展開。


風貌含め、ペンチはほとんどコメディアンだ。


ハットを選んだペイチが次に演奏する曲について語る。


子供達の未来について歌った曲Great Expectations


今回のライブで演奏される新譜のからの曲で、
最も楽しみにしていた曲。


ペイチのしっとりとした歌の後、
スタジオ盤では、アコースティックギターによるカッティングが入る。


このカッティングが凄まじく、ルカサーの生演奏を楽しみにしていた。


がっ!


そのパートは同期音源だった…。


そこはガッカリだったんだけど、Great Expectationsは名曲です。


起伏に富んだ展開と美しいメロディライン。


ペイチの後を継いだジョセフのボーカルパートとか、鳥肌です。


一旦テンションを落とした後の、盛り上げ方も毛穴がざわめく。


TOTOのプログレが堪能できる。


お次は「Fahrenheit」から、ルカサーのボーカルによるWithout Your Love



80年代テイストバリバリのPV


ジョセフ初参加のアルバム「Fahrenheit」収録曲なのに、
ジョセフを差し置いてルカサーが歌う曲をやらんでも良いんでねぇ?


ただでさえ「Fahrenheit」は地味なんだから、
だったらI'll Be Over Youの方がいい。



このPV、結構好き


Without Your Loveの途中から、ギターソロへ突入。


ギターソロのベースになっている曲は、
ピンク・フロイドのWhat Do You Want From Meだとばかり思っていたら、
ブルースロック・ギタリストのロビン・トロワーのBridge of Sighsだった。





ルカサーのソロは、ブルージーで、時折バイオリン奏法、アーミングを織り交ぜつつ、
リーランド・スカラーとユニゾン的な演奏もあり(即興?)、聴きどころ満載。


なんだけど、ちょっと長いかな…。


ギターを弾かない人には、退屈だったかも。


ルカサー・オン・ステージの後は、ジョセフが登場し、
「TOTO XIV」からHoly War


イントロのエッジの効いたギタ―リフ
Aメロの落としたボーカル、キャッチーなサビ、
ちょいちょい入るキメなど、
「The Seventh One」収録の名曲Only The Childrenを彷彿させる。


ジョセフがメインボーカルだからかもしれないが、
「TOTO XIV」は、全体的に「The Seventh One」に曲調、雰囲気が似ている。


二回し目が終わった後のブリッジでのキメ、ギターソロ、
アカペラ、サビへの流れは秀逸。


新譜からの曲だったが、場内はかなりの盛り上がりだった。


ここいら辺でようやく佐藤アサトがやって来た。


聞くにPamelaのちょっと前から会場入りして、
別のところから見ていたとのこと。


佐藤アサトも「The Seventh One」からTOTOを聴き始めたので、
Pamelaが見られて、良かった良かった。


ルカサーが、アコースティックギターに持ち替えながら、次の曲を説明。


これまで長い旅だった。
高校時代から40年、スティーブ・ポーカロと両親、
兄弟と長い年月を一緒に過ごしてきた。
良い思い出だ。
ペイチ、ジェフ・ポーカロと一緒にバンドを始めた。


ここら辺までは、つたない英語力でも理解できたが、
後は早口でわからんかった。


とにもかくにも、古い友達、新しい友達、
そして全国の日本の友達、会場にいる君たちに捧げるということらしい。


で、奏でられたのは、「Tambu」からThe Road Goes On


ルカサーにとってはかなり思い入れのある曲なのかもしれないけど、
あまりファンには馴染みのない曲では?


だって「Tambu」収録曲だもん。


事実、“一緒に歌ってくれ!”と煽られたが、
観客はあまり歌っていなかった。


しかし、今回のライブで改めて聴いてみて、
「Kingdom Of Desire」以降のルカサーぽいミドルテンポな展開で、
とても良い曲だと思った。


いつの間にやらエレキに代えていたルカサーのギターソロは、
メロディアスで短いながらもとても印象的。


間髪入れずして演奏されたのが、Orphan


先に言ってしまうと、本編ラスト前の曲だ。


TOTOは、2008年に一度解散している。


2010年、ベースのマイク・ポーカロ(2015年3月15日没)の病気の救済目的で、
再結成をしツアーを行っている。


「TOTO XIV」は、解散前の2006年「FALLING IN BETWEEN」以来9年ぶりのスタジオアルバムだ。


TOTOのキャリアを考えるとまだ演奏していない、
ファンに馴染み深い曲があるにも関わらず、
新譜「TOTO XIV」からの曲をココに持ってくる。


ラス前にこの曲=バンドの意志を感じずにはいられなかった。


それだけの重責を担ったOrphanは、ライブ映えのする曲だった。


Holy Warと同じく、「The Seventh One」ぽい。


ジョセフのボーカル全開。
好きなボーカリストはたくさんいるけど、
ジョセフは、ベスト10に入るな。


本当に素晴らしい歌声だ。


奇しくもこの日、今更ながら『スター・ウォーズ/フォースの覚醒』を見た。


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ド頭、あのテーマ曲がかかった瞬間、
やはりこみ上げてくるものがあった。


このスコアを書いたのが、映画音楽の巨匠ジョン・ウィリアムズ。


その息子が、ジョセフだ。


音楽の才能に秀でた親子に、
音楽がもたらす威力を痛感させられた1日だった。


因みにスティーヴ・ルカサーの愛称は、“ルーク”です。





ジョセフの歌だけでなく、
Orphanのバンドの演奏がタイトで素晴らしいんだが、
後半、サビを観客に歌わせようとするのは、ここ日本では無理があるかな。


それはともかく、アウトロ前のルカサーのソロも泣きのメロディでグッド。


さて、いよいよ本編ラスト。


シャッフルビートのドラムフィルインから歓声が溢れるRosanna


Aメロの導入を歌ったルカサーと比較しちゃ悪いが、
それを引き継いだジョセフのボーカルが、沁みる。


そしてBメロ。


ここで手拍子。
会場の一体感は半端なかった。


サビ前にこれだけ盛り上げてくれる曲は、なかなかない。


サビはもちろん大合唱…と言いたいところですが、
2階席は誰も歌っておらず、アリーナ席のみが大騒ぎ。


この曲のモデルになったのは、発表当時の1982年、
スティーブ・ポーカロと交際していた女優のロザンナ・アークエットだと言われている。



ヴァン・ダム『ボディ・ターゲット』 なんでこんな映画に出たんだろう



普通だったらこっちか


作曲者のペイチは、それを否定しているそうだが、
ロザンナ・アークエットがモデルであって欲しいなぁ。


なぜならその方がロマンがあるから。


リリースから34年。
東の島国で自分の名前の付いた曲が演奏され、
観客に感動を与えるなんて、
ロザンナ・アークエットは思いもしなかったでしょう。


Rosannaでのスティーヴによるスペーシーなキーボードソロ、
ルカサーのギターソロは、“完コピ”。


耳慣れたフレーズを壊さず、スタジオ盤通りに弾いてくれたのが嬉しい。


サビの後、ペイチのホンキートンクなピアノソロ。


元々ハネのリズムというのもあるが、ノリノリだ。


ペイチのソロを受けて、ライブならではのジャムセッションへ。


ルカサーのファンキーなギターソロ。


そして、キメにキメて終わりと思わせて、ペイチがピアノを奏でた後、
シャノン・フォレストのドラムソロを経て終了!


メチャメチャ×3、かっこいい!!!!!


匠による巧みな演奏。


達人たちが、アンコールで再登場。


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<br>
ドラムのタム回しから、ルカサーがOn the Runのリフを弾く。


もう我慢できなくて立った。


ってか、スタンディングオベーションだよ。


立つことに関してとやかく言う人もいるみたいだけど、
最後ぐらい立ってもいいんじゃねぇ?


イントロの途中で、Child's Anthemの、
“ジャカジャカジャカ、ジャージャン”を入れてきた。


マジかっ!!!!


と、歓喜したのも束の間、On the Runへすぐに戻ってしまった。


Child's Anthemやって欲しかった…。


気を取り直して、On the Run


「TOTO XX」収録曲。


スタジオバージョンがないのにも関わらず、何故かライブで重視されている。
(「TOTO XX」は、1991年のモントルー・ジャズ・フェスティバルの演奏)



<br>
1991年版はルカサーがボーカルだったが、この日はジョセフ。


バンドの素晴らし演奏に酔いしれていると、
いきなりGoodbye Elenoreに突入。


いつ切り替わったのかもよくわからなかった。


やや強引なメドレーだが、前回のツアーではこの構成で演奏されていたようだ。
<br>
そして、アンコールラストへ。
<br>
勿論、Africa


パーカッションが鳴り響いた瞬間、場内は興奮の坩堝。


キーボードのあのフレーズ、
ペイチの優しいボーカル、
もうこの時点でやられた。


サビのコーラス部分。
照明が客席を照らした。


みんな歌っていた。
みんな酔いしれていた。


ライブで上から見ていて、
こんな感動的な光景を見たことはあまりない。


今までライブで涙を流したことは、何度もあったが、
かつてないほどの涙が押し寄せてきた。


TOTO初遭遇は「The Seventh One」だったので、
Africaは後追いだ。


にも関わらず、これだけ感情に訴えってくる。


リアルタイムでこの曲に接してきた観客は、
より一層の感動が押し寄せているに違いない。


世代を越えて愛される。
これこそ名曲の証。


ほぼアルバム通りに演奏した後、
レニー・カストロのパーカッションソロ。


この曲に限らず、レニー・カストロのパーカッションは、
かなり効果的でいいアクセントになり、また音に厚みを与えていた。


躍動感があって、自然に身体が動いてしまう。


シャノン・フォレストも負けずと力強いドラミングで応酬。


続いて、ルカサーの短いパッセージの後、
ジョセフが、フレディ・マーキュリーのように、
様々なバリエーションで、観客とボーカルの掛け合いをし始めた。





結構、難しいのもあって、“歌えねぇーよ!”的な笑いも。


そして、最後はAfricaのイントロフレーズ、
“パーッパーッパ、ラッパーパー”を要求。


まさかの掛け合いだったけど、大いに楽しんだ。


その後、ジョセフのアドリブ・ボーカル、
リズム隊、ルカサーのギターが絡み合い、散々盛り上げて終了。


もうここまでやってくれたら、文句なし。


佐藤アサトは、AfricaだけがTOTOじゃないというポリシーから、
あまりAfricaに思い入れがない。


しかし、終演後開口一番、“Africaって良い曲だ”と言ったので、
“でしょ?”と返したらば、
I'll Supply the Loveの時にノリノリだった50代の女性が、
会話を聞いていたようで、ウンウンと無言で頷いていた。


途中からではあったが、長年TOTO論を交わしてきた佐藤アサトと一緒に、
TOTOのライブを見ることが出来て本当に良かった。


何気に2人でライブを見たのは、今回が初めてだった。


大好きなChild's AnthemOnly The Children
Stop Loving Youはやらなかったし、
名盤の2nd「Hydra」からは、一曲も演奏されなかった。


セットリストは最高とは言えない。


でも、プロフェッショナル集団による完璧な演奏と、
卓越したアレンジ力で、濃密な2時間を体験。


超お腹一杯。
大満足。


ますますTOTOが好きになった。


1st「TOTO」から3曲。
一番売れた4th「TOTO IV」から4曲。
「TOTO XIV」から6曲。


最新アルバムのツアーとはいえ、
「TOTO XIV」収録曲が最も多く演奏されている。


デビュー37年の大ベテランだったら、
昔の曲を多目にして、新譜からは1〜2曲というのが妥当なラインでしょう。


しかし、TOTOは新作で勝負した。


一度解散したTOTOが、9年ぶりにリリースした「TOTO XIV」は、
実はレコード会社(SONY)との契約・権利訴訟上、
作らないといけないアルバムだった。


作りたくて作ったわけではない。


普通のバンドだったら、適当に作って契約を履行すればよいのだが、
ルカサーは、だったら最高のもの作ってやろうとスタジオに入った。


結果、世に出た「TOTO XIV」は、素晴らしいアルバムだった。


今回のツアーは、その満足感と自信の表れなのでしょう。


現役続行の意思を感じ取った。


また来日したら、絶対に見に行く!


終演後、誘惑に負けてTシャツを購入。


ツアーTシャツじゃなくて、「Hydra」のジャケT。


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「Hydra」から一曲も演奏してないんだけど、
一番カッコイイTシャツは、コレだった。


市ヶ谷駅に向かう途中にあった居酒屋へ入店し、
佐藤アサトと杯を交わしながら、TOTOについて語らいました。


【2016年メンバー】
スティーヴ・ルカサー(G、Vo)
デヴィッド・ペイチ(Key、Vo)
スティーヴ・ポーカロ(Key、Vo)
ジョセフ・ウィリアムス(Vo)
リーランド・スカラー(B)
レニー・カストロ(Per)
ジェニー・ダグラス(Cho)
マーブット・カーペンター(Cho)
シャノン・フォレスト(Dr)


【2016年3月7日(月)@日本武道館 セットリスト】
01.Running Out of Time / TOTO XIV
02.I'll Supply the Love / TOTO
03.Burn / TOTO XIV
04.Stranger in Town / Isolation
05.I Won't Hold You Back / TOTO IV
06.Hold the Line / TOTO
07.Georgy Porgy / TOTO
08.Afraid of Love / TOTO IV
09.Bend / TOTO XIV
10.Pamela / The Seventh One
11.David Paich Piano Solo
12.Great Expectations / TOTO XIV
13.Without Your Love / Fahrenheit
14.Bridge of Sighs / Robin Trowerのカバー
15.Lukather Solo
16.Holy War / TOTO XIV
17.The Road Goes On / Tambu
18.Orphan / TOTO XIV
19.Rosanna / TOTO IV



20.On the Run〜Goodbye Elenore / TOTO XX〜Turn Back
21.Africa / TOTO IV

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プロフィール

1974年、東京都生まれ。少年時代、ジャッキー・チェンの映画に魅了され、映画小僧の道を突き進む。大学卒業後、映画宣伝代理店に入社。『リーサル・ウェポン4』、『アイズ ワイド シャット』、『マトリックス』などを担当。

2000年、スカパー!の映画情報専門チャンネル「カミングスーンTV」転職し、映画情報番組の制作を手掛けたのち、2006年、映画情報サイトの運用に従事。その後、いろいろあって、2013年7月よりCS放送「エンタメ〜テレHD」の編成に携わっている。

本ブログは、多ジャンルの情報提供を志すT-SHIRT-YA.COMのオファーを受けて、2003年4月にスタート。2007年12月にブログ化。
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