2016年12月某日、所用があり長野県上田市へ行くことに。
長野県に行くのは、かれこれ10年ぶり。
軽井沢にある親戚の別荘へ遊びに行った以来。
上田市に至っては、初訪問。
これまた初となる北陸新幹線に乗って、上田市へと向かう。
時刻は朝の6時50分。
朝食は、駅弁の鳥めし。
いつもは地方ならではの特産物を取り入れた駅弁を選ぶんだけど、
ややマンネリ化してきたので、
少し趣向を変えて、ごく普通の弁当をチョイス。
鶏そぼろ、鶏照焼、蓮根入りの鶏つくねを盛り込んだ鶏づくし弁当。
朝からヘヴィな感じですが、
意外とあっさりとしておりました。
駅弁で腹を満たした後は、上田駅までひたすら音楽鑑賞。
この日の旅のお供はマノウォー。
「The Triumph of Steel」は前から持っていたが、
それ以外のアルバムは、DISC UNIONでアホみたいに安く売っていたので、
まとめて大量購入した。
途中、車窓からは、霊峰・富士山がくっきりと見えた。
富士山を見ながら聴くマノウォーは、最高です。
特に「Sign of The Hammer」収録の“Mountains”はマッチする。
約40分後、高崎駅に停車。
少し遠くに高崎白衣大観音が見えた。
高崎観音は、その存在こそ知ってはいたが、
きちんとした知識は持っていなかった。
調べたら高野山真言宗の慈眼院の境内にある観音様。
やっぱりデカイ仏像=真言宗。
8時半、上田駅に到着。
所用まで少し時間がある。
折角なんで、大河ドラマ「真田丸」で話題の上田城跡公園へ行ってみることに。
駅から歩くこと10分足らずで到着。
二の丸橋からの一枚。
「真田丸」の影響で連日大混雑と聞いていたが、
朝早目だからか、あまり観光客はいなかった。
二の丸東虎口から入って、
すぐ左手に信州上田「真田丸」大河ドラマ館があったが、
時間はないし、実は「真田丸」見てないしでスルー。
大河ドラマは、これまで1つも見たことがないのであります。
開店準備中の屋台から漂う
ご当地グルメの美味そうな香りを嗅ぎながら直進すると、
上田城の象徴ともいえる本丸南櫓(左)、東虎口櫓門(中央)、北櫓(右)。
上田城は、安土桃山時代の天正11年(1583年)に、
「真田丸」の主人公・真田幸村の父である真田昌幸が築城。
真田軍と徳川軍による2度の合戦の舞台となっている。
2回とも巧みな戦術により真田軍が勝利を収めているが、
関ヶ原の戦いで、真田昌幸がついた西軍破れたため、徳川軍によって破却。
後に領主となった仙石忠政によって一部再建されるも、
次の松平氏の代で幕末を迎える。
明治8年、民間に払い下げられて廃城。
櫓の一部は別の場所へ移築され、女郎屋として使われた。
明治12年、商人・丸山平八郎がこの付近の土地を購入。
現在の上田城跡公園への礎となった。
遊郭となった南北櫓は、昭和24年(1949年)に、
東虎口櫓門は、平成4年(1992年)に再建された。
かなり端折りましたが、上田城の歴史は以下のサイトに詳しいので、
ご興味がある方は、閲覧してみてください。
「上田城 城下町絵図アーカイブ」
本丸南櫓の屋根には、
真田家の家紋“六文銭(ろくもんせん)”幟がはためく。
六文とは三途の川の渡り賃。
幟に六文銭が描かれているのは、
武士としていつ死んでも、六文を持っているから、
無事に三途の川を渡れるよという意味らしい。
東虎口櫓門の右手には、真田石。
城主は城の正門の石垣に巨石を用い、
その大きさで権威を示したという。
現在の真田石は、仙石忠政時代のもの。
東虎口櫓門をくぐるといきなり鳥居。
これまであまり城を訪れたことがなく、
城内に神社があるのかと少し驚いた。
鳥居の右側に「ポケモントレーナーの皆さんへ」という、
マナー啓発の注意書きが置かれていた。
“安全面には十分注意いただき、
立ち入り禁止区域には入らないでください。”
この頃、既に「ポケモンGO」は廃れていたので、
プレイしている人はいなかったけど、
ピーク時はマナー違反者が横行していたのでしょう。
さて、この神社は眞田神社という。
主神は、真田昌幸と幸村。
祭神は、仙石・松平の歴代藩主。
神社は複数の神を祀っていることが多く、
祀られている神を祭神、
祭神の中でも中心的な神が主神となる。
ふと、武蔵野八幡宮の主神と祭神が何であるかが気になった。
地元なのに知らない。
調べた。
誉田別尊
比賣大神
大帯比賣命
うーん、少し勉強が必要そうだ。
話を上田城へ戻そう。
眞田神社の境内に置かれていた兜のオブジェ。
角は鹿でしょうか?
お神輿なのかも。
同じく境内にあった御神木眞田杉。
樹齢450年。
築城当時の杉。
老木のため、台風などで倒れる恐れがあり伐採された。
上田城跡公園の全体を把握したく、
眞田神社の境内を出て、公園の奥の方へ行ってみることにしたんだが、
公園のパンフレットを持っておらず、当てずっぽうで行動したため、
時間が無いのに、相当要領の悪い散策になってしまった…。
まず一旦、鳥居まで戻ると、
係の人が、南北櫓の内部を見学することが可能であることを教えてくれた。
但し、有料。
無料である公園内の散策を優先したく、とりあえず後回しにして、
眞田神社を左手に見ながら進み、西櫓を見上げる。
西櫓も見学可能なようなので、
時間に余裕があったら見てみよう。
そのまま公園の奥へと歩を進めると花木園があり、
一角に石碑が立っていた。
成田喜太郎先生彰徳碑。
少し通路から離れた丘の中腹にあり、
やや近寄りがたい。
誰だかわからないけど、
後でネットで調べればいいやって、
写真だけ撮影。
しかし、ネットで検索しても、
成田喜太郎が何者であるかを説明するサイトはなかった。
成田喜太郎の碑の近く、小泉橋からは二の丸堀跡が見える。
本丸の周りにも堀があるので、
上田城は二重の堀に守られていたってことか。
道なりに進むと、胸像登場。
羽田武嗣郎(はたぶしろう)先生之像。
成田喜太郎とは異なり、こちらはヒット。
長野県出身の政治家でした。
羽田氏の像の右奥には、上田招魂社。
戊辰戦争から日清・日露、
大東亜戦争(あえてこう書く)の戦没者の英霊を祀っている。
拝殿の手前には、
「凍傷者 カァヤン・カァヤンと 呼びて逝く」
という俳句が刻まれた石碑が。
俳句なのか?季語は凍傷者?
上田市出身の俳人で、シベリア拘留体験者の板垣峰水による一句。
なんと板垣峰水さんはまだご健在で、
新聞の折込情報誌「週刊長野」のWeb版に、
板垣峰水さんへ取材した記事がアップされていた。
境内でもうひとつ気になるものが。
傾いた献燈。
「上小傷痍軍人團」という文字が読める。
傷痍軍人が奉納したのだろうか?
何故、傾いているのか…。
本丸の堀に沿って進むと、何やら案内板が。
本丸土塁の隅欠(すみおとし)。
隅欠ってなんだ?
土塁の北東(丑と寅)の隅を切り込み、
「鬼門よけ」としたもので、
上田城の大きな特徴の一つだという。
堀沿いに歩くと、東虎口櫓門と南北櫓が見えてくる。
これで一周。
時計を確認するとまだ所用まで時間があるので、
再び東虎口櫓門を抜けて、城内へ。
眞田神社の拝殿の左奥へ突き進むと、真田井戸。
抜け穴的な役割を果たしたと言われている。
解説板によると、敵に包囲されてもこの抜け穴を利用して、
兵糧を運び込んだり、城兵が出入りしたようだが、
一歩間違えれば敵の侵入経路にも成り得る。
諸刃だなと思ったが、狭い通路を敵の大群は通れないか…。
井戸の中を覗くと、雑草に覆われておりました。
井戸のすぐ傍にある西櫓が見学可能だったが、
南北西櫓の内部の入場券を買っていなかったので後回し。
一旦、来た道を戻り、上田城跡公園の中心である本丸跡へ。
何もない広場。
上田城は天守閣があったのかどうかも不明。
それもまた歴史ロマン。
本丸跡から西櫓の脇にある急階段。
この階段の先は駐車場。
今回の上田行が決まった際に、
本屋で「ブラタモリ2 東京駅 富士山 真田丸スペシャル」を手に取った。
購入するか散々迷ったんだが、
東京駅はともかく、富士山なんて行かないし、
価格が1,512円(税込)と高額だしで、結局買わず立ち読み。
この本によると上田城跡公園内に鉄道遺産があり、
駐車場の方面だと書いてあった。
鉄道遺産好きとしては、見ておきたいので、
階段を下りたんだが、まぁ、急でした。
駐車場一帯は、かつては尼ヶ淵というお堀だった。
最近、毎朝出勤時に皇居を歩いている。
お堀は最高の防衛施設だなって思う。
上田城も然り。
この高低差。
しかも水が張られていて、上には櫓。
お堀を泳いで渡っても、櫓から攻撃されるし、
渡ったところで、崖を登らなくてはならない。
そもそも鎧を身に纏って、お堀を泳ぐことなんて出来ない。
しかもこの尼ヶ淵は、江戸時代、千曲川の分流、
つまり天然の川だったという。
ってことは、“流れ”があったってことだ。
堅守な城であったことが伺われるが、
一方で川を利用した堀だった故の悩みもあったようだ。
千曲川が増水した際に、
川の水が崖を削ってしまうため、
歴代城主はその対応に追われたという。
水害は江戸時代に限らず、平成の時代でも上田城を襲う。
南櫓下の中段石垣は、近年、長雨により一部ば崩落したため、
修復工事が施されている。
石垣沿いに歩き続けると、お目当ての鉄道遺構、
昭和3年(1928年)開通、昭和47年(1972年)廃線となった
真田傍陽線(さなだそえひせん)の公園前駅のプラットホーム。
よく見ると二の丸橋のアーチの側面に、
電線を通すための器具“がいし”が確認できる。
上田城跡公園以外にも、真田傍陽線の遺構は結構残っており、
コチラのサイトでは、路線跡を丹念に追っている。
このサイトの管理人さんもそうなんだろうけど、
なんで“廃線”に惹かれるのかなぁ。
まだ少し時間があったので、
公園駅プラットホーム後の傍の階段を上り、三度、南北櫓へ。
チケットを購入し、南櫓の内部を見学。
まずは真田幸村の鎧兜(鉄二枚胴具足)がお出迎え。
真田幸村といえば、赤い甲冑だが、
テレビ朝日の「お坊さんバラエティ ぶっちゃけ寺」によると元々は黒。
(この番組の復活を熱望)
赤になったのは大阪冬の陣。
目立つ赤にしたのは、玉砕覚悟の決意だったという。
櫓なので、矢を射るための穴、矢狭間(やざま)がある。
弓矢だけでなく、鉄砲の狭間も。
狭間の上には、監視のための窓、武者窓。
ここから真田軍の兵士が徳川軍を監視し、
矢を射り、銃弾を放った。
南櫓だけでなく、北櫓も見学でき、
これ以外にも展示物はあったんだけど、
一番興味をそそられたのが、昔の上田城の写真。
昭和初期。
唯一ある櫓は西櫓?
昭和19年の写真。
昭和24年(1949年)に南北櫓が復元されているので、
建築期間は5年以上ってことか。
昭和39年(1964年)。
まだ、南櫓と北櫓の間を結ぶ東虎口櫓門はない。
サクっと南北櫓を切り上げて、西櫓へ。
寛永3年(1626年)に建てられ、当時の部材が使用され、
外観もほぼそのままの姿とのこと。
武者窓からの光景。
南北櫓に展示されていた写真を見るに、
駐車場一帯は田んぼだった。
街の発展を感じます。
南北櫓同様に、武者窓の下には矢狭間と鉄砲狭間。
南北櫓の時も気になったんだけど、
鉄砲はともかく、こんなに低い位置で弓を弾けるのかな?
入口にいた係のおじさんに、
床の高さは当時のままなのか質問してみたけど、
わからないとの返答だった。
解説板には、下方の敵を狙いやすいように、
低い位置になっているとあった。
上から斜めに下に向かった射る感じだったのかな。
そして、そろそろタイムアップ。
「ブラタモリ2」で紹介されていた二の丸堀の水抜き用の石樋を見たかったが、
場所も良くわからなかったので、断念。
後ろ髪を惹かれながら、所用のため上田某所へ。
時は流れて数時間後、昼飯。
長野県といえば、蕎麦。
蕎麦食いたい。
上田に何度も来たことのある人が薦めてくれた、
「手打ちそば刀屋」へ。
大行列が出来るほどの人気店だが、
幸いあまり並んでおらず、ものの数分で店内に案内された。
いろんな蕎麦があるが、名物は真田そばとのことで、
迷わずオーダー。
暫くすると蕎麦の前に、なめこと鰹節入り味噌と出汁と薬味が運ばれてきた。
出汁で味噌を溶かす。
薬味にはわさび、ネギともう一品。
大根おろしのようだが、
謎だったので店員さんに聞いたら、
上田みどり大根という返答。
後に調べたらば、超高額大根だった。
なんと一本1,250円。
そんな大根見たことない!
さらに期間限定で、入手困難。
こんな大根聞いたことない!
11月頃が旬らしく、タイミングが良かった。
そして、運ばれ来た真田そば。
ツルッとしたコシはない。
モサッとした噛み応え。
喉越しなんだけど、とても美味しい。
この店でしか味わえない。
ボリュームも満点。
後から来店したお客さんに、
店員のおばさんが、
「この店初めて?初めての方には大盛りはお断りしているの」
と言っているのが耳に入った。
確かに凄い量だった。
1,050円で、この味、量だったら満足。
蕎麦の後は、所用の場所までブラブラと歩いて戻る。
途中にあった風俗店。
「となりのお姉さん」
階段の先は闇…。
某所へ戻り、午後の所用を済ませた。
時刻は18時。
東京に帰るのには、まだ早い。
折角、上田に来たのだから、上田の店で夕飯を食べたい。
上田駅の近くにあった居酒屋「ここから」へ入店。
適当に入った店だったけど、大当たり。
上田では串物にニンニクダレをかけて食べる習慣があると聞いていた。
店の店員さんに聞くと、その通りとのことで、
串物をオーダー。
美味いねぇ。
上田近辺の酒蔵を応援しており、地酒が豊富。
沢山いただいちゃいました。
日本酒は銘柄によって味が違う訳ですが、
それもそのはず、比べてみると色が違う。
入店した時はお客さんはいなかったが、
次々と来店者がいて、すぐに満員。
ザッツ居酒屋な風情だけど、
女性のお客さんがとても多かった(しかも美人率高目)。
店員さんも気さくだし、料理と酒も美味いしで、
是非機会があったらまた訪問したいと思った。
そろそろ帰りの新幹線の時間。
お会計をして上田駅へ。
「真田丸」人気で北陸新幹線は込むと聞いていたが、
ガラガラだった。
散々飲んだけど、帰りの新幹線の楽しみは、
やはり酒。
この日訪れたのは信州だけど、新潟のエチゴビール。
じゃがりこをツマミにして頂きました。
BGMは、往路と同じく、マノウォー!
さて、酒と言えば、自分自身へのお土産もお酒。
長野県の南部、飯田市の酒蔵・喜久水の銀泉 辛口。
日本酒度+4.0なので、程よい辛口。
アテは地元のスーパー・アコレにて、半額で購入した刺身。
更に自分自身へのお土産・その2。
折角、上田市に来たのだから上田の地酒を飲みたい!
そんな欲求を満たしてくれる地酒セットを購入。
左から順番に。
沓掛(くつかけ)酒造の福無量。
創業300年の老舗。
信州銘醸の明峰 喜久盛(きくざかり)。
全国新酒鑑評会で何度も金賞受賞。
岡崎酒造の信州亀齢(きれい)。
日本に25人ぐらいしかいない女性杜氏がいる。
しかも銘柄に負けない美人さん。
和田龍酒造のリュウカップ。
なんとこのラベルのデザインをしたのは、
吉祥寺にオフィスを構えるJAP工房のスタッフ!
若林醸造の月吉野。
酒米トップ6の美山錦を使用
飲み比べてみました、やはりそれぞれ違う風味だった。
普段、糖質が高いのであまり日本酒は飲まないけど、
やっぱり日本酒は奥深い。
そして、上田といえばのニンニクダレ。
秘伝 番長の美味だれ。
肉は地元の西友で買ったオージービーフのステーキ。
本来、焼き鳥に使うタレなんだけど、
焼肉、ステーキ、ハンバーグ、野菜等、なんでもOK。
スペシャルプレートを作ってみた。
目玉焼き、人参、ハンバーグ、ガーリックトースト、
オージービーフのステーキ、玉ねぎ。
激ウマ。
銀座にある長野のアンテナショップ、
銀座NAGANOにこの手のタレ売っていたかなぁ…。
大河ドラマの舞台になる城もあるし、
蕎麦は美味いし、焼き鳥も美味いし、酒も美味い。
上田、良いですねぇ。