<六浦〜田浦〜鎌倉 記事一覧>
「六浦〜田浦〜鎌倉 Part1 序章」
「六浦〜田浦〜鎌倉 Part2 八景苑」
「六浦〜田浦〜鎌倉 Part2 八景苑」からの続き。
父の墓がある八景苑から鷹取山へと向かう。
テレ朝の「ぶっちゃけ寺」(復活求む!)で、
鷹取山に巨大磨崖仏があることを紹介していた。
磨崖仏大好き。
是非行ってみたい。
3キロほどあるが、5キロまでは余裕で徒歩圏内。
しかし、とても3月とは思えない汗ばむ陽気。
しかもこの一帯は勾配がきつい。
そこそこ辛いなと思いながら歩いていると、
突如、桜坂が現れた。
本当に角を曲がった瞬間、いきなりこの光景だった。
なんと美しい。
桜の木、花は、なぜにここまで人の気持ちをウキウキとさせるのか?
桜は日本最古の歴史書「古事記」や「万葉集」にも記述が見られるぐらい、
日本人にとっては馴染み深い。
そんな身近さ、咲いたと思ったらあっという間に散ってしまう短命さが、
日本人が好きな儚さを表して、フィットするのかな。
坂の上からの一枚。
完全なる植樹。
でもそれでいいじゃない。
住宅街での桜坂に興奮。
この桜並木の先に鷹取山があるはずなんだが、
ドン突きを右折して、鷹取小を左手に見ながら回り込むと、
ようやく鷹取山公園へ到着。
ここでも桜がお出迎え。
鷹取山の由来は、太田道灌が鷹狩りをしたとか、
鷹がたくさんいたから取ったとか、
単に高いから鷹取になったとか諸説あるらしい。
平日だが春休みの時期だからか、
そこそこ人通りが絶えない園内の上り坂を上がっていくと、
右手に広場があり、その先に道が見える。
なんの道標もないし、本線でないのは明らか。
故にちょいちょいいる通行人たちは、見向きもしない。
しかし、オイラの嗅覚が、ここを曲れという。
自分の“鼻”を信じたい。
未舗装の道を進むとすぐに「磨崖仏????」発見!
これは「ぶっちゃけ寺」で見た鷹取山の磨崖仏ではない。
だいぶチープ。
別の壁面には、ギャグのような後光が差した仏様と、
右手に木の葉に隠れていて見難い不動明王。
落書きレベルな磨崖仏。
だいたい磨崖仏に色を塗ってしまうこと自体ダメでしょう。
岩場の切り出し方を見るに、鷹取山は十中八九石切り場だ。
左奥に道があったので、行ってみることに。
誰もいないのだが、
上の方から子供と母親と思しき会話が聞えてくる。
山道は整備されているし、きちんと道標もある。
しばらくすると、昨年3月に作家・恒川光太郎と行った鋸山を彷彿させる断崖が。
鷹取山、石切り場確定。
ウィキペディアによると、
やはりかつては石切り場として栄えたが、
大正12年(1923年)の関東大震災で、倒壊し多くの死傷者を出し、
以降、廃れてしまったとのこと。
死者が出たぐらいなので、
鷹取山=心霊スポットと成り得そうだが、さにあらず。
前から思っていたんだが、数多の事件・事故は心霊スポットとして扱われるのに、
関東大震災や東京大空襲の被災地は、心霊スポットに成り難い。
犠牲者多数、被害甚大、範囲広大というのもあるが、
そこに日本人的な「傷心」を感じてしまう。
上記、写真の壁面に見られる穴は、
ロッククライミングのハーケンを打ち込んだ跡。
鷹取山では、昭和30年代頃からロッククライミングをする人が増えたらしんだが、
落下事故も多発しているため、80年代に規制が敷かれるようになった。
(ウィキペディアより)
垂直だし、石は柔らかく、ハーケンを打ち込み易いので、
クライマーとしては、絶好のスポットなのでしょう。
石切り場の断崖を左手に見ながら、山道を進むとぬかるんだ坂道。
登ろうと思えば登れるけど、
手とか靴とか服とか汚したくないので、Uターン。
Uターンといえば、ショーン・ペン主演、
オリバー・ストーン監督作「Uターン」。
「悪魔の追跡」「悪魔のいけにえ」「脱出」「ブレーキ・ダウン」といった、
田舎に来た者がわけもわからないまま事件に巻き込まれていく映画が好き。
「Uターン」もその類。
そんな話はどうでもよくて、本題に戻す。
で、来た道を戻り、本線へ。
緩い坂道を登るとなかなかの階段登場。
上りましたよ。
ヒイヒイですわ。
階段を上がり切ると広場に出る。
断崖絶壁の上に展望台。
また階段を上がることになるのだが、
ここまで来たら行くでしょ。
展望台からの眺望。
石切り場、桜、奥に湾。
なかなかの光景だ。
360度パノラマではるのだが、
ガスっていてあまり視界良好とは言えなかった。
展望台から広場に戻り裏手に回ると、
絶賛ロッククライミング中。
岩登り禁止と銘打たれながら、堂々とやっているので、
多分、ちゃんと許可申請をしているグループなのでしょう。
ロッククライミング場の奥には、神武寺の道標。
なんだか面白そうな道だったんで、
この先へ行ってみたんだがだ、神武寺までそこそこ遠いようで、
暫く進んでから引き返した。
広場から鷹取山のお目当て、巨大磨崖仏を目指す。
途中、石切り場が巨大神殿の様な体になっていた。
石切り場は人間の手によるものだが、
その切出し方が美しい。
更に石が柔らかいから、
風化が早く、良い感じで丸みを帯びている。
鋸山ほどのスケール感はないが、
これ以外にも、目を引く石切り場が多々あった。
広場から磨崖仏まで、5分ぐらいで到着。
磨崖仏こと弥勒菩薩像は、
逗子市に住んでいた川口満なる人物が、
横須賀市在住の彫刻家・藤島茂に依頼して、
昭和35年頃に制作されたとのこと。
磨崖仏の前にある解説板には、
昭和40年頃と書かれているが、恐らく誤り。
川口満が何者なのかは不明。
多分、逗子市の名主だったのでしょう。
弥勒菩薩は衆生を救済する未来仏。
どのような思いを藤島茂に託したのだろうか。
藤島茂はウィキペディアがある。
彫刻がであり、随筆家。
著作「トイレット部長」は、池部良、淡路恵子主演で映画化もされている。
凄いタイトルだが、駅トイレの維持改善に奔放する国鉄社員を描いた喜劇で、
原作の方は続編もあるようだ。
ちょっと前まで駅のトイレ=汚い、臭いというイメージだったが、
ここ最近は改善されている駅も多い。
(特に両国駅は感動した)
トイレット部長の尽力のおかげ?
さて、鷹取山の弥勒菩薩像は、高さ8m。
同じく石切り場であった鋸山の磨崖仏・百尺観音の高さ30mと比べると、
スケールは小さいが、迫力は十分。
台座の部分に穴が多数見られるが、まさかハーケンの跡!?
弥勒菩薩の周辺には桜の木が植えらており、
柔和な菩薩の顔が、さらに柔らかく見える。
よく見ると手に徳利のような物を持っている。
これまで弥勒菩薩像を何度か見てきた。
左手に徳利なんか持って行ったっけ?
弥勒菩薩とグーグルで画像検索しても、
物を持っている弥勒菩薩はヒットしない。
鷹取山の弥勒菩薩は、花見酒?
弥勒菩薩像の横には、断崖の間を貫く道。
鎌倉の切通しといい、
奥に何があるんだろうと思わせる光景はドキドキする。
通り抜けると桜が咲き乱れる広場になっていた。
ロッククライミングをしている男女2人がいたが、
ちゃんと申請しているのだろうか?
この後、京急田浦駅方面へ行きたかったので、
グーグルマップを見ながら下山を試みる。
途中にあった石切り場。
実はこの日、一緒に鋸山を登った恒川光太郎を誘ったんだが、
都合がつかず。
鋸山よりは小規模だけど、
多分、見たら喜んでいただろうな。
石切り場を後にし、道なりに進む。
階段を降りる。
すると鷹取山に来た際に横を通った鷹取小の近くに出た。
真ん前は西友 鷹取店。
さっき、こんな住宅街に西友があるんだと思ったんだよね。
ここから徒歩で京急田浦駅を目指す。
以降、「六浦〜田浦〜鎌倉 Part4 がらめきの切通し」へと続く。