2018年04月04日更新

辰巳起点散策13 PART2 山谷

「辰巳起点散策13 PART1 富岡八幡宮」からの続き。


ゑんま堂のある法乗院を後にし、
特に行くあてもなく、なんとなく清澄通りを北上。


すぐに清澄白河。


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鉄筋コンクリート造の長屋・旧東京市営店舗向住宅。


関東大震災後の復興事業の一環として、
旧東京市が昭和3年(1928年)に建設した店舗付住宅。


だいぶくたびれている建物もあるが、
カフェやギャラリーとして今でもバリバリ現役。


写真には写っていないが、
「tearoom gallery 楽庵」とか、
「アド街」の清澄白河の回でランクインしていた。


でもって、清澄白河といえば、
塗装・リフォームの株式会社ささきのキャッチコピー。


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2014年に深川江戸資料館で落語を見た帰りに発見し、
本ブログでも「素敵なキャッチコピー」と題して紹介している。


2015年に放送された「孤独のグルメ Season5」第二話の冒頭で、
清澄白河駅から出てきた松重豊演じる井之頭五郎が、
この看板に興味を示す件があり、
やっぱり“素敵なキャッチコピー”なんだなと再認識した覚えがある。


因みに井之頭五郎は、深川江戸資料館に仕事で訪問した後、
「だるま」というコの字型カウンターの酒場へ行く。


「だるま」美味そうだし、コスパも悪くなさそうなので、
是非立ち寄りたいところですが、時刻は朝の9時過ぎ。
やっているわけがない。


その後もなんとなーくチャリで北上すると、
うんこビル発見!


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正式名称はアサヒビールビル。
うんこは金の炎をイメージしたオブジェ。


この角度からうんこビルを見るのは初めてだ。


2017年の秋、「アサヒビールビルからうんこが消えた」と話題になった。


実際に消えたわけではなく、
日差しの影響や経年劣化で色あせたうんこを塗り替える為、
囲いで覆われて見えなくなっただけなのだが、
こうして目視できるってことは、塗り替え作業が無事に終わった証。


うんこビルがこれだけ至近距離で見える。
つまり東京スカイツリーが近い。


スカイツリーには3年前に行っているが、
折角ここまで来たので、上に登る…
ことはなく下から見上げることに。


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「いやー、やっぱり展望台の料金みたいに高いなぁ〜」なんて思いながら麓を通過していると、
プラカードを掲げている係員が何人かいた。


プラカードを見ると「落雪に注意」と書かれていた。


1月22日(月)に記録的な大雪に見舞われたが、
その名残だろうか?


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その大雪の日。自宅近く。


シャーベット状に固まった雪が、
落下してきて頭部に当たったら…。


ゾクッとしますな。


さて、東京スカイツリーまで来たものの、
この後はノープラン。


押上駅前で地図と睨めっこ。


今から3年前に訪問して衝撃を受けたドヤ街・山谷
近くはないが、チャリだったら圏内。


実はちょっと前に山谷にあるシャッター商店街・いろは会ショップメイトのアーケードが、
撤去されるという記事をネットで読んだ。


要因は老朽化。


いろは会ショップメイトでは、日雇労働者やホームレスが、
シャッターの閉まった店の前に段ボールを敷いて寝る行為が問題視されており、
アーケードの撤去は、そういう人たち対策なのでは?
と思ったりもして。


果たして、いろは会ショップメイトの現状は如何に!?


ということで、山谷を目指してチャリを漕ぎ漕ぎ。


最大の難所は隅田川なんだが、
向島と今戸の間に架かる桜橋が、渡し船の役割を果たしてくれる。


上から見るとXの形をしている珍しい橋。


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車の通行は出来ないので、安心して渡ることが出来るのだが、
向島側からこの橋に辿り着くためには、
かなり急勾配の坂を登ってくる必要がある。


幸い電動自転車だったので、
そこまでしんどくなかったけど、
普通のチャリだったら降りて曳かないと無理。


桜橋を渡り、墨田区から台東区内へ入ると緑道。


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いろは会ショップメイトの目と鼻の先に旧吉原がある。


落語の噺「木乃伊取り」や浮世絵から、
吉原へ行くために土手を歩くことは知っていた。





多分、この緑道はその名残なのだろうなと思いつつ、
後で調べたらその通りだった。


吉原大門入口。


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ガソリンスタンドの手前にあるのが、見返り柳。


吉原遊郭での遊び帰りの客が、
後ろ髪を引かれる思いを抱きつつ、
この柳の辺りで遊郭を振り返ったという。


有名な老舗天ぷら屋「土手の伊勢屋」を過ぎると、
いよいよ、いろは会ショップメイト…。


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あれ?ここだよね?


アーケード撤去の情報を事前に得ていたのにも関わらず、
ここがいろは会ショップメイトであることが信じられなかった。


一旦、商店街をやり過ごして、
「あしたのジョー」の全く似ていない矢吹ジョーの位置を確認。


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間違いなく、いろは会ショップメイトの入口だ。


3年前の記事「千束〜旧山谷〜隅田川駅跡〜千住駅跡」に掲載した写真と見比べると、
建物自体はあまり変化していない。


屋根の有る無しでここまで印象が変わるのか…。


空が見えるからか、以前よりも陰気くささは軽減されているが、
相変わらずシャッターを閉めている店が多いし、
店の前には布団替わりとなる段ボールが置かれていた。


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ブルーシートが被さったリアカーと自転車は、
以前の記事の写真にも写り込んでおり、
ずっと放置されているのかもしれない。


なんとも不思議な気分で商店街を進むと、
アーケードが残っている一角があった。


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追々、骨組み部分も取り除かれるのでしょう。
ハゲタカにやられる前の遺体みたい。


前回来たのは日曜日。
今回は土曜日だからか、開いている店が多いような気がした。


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この日はメンズショップが連なって店を開けていた。


多くの店のシャッターが、開くことはないだろう。
そんな中、メンズウェア店が元気に営業しているの土地柄か。


いろは会ショップメイトの衰退の象徴として、
多くのサイトで紹介されているリカーショップ ワッツの側壁。


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店は完全に閉まっているが、
洗濯物が干してあり生活感がある。


前回の散策記にはワッツの写真を掲載していないが、
手元にある写真を見比べてみると、
窓に貼られたガムテープ含め、殆ど違わない。


いろは会ショップメイトは、
アップした写真を見てもらえれば分かるとおり、
まるで活気がない。


誰も歩いていない。


そんな中、唯一ザワザワと店外に賑わいが聞えてきたのが、
大衆居酒屋 追分(おそらくオイワケと読む)。


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時刻は朝の10時。


朝っぱらから酒飲んで…と思ってしまいがちだが、
それは日中働いている人の感覚。


夜勤の人からすれば、仕事明けの一杯であり、
その意味合いは一緒。


しかしこの追分、
東京都、しかも23区内のお店なのに食べログで評価無し。
写真もあまり載っていない。


一見さんは怖くて入れないよね。


いろは会ショップメイトの吉野通り側の入口。


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「山谷は日雇労働者の街 労働者を排除する再開発反対!!」
というスローガンが掲げらていたし、
ワゴン車で見えないが、
入口右側でワンカップを持ったオジ様たちが屯している光景は、
前回と変わらない。


山谷を訪問してから数日後の2月15日(木)の毎日新聞の朝刊に、
「山谷の商店街 アーケード撤去へ」という見出しの記事が掲載されていた。


記事によると撤去の要因は、
老朽化だけでなく、維持費の負担も大きいとのこと。


組合によって賄って来た維持費。
でもこれだけシャッター閉まっていたら、
営業している一店舗当たりが負う金額はデカい。


記事には、約40人のホームレスが、
アーケードの軒下を寝床にしていたとある。


ホームレスにとってアーケードは、
雨風を凌ぐ「家」だったのでしょう。


でも老朽化、維持費の問題を考えると、
撤去は致し方ないかなと思う。


2月末で完全撤去とのことで、
下の写真に写るアーケードも今は消滅しているのかな。


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屋根が無くなり明るくなり、
ホームレスも居場所がなくなった。


しかしながら、それだけでこの商店街が甦るわけがない。


毎日新聞の記事でも、ある店主が訴えている。


「新しい客を呼び起こす魅力ある店がない。
 このままではアーケードを撤去しても、
 買い物客は来てくれない」


その通りだと思う。
このままでは、来ないだろうな。


一方で、23区内で、ドトールも、スタバも、
吉野家も、松屋も、富士そばも、マツキヨも、スギ薬局も、
ABCマートも、ユニクロもない、
これ程までにチェーン店に侵食されていない商店街は貴重な気もする。


やりようによっては、
面白い商店街になるかもや!?


難しいか…。


そして、このアーケードの寂れの原因は、
魅力的な店がないからだけではない。


その土地柄も問題。


アーケードを出て、
日本堤交番(通称マンモス交番)のある吉野通りで信号待ちをしていたら、
女性が通りかかった。


その女性に対して酔っぱらった日雇労働者が、
「おんな!おんな!」と、指をさして興奮していた。


朝から酒を飲むのは構わないが、
フラフラと路上に出て危険臭を漂わせるのは不味い。


日中の酔っぱらいを撲滅しない限り
何をしても活性化はないでしょう。


男のワシでも、少し怖いもん。
女性は、来ないよ。


この後、「あしたのジョー」の聖地、玉姫公園へ。


状況は前回とあまり変わらなかった。


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ブルーシートで作られた寝床が公園内を占拠し、
数人の日雇労働者が、煙草を吸いながら談笑していた。


公園入口には「不法投棄禁止」の看板が置かれていたけど、
こんなものは意味がない。


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彼らにしてみたら公園内のものは投棄物じゃない。
日常生活における必需品なのでしょう。


アーケードが撤去された以外、
数年前に訪問した時とあまり変化のない山谷。


このままだとダメだと思いつつも、
都市開発が進む中、昭和の臭いを強烈に放つ街が、
まだこうして残っていることに、
少しホッとしてしまう自分がいたりする。


山谷を後にし、チャリを飛ばして新木場へ戻る。


自転車シェアリングは、30分単位で料金が加算される。


時計を確認すると次の区切りまで、15分ほどあったので、
もう一ヶ所赴いた。


荒川に面した新木場緑道公園の入口から、
新木場駅方面を撮影した一枚。


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ここは2017年11月に起きた女性死体遺棄現場。


被害者は47歳の女性で、
犯人は交際相手で大田区選挙管理委員会職員の男性(55)。


他に付き合っている男がいると知り、
激高して車内で絞殺したとのこと。


殺してしまうぐらいだから、
よっぽど被害者のことが好きだったんだろうなぁ。


死体が発見された日から、2日後に逮捕。


現場付近の防犯カメラに男性の車が映っていたことから、
逮捕に至った。


こんな人気のない場所にも、
防犯カメラが設置されている。


事件解明になったから良いんだけど、
それはそれでちょっと怖い。


新木場駅へ戻りチャリを返却。


辰巳での次の用事まで、まだ少し時間があったので、
ちょっと早いが昼飯にすることに。


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吉野家の牛丼(並)+生卵。


朝は松屋、昼は吉牛。
夜はすき屋か!?


満腹で「しんどいなぁ〜」と思いながら辰巳方面へ。


ここは都立辰巳の森緑道公園の一角。


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近くに木製のテーブル付ベンチがあり、
コンビニで買ってきたおにぎりとかを食べたり、
暇をつぶすため本を読んだりしたことがある。


そんな慣れ親しんだ場所が、
殺人事件現場だったと知ったのは、つい最近。


警視庁のホームページに、、
「辰巳二丁目都立公園内殺人事件」
として掲載されている未解決事件。


今から14年も前の事件であり、
おそらくこのまま迷宮入りでしょう。


富岡八幡宮、新木場緑道公園、都立辰巳の森緑道公園と、
殺人現場を巡って来たが、この日はもう一つ、
日本中を震撼させた事件の現場へ行った。


以降「辰巳起点散策13 PART3 東雲」へ続く。

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プロフィール

1974年、東京都生まれ。少年時代、ジャッキー・チェンの映画に魅了され、映画小僧の道を突き進む。大学卒業後、映画宣伝代理店に入社。『リーサル・ウェポン4』、『アイズ ワイド シャット』、『マトリックス』などを担当。

2000年、スカパー!の映画情報専門チャンネル「カミングスーンTV」転職し、映画情報番組の制作を手掛けたのち、2006年、映画情報サイトの運用に従事。その後、いろいろあって、2013年7月よりCS放送「エンタメ〜テレHD」の編成に携わっている。

本ブログは、多ジャンルの情報提供を志すT-SHIRT-YA.COMのオファーを受けて、2003年4月にスタート。2007年12月にブログ化。
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