60年代末から70年代にかけてアメリカを震撼させた連続殺人事件が起こった。
自らゾディアックと名乗った殺人鬼は、暗号や怪文章、血痕が付着した被害者の衣類などを新聞社に送りつけ、マスコミや警察を翻弄し続けた。
そして、未だに逮捕されていない。
映画『ゾディアック』は、犯行声明が送りつけられた新聞社で働く記者と、
暗号の解読に取り憑かれた風刺漫画家、
そして、事件を担当したサンフランシスコ市警の2人の刑事たちが、
事件を追うにつれゾディアックに魅入られ、自らの人生が狂わされていく様を描いている。
ゾディアックはいったい何者だったのか?
というミステリアスな部分と、事件を追う4人の男たちの執念や挫折を描く人間ドラマが見事に融合しているうえ、アメリカが抱えるもどかしい限りの捜査の弊害をも浮き彫りにする。
監督は『セブン』、『ファイト・クラブ』、『パニック・ルーム』のデヴィッド・フィンチャー。
ギミックに走りがちだったフィンチャーがそれを封印し、「へぇー、フィンチャーもこういうの撮れるんだぁー」と思わずにはいられないほど、丹念にじっくりとドラマを進行させる。
また、殺人犯が行為に及ぶまでの過程は、リアリズムに徹しかなりの緊迫感。
その恐怖描写はそんじょそこらのホラー映画の比ではない。
そして、この映画の最大の魅力は、映画を見れば観客も主人公たち同様、ゾディアックに嵌(はま)ってしまうということ。
どんな人物なのか?
殺人の動機は?
何故、マスコミを介して自己主張をしたのか?
目撃者がいるのに何故捕まらないのか?
そして、多くの人が嵌るのが暗号。
ゾディアックが新聞社に送りつけた暗号は、ギリシャ記号、モールス信号、天気暗号、アルファベット文字、海軍手旗信号など様々な記号が用いられ、CIAやFBIといった機構の暗号解読者たちもお手上げ。
最初の1通は高校教師が解読に成功しているが、2通目の暗号は、1通目よりも複雑な記号を用いており、未だに解読されていない。
頭の悪い伊藤Pには暗号解読不可能だから、そこの部分は始めから無視なのですが、鑑賞後、『ゾディアック』の資料や、海外のものも含めネットに転がっている記事や写真をチェックしました。
原作も日本で刊行されたので、読むつもり。
別にちょっと調べたり、読んだりしたからってどうなる訳でもないんですけど、“謎”ってなんか人を惹きつける魅力があるじゃないですか。
最初の事件から約40年の歳月が流れた未解決事件だからこそ、あらゆる空想が可能。
罪を償うことなく、ゾディアックはのうのうと生きているかもしれないし、既にこの世にいないのかもしれない。
そんなミステリアスな部分も手伝ってか、未だに関連サイトを覗いたりして嵌り続行中。
原作者のロバート・グレイスミスは、「映画や本を読んだ誰かが、暗号文を解読し事件を解明してくれることを期待している」と述べている。
伊藤Pには無理なんで、誰か解いてぇ〜。
※ゾディアックの暗号はコチラ(http://www.re-quest.net/mystery/zodiac/index.htm) |