『映画クレヨンしんちゃん 襲来!!宇宙人シリリ』
2017年4月15日より全国東宝系にて
配給:東宝
©臼井儀人/双葉社・シンエイ・テレビ朝日・ADK2017
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ある夜、野原家にUFOが墜落する。
UFOに乗っていたのは、宇宙人の子供シリリ。
共に何があったのか理解できず、
野原一家、シリリの双方が怯え、動揺する中、
シリリが放ったビームによって、
ひろしとみさえが子供になってしまった。
元に戻すためにはシリリの父の力が必要。
九州(沖縄?)にシリリの父がいるという情報を得った野原一家とシリリは、
ニッポン横断の旅に出るが…。
劇場版「クレヨンしんちゃん」25周年記念作品。
なんだけど、これといって特別感はない。
20周年記念作なのに『嵐を呼ぶ!オラと宇宙のプリンセス』は、
ここ10年間で最も酷い作品だった。
(興行的にも劇場版「クレしん」史上初の興行収入10億割れとなった)
どうやら、製作陣はアニバーサリーイヤーにあまり興味がないようだ。
四半世紀も続いているんだから、
少しはスペシャル感出せば良いのにと思いつつ、
“どんな時でも等身大でいられる野原一家”を体現しているのかな。
そんな特別感のない『襲来!!宇宙人シリリ』ですが、
映画ならではのアクションシーンがもっとあってもいいと思うし、
スピード感に欠けるところもあったけど、
トータル的にみて出来は良かった。
監督は、橋本昌和。
2012年の増井壮一監督作『嵐を呼ぶ!オラと宇宙のプリンセス』以降、
監督は…、
2013年『バカうまっ!B級グルメサバイバル!!』橋本昌和監督
2014年『ガチンコ!逆襲のロボとーちゃん』高橋渉監督
2015年『オラの引越し物語 サボテン大襲撃』橋本昌和監督
2016年『クレヨンしんちゃん 爆睡!ユメミーワールド大突撃』高橋渉監督
ってな感じで、完全に交互ですな。
この5年間、一定のクォリティを維持しているので、
引き続きこの体制を貫いて欲しい。
さて、この1年の間に「クレしん」には、
大きな事件が発生した。
アニメ化されてからずっと野原ひろしを演じきた藤原啓治が、
病気療養となり、
代役として森川智之(としゆき)にスイッチしたのである。
実は森川智之が、声をあてた野原ひろしを本作で初めて見た。
野原ひろし=藤原啓治に慣れ親しんだ者として、
藤原啓治以外、野原ひろしは有り得ないと思っていたのですが、
森川さん、ムッチャウマ!
勿論違う声帯なんで、微妙な声質やニュアンスは異なる。
でも、藤原啓治が造り上げてきた野原ひろし像を維持している。
それが凄い。
声でいうとゲスト出演した雨上がり決死隊の宮迫博之も、
素晴らしかった。
事前に情報が無ければ、
宮迫さんが声を当てているってわからないと思う。
知っていても、「これ宮迫さん?」ってぐらい上手い。
セリフの量も多し、ゲスト出演の領域を越えている。
本職の芸人に留まらず、俳優業もこなしてきた。
とても器用な人なんだろうなぁ。
相方の蛍原さんは、謎の男モルダダを演じているが、
セリフも少ないし、まぁ、どうでもいいかな。
もうひとりのゲストは、志田未来。
「クレしん」に出ることが夢だったらしいんだが、
出番が少なくってちょっと可哀想。
完成披露試写会の舞台挨拶で、
野原ひろしみたいな人と結婚して、
しんのすけのような子供が欲しいと言っていたぐらいのファン。
だったら、もう少し重要な役柄を与えても良かったのでは?
で、さらに“声”でいうと、
エンディングで流れた高橋優の『ロードムービー』が心に沁みた。
心に沁みる歌詞を力強く歌う。
特に“もう一人きりじゃない”ってとこがよい。
でもって、YouTubeで高橋優のPVをたくさん見た。
「福笑い」。
歌詞はそのまま記載しませんが、
“国共通語は、英語じゃなくて笑顔”。
おおぉ!!
金子みすゞ的な名言!
高橋優初監督のPV「明日はきっといい日になる」(オモクリ監督版)もいいっすねぇ。
前向きなのが良い。
一方で、ブラッキーな曲もあった。
でも基本は前向き。
もう一本、凄いタイトルの曲がYouTubeにアップされていたんだけど、自主規制。
って、劇場版「クレしん」じゃなくて、高橋優の紹介記事になっちまった。
でも、『クレヨンしんちゃん 襲来!!宇宙人シリリ』をきっかけにして、
高橋優の世界を垣間見ることが出来たのは、デカい。