映画のジャンルに“俺様ムービー”というのがある。伊藤Pが勝手に作った。
このジャンルにはいくつか条件がある。
1.演じる俳優がナルシストであること
2.その俳優が自分はナルシストであるということを理解していること
3.その俳優がかっこよければ良いという撮りかたをしていること
4.ポスター、チラシなどのビジュアルにその俳優がドーンと映っていること
5.その俳優が製作に関わっているケースが多いこと
などが挙げられる。
一番“俺様”している俳優は誰でしょう。それはトム・クルーズだと思っている。
トムが主役を張った作品のポスターやDVDのジャケットを見て欲しい。「トップガン」以降、共演者と一緒というケースもあるけど、ほとんどがトムのアップである。内容も“トム様俺様”な作りが多い。特に彼が製作に関わった「M:I−2」、「バニラ・スカイ」、「ラスト
サムライ」はモロでしょう。“俺を美しく撮れ!”これがプロデューサー・トムからのメインの要望に違いない。
と、否定的な書き方をしましたが、伊藤Pはトム・クルーズが大好きです。20年近くに渡り、トップスターの地位をキープし続けるのは並大抵のことではないし、メイン・ビジュアルにドーンとトムの顔が出るということは、トムの顔で客が入るという証でしょう。
自分がどういうポジションにいるのかを、よく理解した上で立ち振る舞うトムは頭良いと思うし、凄いと思う。
そして、トムがA級の“俺様”だとしたら、B級の“俺様”がウェズリー・スナイプスだ。ウェズリーは90年代初頭、スパイク・リー監督の「モ'ベター・ブルース」、「ジャングル・フィーバー」といったアートぽい作品で頭角を現し、どちらかと言えば演技派な感じだった。
その後、スタローンと共演した93年の「デモリションマン」辺りから、筋肉ムキムキなマッチョの頭角を現すのですが、まだまだ“俺様ムービー”で主役を張るまでには至りません。
そして、ウェズリーがそのナルナルを遺憾なく発揮したのが「ブレイド」('98)だ。トムと一緒で自ら映画製作会社を設立し、プロデューサーを兼ねて作り上げたアクション映画で、前述の“俺様ムービー”の条件を全てクリアしている。
ウェズリーにとってこの「ブレイド」は大切な“俺様”ぶり発散の場らしく、シリーズ第二弾「ブレイド2」('02)ではこれでもかの“俺ってすげぇ”を堪能できる。
さらに「ブレイド2」からたったの2年で「ブレイド3」の登場だ。(しかもその間、ウェズリーは映画に出ていない)今度はどんな“俺様”を見せてくれるのか楽しみにしていたのですが、そのビジュアルを見た瞬間、衝撃が走った。ウェズリーがメインなのは勿論なのだが、共演者の顔がドーンと出ているじゃないか!!
不安を抱き、「ブレイド3」を見に行くと、予想通りポスターに映っている3人が、各々それなりに活躍するという内容になっていた。
おぉぉ!!!遂に「ブレイド3」が“俺様ムービー”から脱却してしまった!!!!
しかしながら、今回ウェズリーの相棒役を演じるジェシカ・ビールが良い。弓矢を背負って、日中に大都会を平気なツラして闊歩するあなたは凄いですよ。完全にウェズリーを食っています。 |