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「キル・ビル」で思うこと
#21
 今、最も熱い映画といえばクエンティン・タランティーノ監督5年ぶりの新作「キル・ビル」でしょう。

 そんな「キル・ビル」を見たのですが、個人的には大好きです。

 ボスと仲間に裏切られた暗殺者の復讐劇という超単純明快な物語の中にわかる奴にしかわからない細かいネタを散りばめ、監督自身のオタク心を満たしながら、「そんなネタ知らん!」という真っ当な観客をも満足させる作りになっている。

 ストーリーが単純な分、動きで魅了するということで、見所はやはり「マトリックス」の武術指導を担当したユエン・ウーピンによるアクション・シーン。

 日本刀で手、足、首が切られ、凄まじいばかりに鮮血が飛び散りまくる。あまりの荒唐無稽さに「そんなんある訳ねーだろー!!」という突込みを入れつつ楽しんでいる。

 しかし、フッとある思いが頭を掠めた。

 主人公が敵を刺殺するシーンがおかしくて、度々場内から”笑い”が起こる。そして、僕も笑っていた。

 「人を殺すシーンで度々笑いが起きるってどういうことだ?」と。

 冒頭で、「我が師、深作欣ニに捧ぐ」というテロップが出る。タラちゃんとしては憧れの深作監督の暴力描写へのオマージュ的なところがあったのでしょう。復讐劇とか「仁義なき戦い」だし、大殺戮シーンなんかモロ「バトル・ロワイアル」です。(「バトル」に出ていた栗山千明を起用しているぐらいだ)

 が、深作監督と明確に違う点は、「笑い」にある。深作作品における殺人描写で決して「笑い」は起きない。暴力に走るという人間の残虐性と悲しみ、痛みを伝えるべく、深作さんは暴力描写に拘ったんだと思う。

 R指定で社会現象を巻き起こした「バトル」の時に北野武が言ったように、タラちゃんも「特に若い人に見てもらいたい」と言っているようだが、その真意は如何に?

 余りにも残酷なシーンに笑いの要素を入れて、中和剤とすることは良くあるので、もうそれはそれ!といって楽しむべき映画なのでしょうが、それを理解しているのといないのとでは、受ける影響は違ってくる。只でさえゲーム感覚で人を殺す事件が増えているご時世だし。

 こう考えてしまった時点で「あ〜、俺、年食ったなぁ〜」と思ふっ。・・・(涙)

PS:「キル・ビル」は2部作で、来年、vol2が公開になります。まぁ、なんだかんだ言ってチョー楽しみで見たいんだけどさ。

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