2017年10月13日更新

北陸旅行 3日目 PART3 大観峰〜黒部ダム

<北陸旅行 記事一覧>
「北陸旅行 1日目 PART1 白川郷」
「北陸旅行 1日目 PART2 五箇山」
「北陸旅行 1日目 PART3 兼六園と夕食」
「北陸旅行 2日目 PART1 金沢21世紀美術館」
「北陸旅行 2日目 PART2 金沢城公園」
「北陸旅行 2日目 PART3 近江町市場〜ひがし茶屋街〜立山」
「北陸旅行 3日目 PART1 称名滝」
「北陸旅行 3日目 PART2 立山〜美女平〜室堂」




「北陸旅行 3日目 PART2 立山〜美女平〜室堂」からの続き。


12時45分。
室堂から立山トンネルトロリーバスに乗車。


IMG_2099_RRr.JPG


トロリーバスなる乗り物に初めて乗った。


パッと見るとただのバスだが、
道路上空に張られた架線から電力を取って動く。


動力が電気なので、当然、排気ガスを出さないし、
レールを敷く必要もない。


ぶっちゃけただのトンネルなんだけど、
日本最長1位、2位の山手トンネルや関越トンネル通行時にはない、
高揚感はある。


10分ほどで大観峰に到着。


室堂ターミナルでは撮影できなかった、
トロリーバス正面ショット。


IMG_2100_RRr.JPG


近代的なデザインじゃないところがいい。


大観峰の見どころは、ずばり雲上テラス。


次に乗る立山ロープウェイの出発時間まで10分あるなら、
是非、運動不足の人にはやや過酷だが、
階段を上って展望台へ行って欲しい。


絶景。


IMG_2102_RRr.JPG


雲がなかったらもっと感動したんだろうけど、
それでもなかなか見られる光景じゃない。


雲に隠れてしまっているのは、
標高2500m越えの北アルプスの山々。


右下に見える緑色の水は黒部ダム。


これからあそこへ降りていく。


多くの観光客が、北アルプスと黒部ダムを見ている中、
テラスの後ろ側へ行ってみると、
興味をメッチャそそられる隧道がっ!


IMG_2105_RRr.JPG


昭和46年(1971年)の開業当時、
立山トンネルトロリーバスは、ディーゼルバスだった。


排気ガスが溜まるため、通気口を設けたが、
思うように換気が出来ず、トロリーバス導入に至った。


これは換気用の隧道!?


隧道脇、石垣の段差も気になる。


大観峰から黒部ダムへの移動手段は、立山ロープウェイ。


13時20分発の立山ロープウェイに乗る。


IMG_2106_RRr.JPG


立山・黒部アルペンルートの観光広告を見ると、
夏場から秋にかけてはこのロープウェイが主役。


窓から見る光景はさぞかし美景なのでしょう。


期待に胸を膨らませてロープウェイに乗ると、
進行方向部分を中国人観光客に占拠されてしまった。


彼らはバシャバシャと下界に見える黒部ダムを撮影。


立山ロープウェイからの黒部ダムを見ることは、
多分、一生涯、あっても1、2回でしょう。


やっぱり良い景色を見たいし、撮影したい。


そんなオーラを出していたら、
中国人観光客の一人が察してくれて、
他の仲間に声を掛け、場所を譲ってくれた。


IMG_2108_RRr.JPG


これまでの散策や日々の生活の中で、
中国人観光客のマナーの悪さが目に付くことが多々あった。


でも今回のように、
譲り合い精神のある中国人がいるんだね。
嬉しくなった。


数枚景色を撮影後、お礼を伝えてロープウェイ後方へ。


ロープウェイからの景色は前だけじゃない。
右斜め前にもあるぞ。


IMG_2112_RRr.JPG


山肌の緑を削る道。
滝の跡?
それとも登山道?


特に観光資料に記載がないので、
違うかもしれないけど、
雪解け時、日本一の高さを誇る滝になったりして…。


13時27分。
黒部平に到着。


大観峰に続き、ここも展望台。


黒部ダムは写っていないが、
その付近の写真。


IMG_2114_RRr.JPG


遠目に見て、橋のような建造物が見える。


なんだあれは?


気にしつつ、黒部平から黒部ケーブルカーに乗る。


IMG_2118_RRr.JPG


時は、13時40分。


ここから800m先の黒部湖へ。


ラッキーなことに一番前を確保できた。


IMG_2121_RRr.JPG


黒部平と黒部湖の高低差は373m。
かなりの急勾配。


途中、後ろに立っていた少女に一番前の場所を譲った。


約5分で黒部湖。


IMG_2125_RRr.JPG


黒部川を堰き止め、
昭和38年(1963年)に完成した黒部ダムによって形成された人造湖。


総貯水量は約2億立方メートル。
桁がわけわからん。


波一つない穏やかな水面だが、
反対側に目を向けると…


IMG_2126_RRr.JPG


有名な放水。


凄いド迫力であるという話は聞いていたが、
百聞は一見にしかず。


放水量は毎秒10トン以上。


「シティーハンター」の槇村香の100tハンマーには劣るが、
まともに喰らったら即圧死。
いや…バラバラになるか?


上の写真からは、黒部ダムは、アーチ式ドーム型で、
お椀を縦割りにしたよう形をしていることがわかる。


真上から見てみた。


IMG_2129_RRr.JPG


スマホを落としたらと思うと、
ちょっと怖い。


ダム展望台へと向かう途中から撮影。


IMG_2131_RRr.JPG


凄い爆音かと思いきや、意外とそうでもないのが不思議。


天気が良いと虹がかかるようだが、
残念ながら台風5号の影響で雲が厚い。


ダムの奥には、
立山ロープウェイから見えたのと同様の橋のような建造物が。


IMG_2133_RRr.JPG


ダムの左右に建てられている。


さらにダムの横の断崖中腹にも気になる建物を発見。


IMG_2134_RRr.JPG


草に覆われているので、
現在は使われていないのだろう。


ダム建設時の施設?


ダム展望台に至る階段前の広場に、
黒部ダム構築のあらましを示す展示品が置かれていた。


コンクリートバケット。


IMG_2137_RRr.JPG


黒部ダム構築用。
容積9立方メートル、重さ7トン。


その横には、コンクリートバケット吊り上げ用フック。


IMG_2138_RRr.JPG


バケットとフックの前には、
25tケーブルクレーンのワイヤー。


IMG_2140_RRr.JPG


これらの用途が良くわからないまま、
黒部ダム展望台へ至る階段を上がろうと思ったら、
その脇にトンネル施設。


IMG_2142_RRr.JPG


残念ながら立ち入ることは出来ない。


階段を上がり切ったところで、
気になっていた橋のような建造物の一部が姿を現した。


IMG_2148_RRr.JPG


建設時のものなんだろうけど、
遺構感が漂っていてたまらん。


そして、展望台からの光景。


IMG_2143_RRr.JPG


展望台なだけあって、
黒部ダムの全景を見ることが出来る。


ついつい放水に目が行ってしまいますが、
設備点検用と思しき階段やら通路がえぐいなぁ…。


IMG_2144_RRr.JPG


足場が柵なので、下が丸見え。
歩いたら怖いでしょう。


続いて、目線を上げると、
例の橋のような建造物が目の前に。


IMG_2146_RRr.JPG


ダムより、放水より、こっちに興味津々。


ダム関係者に聞くべし!


展望台の売店のおじさんに問うた。


ダムを作るためのクレーンの基礎とのこと。


伊藤P:あのモノレールの線路のようなところが、
    クレーンの滑車部分ってことですか?


おじさん:そうです!


伊藤P:『黒部の太陽』を見たらわかりますか?


おじさん:わかるよ!「プロジェクトX」はもっとわかるよ!


と、売店の商品であるDVDを指した。


流石商売人!


ガキの頃から映画が好きだったし、
社会人になってから、長年映画業界に携わって来たけれど、
洋画を重視していたから『黒部の太陽』見ていないんだよね…。


で、なんでこの黒部ダムのクレーンの基礎にそそられたのか?
いまキーボードを叩いていてわかった。


ドリームランドモノレールだ。


父の実家があった鎌倉へ毎週日曜日、
父の運転する車で行った。


帰り。
大船から国道一号線まで、
ちょっとマニアックな裏道を通っていた。


その裏道で、鎌倉名物の切岸や、
ドリームランドモノレールの橋脚遺構を見ながら走った。


Dream_monorail_udagawa_RRr.jpg
wikipedia掲載画像


ドリームランドモノレールは、
昭和39年(1964年)に開園し、2002年に閉園した遊園地、
横浜ドリームランドへの運送手段として、
昭和41年(1966年)、大船駅〜ドリームランド駅間に開業したモノレール。


しかし、開業後、様々な要因からわずか1年4ヶ月で運行休止。
以降、レールと橋脚だけが残った。


それらの遺構も2003年から撤去作業が開始され、
2005年までにほぼ完了。


今ではモノレールのレールと橋脚は見ることが出来ないが、
子供の頃に見た光景というのは、刷り込まれる。


四角錐の橋脚。
その上を伝うコンクリートのレール。


黒部ダムのそれは、ドリームランドモノレールに被る。


黒部ダムに来て、ドリームランドモノレールを関連付ける人は、
あまりいないだろうなぁ〜。


展望台の売店の裏には、
『黒部の太陽』で有名な破砕帯(ハサイタイ)の美味しい湧水。


IMG_2150_RRr.JPG


飲んだけど、あんまり美味くない。


破砕帯は後で説明。


展望台から階段を下りて、
先のコンクリートバケットとかが展示されているスペースに、
クレーンの基礎含め、きちんとした解説板が掲示されていた。


IMG_2136_RRr.JPG


IMG_2135_RRr.JPG


ちゃんと読んでいなかった。


そして、新展望台広場特設会場へ行くと、
パネルとドキュメンタリー映像で黒部ダムの建設がわかる。


IMG_2156_RRr.JPG


IMG_2154_RRr.JPG


特に数十分のドキュメンタリーの出来栄えは秀逸。


なぜここに黒部ダムを作ったのか?
どれだけ難工事であったか?
従事した人々の情熱がどれほどであったか?


関係者の証言と貴重な記録映像で一気に見せる。


最後は感動して落涙しそうになった。


衝撃だったのが、
トンネル開通前の黒部ダム建設予定地までの道。


IMG_2153_RRr.JPG


これ歩道ですか?


未だにこの日電歩道は健在だが、きちんと整備されておらず、
危険度は当時のまま。
雪や残雪の関係で9月、10月ぐらいしか利用できない。


黒部ダム周辺には、日電歩道だけでなく、
水平歩道というこれまた超危険な道がある。


詳しくはコチラ


YouTubeには、この歩道に挑んだ猛者たちの動画が幾つか上がっている。





ドキュメンタリーでもうひとつ印象に残るのが、
破砕帯との戦い。


長野側から掘られた大町トンネル掘削中、
破砕帯に遭遇。


破砕帯とは、断層に沿って岩石が破壊された帯状の部分。


大町トンネルの破砕帯から大量の地下水と土砂が押し寄せ、工事は難航。
多数の死者も出した。


ドキュメンタリー映像では、
コンクリートバケットも登場。


映像だとより分かり易い。


黒部ダムへ訪問した際には、
このドキュメンタリーを是非見て頂きたい。


さて、この新展望台広場特設会場の傍からは、
間近に放水を見ることが出来る。


IMG_2161_RRr.JPG


コンクリート壁の梯子がヤバイ。


そして、ダムが登場する『ユニバーサル・ソルジャー』を思い出す。





新展望台広場特設会場の脇には、
当時の建設車両のタイヤ跡や作業員の足跡を
コンクリートで型取りした「ワダチ」のモニュメント。


IMG_2162_RRr.JPG


ドキュメンタリーを見た後だけに、
このモニュメントの意義をより感じずにはいられません。


時刻は15時。
昼は立ち食い蕎麦だけだったので、
少し小腹が空いた。


売店でおやきを購入。


IMG_2165_RRr.JPG


野沢菜とかいろんな種類があるのだが、
殆ど売り切れていた。


確か、食べたのは茄子のおやきだったと思う。


売店では、ハサイダーという飲み物も売っていた。


IMG_2164_RRr.JPG


語呂合わせとしては有りなんだろうけど、
破砕帯によって死者が出ているんで、
このネーミングはいかがなものか…。


黒部ダムに着いてから、
雨が降ったり止んだりの状態だったんだが、
おやきを食べていると本降りになってきた。


時間的にも、そろそろ黒部ダムから扇沢へ移動した方が良さそう。


でもその前にどうしても見ておきたいものがあった。


殉職者慰霊碑。


IMG_2166_RRr.JPG


IMG_2167_RRr.JPG


黒部ダムの建設工事で殉職した171名の名前が刻まれている。


この方々の命と引き換えに黒部ダムがある。


今だったらこれだけ多くの死者が出たら大問題だろうな。


関電トンネルトロリーバスに乗るべく黒部ダム駅へ。


IMG_2168_RRr.JPG


立山黒部アルペンルートに来てからあまり寒さは感じなかったが、
この駅のトンネルは寒かった。


明らかに体感温度が異なる。


以降、「北陸旅行 3日目 PART4 扇沢〜吉祥寺」へと続く。

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プロフィール

1974年、東京都生まれ。少年時代、ジャッキー・チェンの映画に魅了され、映画小僧の道を突き進む。大学卒業後、映画宣伝代理店に入社。『リーサル・ウェポン4』、『アイズ ワイド シャット』、『マトリックス』などを担当。

2000年、スカパー!の映画情報専門チャンネル「カミングスーンTV」転職し、映画情報番組の制作を手掛けたのち、2006年、映画情報サイトの運用に従事。その後、いろいろあって、2013年7月よりCS放送「エンタメ〜テレHD」の編成に携わっている。

本ブログは、多ジャンルの情報提供を志すT-SHIRT-YA.COMのオファーを受けて、2003年4月にスタート。2007年12月にブログ化。
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