今回は5月公開作品を3本取り上げましょう。
■『THE 焼肉 MOVIE プルコギ』
みんな大好きな焼肉を題材にした映画で、
白肉(ホルモン)と赤肉(カルビ)の対決を描いている。
決してつまらない訳ではない。
上映中退屈になることもないのだが、
そもそも“対決する意味があるの?”という疑問は残るし、
対決自体もイマイチ盛り上がらないまま終ってしまう。
おいしい題材なだけに、もう少し練った話にしてくれれば、
良かったのになぁ〜と残念に思う。
食べ物を粗末にするシーンがあるのも気になった。
それも手伝ってか、見ている最中も、
最初のホルモンを焼いているシーン以外、
あまり焼肉を食べたいとは思わなかった。
ところが後日、スーパーでホルモン系の肉を見かける度に、
ついつい手を伸ばして買っている自分がいるし、
居酒屋でもシロだのモツだの頼んでいる。
そして、今、猛烈に白肉が食いたい。
モロ影響受けてんじゃん。。。
あっ、後ね、“史上初の焼肉ムービー”って銘打っているんだけど、
『映画クレヨンしんちゃん 嵐を呼ぶ 栄光のヤキニクロード』という、
れっきとした“ヤキニクムービー”があることを忘れられては困るのだ。
■『歌謡曲だよ、人生は』
11人の監督(エンディング含む)が歌謡曲を題材にして撮ったオムニバス映画。
ほとんどロックしか聴かない伊藤Pにとって、
歌謡曲なんて興味ないんだけど、映画はかなり楽しめました。
歌謡曲が好きならもっと楽しめるのでしょう。
なんかオムニバスって、散漫になりがちだし、
『夢十夜』みたいに作品の出来不出来が顕著だったり、
“短篇だから好き勝手に作っちゃえ”って、監督がマスターベーションに走ったりするので、
あまり良いイメージがない。
しかし、この作品は歌謡曲という軸がしっかりしていて判りやすいし、
何よりも監督たちがお客さんを楽しませようとしているのが良い。
特に楽しめたのは、
エアギターが炸裂する七字幸久監督の「これが青春だ」
場内をクスクス笑いで満たした三原光尋監督の「女のみち」
らしさを出しまくった矢口史靖監督の「逢いたくて逢いたくて」
で、最強に楽しめたのが、
蛭子能収監督の「いとしのマックス」。場内爆笑の渦。死ぬほど笑った。
蛭子さんにこんな優れた才能があるとは思いませんでした。
武田真治の使い方も良く判っている。
最高です。
これだけでも見る価値ありです。
■『スモーキン・エース/暗殺者がいっぱい』
『M:i:III』をビビッて降りたといわれているジョー・カーナハン監督が作り出した、
質の高いクライム・バイオレンス・ムービー。
マフィア気取りで大風呂敷を広げ命を狙われることとなった人気マジシャン。
彼を暗殺しようとする殺し屋と、彼を守ろうとするFBIの攻防をスピーディーに描く。
正直言いまして、序盤の展開が余りにも早い上、
登場人物が大量に出てくるので、最初ついていけませんでした。
普段から資料を読まないで映画を見るのですが、
今回ばかりは少し予習しておけば良かったと思った。
それでも面白かった。
個性豊かな殺し屋や生真面目なFBIといった登場人物も魅力的だし、
大げさすぎる程の銃撃戦は迫力満点。
伊藤Pが大好きなチェーンソーまで登場する。
あと、
えっ!あんたここで死ぬの?という『エグゼクティブ・デシジョン』、『ヤングガン』的な驚きもある。
これをやられると次に誰が死ぬのかわからなくなるので、この手の映画では効果的でしょう。
ただね、時系列がおかしいんだよね。
ちょっとそれが気になった。
以上3本ですが、全作品に製作者が狙った“変人”が登場します。
“変人”は狙いすぎると滑るし、抑えちゃうと突き抜けない。
匙加減がとても難しいと思う。
因みに伊藤Pの“キング・オブ・変人”は『鮫肌男と桃尻女』の山田です。
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