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“2004年度最強のお馬鹿映画” #55
  <注:ちょっとだけネタバレがあります>

 随分前に予告編を見て「おもろそー」と思っていた映画「トルク」。

 「ワイルド・スピード」系の見るからに頭悪そうな荒唐無稽バイク・アクション・ムービーだ。ヴァン・ダム、セガール全盛期をリアルタイムで過ごした伊藤としては、こういうどうでも良い映画を分かっちゃいるんだけど見たくなる悪い癖がある。で、1時間24分という上映時間にも惹かれて見てしまった。

 そして、「トルク」は予想を上回る究極のお馬鹿映画だった。

 ドラッグ・ディーラーという濡れ衣を着せられ、姿をくらました主人公のフォードくん。6ヶ月ぶりに戻ってきたと思ったら、今度は言われなき殺人事件の犯人に仕立て上げられてしまう。無実を証明し、自由を手に入れるためにフォードくんはバイクにまたがり仲間と共に様々な困難に立ち向かう!

 で、無実の罪を晴らすべく奔放するのですが、まぁこの手の映画ですから、結末は見なくても判りますよね?目的は成就される訳ですが、それまでにフォードくんたちが行った犯罪行為を覚えている限り列挙すると、

   ・スピード違反
   ・銃刀法違反
   ・器物破損
   ・殺人未遂
   ・爆発物取締法違反
   ・不法侵入
   ・傷害・暴行罪
   ・公務執行妨害
   ・危険運転致死傷罪

 もうやりたい放題。致死罪だよ!致死罪!!無実どころか犯罪しまくりです。そして、散々ぱら大暴れした挙句、何事もなかったように去っていくフォードくん一味。。。

 普通に見ちゃうと、話は破綻しているし、予定調和で緊張感は皆無。出てくる人たちはみんなアホ(特に警察)。決めのつもりで言っているセリフもカッコ悪いし(字幕の問題か?)、恋人役のおネーチャンはいかにもだし(エステラ・ウォーレン系)、とツッコミ所満載の映画。でも何故か憎めないんだな。

 この映画を作ったスタッフって、超真面目にカッコいいバイク映画を作ろうとしたんだと思うんだ。「Oh〜!COOL!!」とか言いながらね。話が支離滅裂であることなんて、これっぽちも気にしちゃいない。気にしているなら脚本リライトされるでしょ?この内容で企画が通ちゃうんだから端からリアリティなんて求めちゃいない。

 ヘリコプター用に開発されたエンジンを搭載し、わずか10秒で時速320キロに達するドドンパ級のパワーを持ち、世界に10台しかないというバイク“Y2K”をスクリーンに登場させたいがために製作された映画だ。

 でも、この映画はこれで良いと思う。変に社会的なメッセージなんて入れて堅苦しくなるよりも、「俺等はこれが好きなの!」とB級路線を貫く姿勢は清々しい。アホ丸出しで、ド派手で、メチャクチャでも、これはこれで面白い!!と言わせる底力を感じる。

 「オースティン・パワーズ」のように初めから馬鹿を狙っていないところが、更に馬鹿さを増すという2004年度究極のお馬鹿ムービーだ。

 そんな「トルク」が伊藤は大好きさ。

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