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「素敵なベン・スティラー」

#75

 アメリカでは凄い人気があるのに、日本ではちっとも名を馳せない俳優がいる。その名はベン・スティラー。

 この人一般的な知名度は低いのですが、マスコミ業界内では結構人気があったりする。で、ベン・スティラーって誰?な感じだと思うのですが「メリーに首ったけ」で、ナニをチャックに挟んじゃう人と言えば分かって貰えるかと。

 ベンとは直接関係ないけど、「サボテン・ブラザース」('86)というコメディ映画があります。日本では全くヒットしなかったし、話題にも上らなかった。しかし、妙な振り付けや気の利いたキメ台詞などが面白いということで、当時普及していたレンタルビデオ等で口コミが広がり、かなりの数の支持者が存在する作品だ。

 そんな「サボテン」が大好きな(実は本業漫画家の)みうらじゅん氏は、「サボテン」が好きか嫌いかを知り合った人に尋ね、友達になれるかなれないか判断していたと述べていた。

 様は“分かる奴には分かる、この笑いを共有できる奴は仲間。分からない奴はつまらない奴”みたいな感じ。つまり同じフィールドにいるという仲間意識の指針となるのです。

 それと同じ感がベン・スティラーにはある。

 ベンは全然冴えていないんだけど、冴えていると思っている勘違い野郎を演じることが最近多い。ゴリラ顔で決してハンサムとは言えないことをベン自身が分かった上で(多分ね)、自虐的なギャグを連発し、我々を笑わせてくれる。

 特にチビでゴリなのに我侭な売れっ子モデルという有り得ないキャラを演じた「ズーランダー」は最高。この作品、日本では小規模で公開されたのですが、「サボテン」と同じように熱狂的なファンがいる。中でも映画業界には信者が多数だ。一部、マスコミ内では“「ズーランダー」最高!”が、お友達バロメーターとなったりしている。“「ズーランダー」好き!”と言えば、もうお友達。同じ感性の持ち主なのです。

 そんなベンの新作が「ドッジボール」。ここでもかなり勘違いしたナルシストなアホキャラを演じている。「ドッジボール」のストーリーとかは良くあるスポーツコメディなのですが、ベンがいなかったら本当にただのヘッポコ映画になっていたでしょう。ベンのおかげで成立している映画なのです。

 自分を殺して自分を活かす術を知っているベン・スティラー。素敵じゃないですか!

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